限界を超えた忙しすぎた一日でも感動
<<第158回音楽の館定期サロンコンサート:教信寺塔頭法泉院言楽の館奏楽堂>>
昨夜と言うか既に日付が今日になってしまいましたが、栗東から戻った9/5日は1分1秒を争う忙しさでした。今月13日〜15日に、当山を開かれた教信上人年忌法要のご縁日である「野口大念仏会」の準備のため、檀信徒の皆さんがボランティアで境内の一斉清掃奉仕に朝6時30分頃から来られ8時に終了された時、冷たいお茶やコーヒー、ノンアルコールビールやウーロン茶とスイカを接待し後片と同時進行で宿泊された5名の朝食準備、我々も朝食済ませて、会場の設営から玄関中庭掃除、朝から33℃の猛暑なので全館全室クーラーを入れ、聴衆のお客様の休憩の時に出すカナッペやオードブル、コーヒーや紅茶の準備を弟子達に手伝って貰いながらも11時前に衣に着替え、檀信徒の3回忌法要と墓参に出かけた。戻るとお昼が過ぎ、5分で昼食を済ませて開場の準備。ミキサー室で録音録画のカメラやマイクのチェックしてギリギリ開演5分前にミニ法話の為に再び着替えてステージに司会進行者となって立ちました。汗が止まりません。客席を見渡せば、この猛暑の中、客足が鈍いと思っていたのに反して、出演者のファンの旁々、常連のお客様、始めてお見えになった檀信徒の方などなど、小さな客席ですが満席になって熱気でクーラーが利かない状況でした。
(プーランクのバイオリン・ソナタ:景山誠治&田中しのぶ)
第一ステージは久し振りの登場で私自身も10年振りの再会となる、あのロン=ティボー国際コンクール1位無しの2位最高位の快挙を日本人として始めて獲得した景山誠治と、フランス音楽国際コンクール連弾の部第一位入賞し現在もフランス在住のピアニスト田中しのぶさんとのDuoでプーランクのヴァイオリンソナタを聴いた。奏でる音色は、やはりヴァイオリン界の今や巨匠の粋に達した景山氏ならではの世界で、安定したテクニックは超越し、たっぷり音楽として聴かせてくれた。
実は最近、あのヴァイオリンの教祖とも言えるヨアヒムから、エネスコ、サラサーテ、クライスラー、ビオラのプリモローズ、チェロのカザルス、コントラバスのクーゼビツキーなど120年前からの本人の演奏を記録したSPレコードからノイズだけ除去した日本の最先端技術によって復刻された歴史遺産とも言える名演奏CD27枚組を偶然600セット世界限定の一つを手に出来て、一人聴いていたのです。どれを聴いても現在の演奏にはない新鮮で独創的で超絶技巧も音楽のためにあるこれぞ音楽と言わんばかり。将に歴史的名演奏を聴き入っては「今世紀の演奏者は何で皆同じ方向性を真似して枠の中だけ技術に囚われ心が伝わらなくてつまらんのかな〜!こんなの音楽じゃないな〜〜!」と、ぼやいていたのですが、今回の景山氏の演奏は、歴史的名演奏を残した演奏者のそれと同等の深い音色と音楽性を、いま、目の前で奏でてくれたのですから、本当に涙が出るほど幸せで、あまりにも感動し鳥肌が立ちました。
(ドビッシーのチェロ・ソナタ:秋津智承&田中しのぶ)
第二ステージは広島の浄土真宗僧侶でチェリストと言う、私と同じ寺に生まれ海外留学後僧籍を持ち、又、低音楽器同士と言う境遇の為に、非常に親しく長年お付き合いさせて頂いている秋津智承が、ドビッシーのチェロソナタを暗譜で演奏した。やはり、共演者が景山誠治だからでしょうか、可成りの本気モードで弾き込んでの演奏とお見受けした。チャイコフスキー国際コンクールも本来なら最高位に入ってもおかしくない世界最高峰の素晴らしい実力を持ちながら寺に生まれ育った優しい性格が邪魔をしたのか、無常のコンクールで本領発揮できず7位入賞でしたが、それでも世界の7位だから凄いことなのです。自称無冠の帝王の私と懇意にチェロとバスの二重奏でウィーン、ベルリン、ブルガリア各都市で演奏してきた仲だから言えるのですが、休憩後の後半、ショーソンのヴァイオリン+チェロ+ピアノのトリオでは、これぞ室内楽の醍醐味と言っても過言でない素晴らしい演奏を聴かせてくれました。一緒に聴いた満場のお客様もさぞかし幸運を感じられたのでしょう、異口同音に主催者の私にメールや電話で感動を伝えてくださりました。やはり秋津智承も景山氏と同じく巨匠の粋に入ってきたようです。お客様も手伝いボランティアスタッフも私も素晴らしい演奏に酷暑の疲れも忘れ、時空を超えて魔法の絨毯に乗せられたようにパリの街に漂い、セーヌ川の川の流れの様にフランス音楽芸術の大河の流れにどっぷりと浸かり心身共にリフレッシュしました。
(秋津氏お嬢様と長谷川ジュニアの打上でのツーショット)
お父さん達チェロとコントラバスの二重奏団「Duo
Bows」の引き継いで、この二人は果たして何か楽器を選んでくれるのでしょうか?もしも、2世同士でアンサンブルできる楽器をそれぞれが選んでくれると愉快で楽しくなっちゃうな・・・・。さあ、明日は毎月一回の写経会例月法要法話会だから草引き掃除を早朝から頑張らねば・・・・。第158回のフランス音楽の神髄を聴いて元気をもらったから、台風の暴風雨にも負けず、今年の夏の酷暑に負けず、皆からでくのぼーと呼ばれ、誉められもせず苦にもせず、そう言うモノになるために、明日からも私は頑張るぞ〜〜〜!! 合掌。
平成22年9月5日