本-開寺庭婦人総会でCb和尚辻説法公演本-開

 寺庭婦人会(兵庫県下の浄土宗禅林派のお寺の奥さん大奥さん)の年次総会が高砂市福祉会館の中ホールで開催され、30分の総会の後、CB和尚さんの辻説法ライブ60分公演を依頼されて向かいました。

 母の出生が浄土宗の寺であり、母方の親戚に浄土宗の寺院住職が比叡山山麓から播州各地におられたことと、現在、私共の寺院、教信寺法泉院は天台宗に属していますが、約200年前までは浄土宗禅林寺派として播州はもとより大阪近郊からも大勢の参詣者が絶えず、特に江戸中期から幕末の頃まで教信詣でに賑わい栄えた時期がありました。

 その当時の「ねんぶったん」と親しまれる播州地域当時最大級の縁日である教信上人ご命日御遠忌法要には、播州各地の浄土宗寺院が七日間毎日教信寺本堂に交代で出仕されて不断念仏をしていた記録や経緯、また今日まで当山の伝統として残っています。そんな深い深い関係もあったのでしょうが、一昨年来数回取り上げられたTV特別番組放映以降に倍増した辻説法と演奏をミックスした公演パターンの依頼を受け、伴奏してくださるピアニストと二人で、ちょうど総会中にそっと舞台袖の楽屋に入りました。

 寺庭婦人会会長さん始め役員さんは決算会議報告中でしたので、担当案内の方の接待を受けながら楽器を出してタキシードに着替えた処に丁度10分の休憩になって挨拶に来られた会長さんと出入りの簡単な打ち合わせをしていました。

 その打ち合わせの中で、電子ピアノ設置の話になりました。「えっ!!そう言えば、数ヶ月前の打ち合わせで、ピアノが無い場合は電子ピアノを持参できますが、お持ちしましょうか?!」と、お話ししたことを思い出しました。「お互いに勘違い思いこみをさせてしてしまい、ピアノ使用料の追加も派生したであろう事も、本当に申し訳ないことをしてしまったな〜〜。」と恐縮しながらも、たった今、直面している現実は、中ホールには当然ピアノが有るはずだからと思いこみコンバスだけ担いで来てしまい、限られた時間内での大問題を解決することでした。「さああ、大変!ピアノがない!わぁ〜〜開演まで後6分!」ホールのステージ係と急遽相談し、緞帳を下げて急いでピアノをステージ中央へ出して頂き、開幕ギリギリ30秒前に準備OKとなり、何事もなかったように上がった緞帳の後、ステージに愛嬌の笑顔で舞台袖から出たのです。

 私自身は、歳だけ重ねた中にも幾度と無く海外公演のこんな経験がありました。当時の欧州で東西冷戦時代の東欧で、しかも第二第三の地方都市へ出向いた公演の時です、市内あっちこっちに私のリサイタルのポスターが貼ってあるのに開演前ギリギリに主催者の現地スタッフの案内でホールに行くとピアノが準備されて無く時間通りに開演しないと言う日本や西側欧州諸国の都心では起こり得ない事が有ったのです。そのお陰と言うか、数ある昔の演奏経験から私自身は動じませんでしたが、会館スタッフはあたふたさせえしまいました。そして動揺されたからでしょうが、ステージ係の職員から、ぽろっと出た言葉が「公演5分前に急にピアノを出したのは、この仕事始めてから初めてです!!」と怪訝な表情だったのです。ところが公演終わっての舞台袖での第一声は「コントラバスの独奏で、こんなにすごく感銘した音色は初めてです。舞台袖で聴いてて感動しました」と声をかけて下さいました。私は言葉でなく音で周りの人の心に真意を伝えられたので「してやったり!」と一瞬、成功裡を感じました。

 それもそのはずでしょう。幼少の頃より、母を見て育ち(浄土宗の寺で生まれ育ち無償の慈愛と奉仕の精神で働き者だった)その今は亡き母と懇意にされて寺の行事の有る毎にお手伝いして下さっていた旁々からの語りぐさを理想に新たに受け継ぐ妻を見てきた、お寺の奥様の苦労を誰よりも知っている唯一無比の音楽家と自負してきたのですから!もっと豪言すれば、壇家とお寺の接着剤の様に間に立って寺庭婦人がお寺を盛り立てくれるから、住職が安心しての法務に専念できるのです。

 しかも、お寺の奥様の健気な活動範囲は、毎朝の草引きから広い境内掃除、座敷の雑巾がけから寺務経理まで公的に働きながら、その上に私的な子育て教育も完璧なスーパーママと変身しなくてはならないのです。毎日毎日まあ働きつめなのが寺庭婦人(前述の様におの掃除する婦人と書く)なのです。

 つまり言い換えれば今日の日本仏教界を根底から支えておられるのは、お寺の奥様方と言っても過言ではないでしょう!そんな感謝の思いを込めて、今回の兵庫県浄土宗(開祖は法然上人)130ヶ寺の奥様の為に、日々の寺院への奉仕を労い、この瞬間だけでも、癒され安らぎ鋭気を養って頂きたく、ちょっと本気モードで心から演奏を捧げさせて頂いたのです。だから、舞台裏まで、その音色が伝わったのでしょうかね?!本当に身に余る有り難いことで御座います。なまんだ〜ぶ・なまんだ〜ぶ! 合掌 2010.7/9

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