本-開コスモホールに響くCb&Pfと辻説法本-開

いなみ文化の森にある「ふれあい交流館」「中央公民館」「文化会館」の施設の中、響きがクラシック向きな純正統的なホールとして評判のコスモホールがあります。

 一昔前、市民会館として日本各都市の市役所に隣接して多目的ホールが建設されました。これが、どこの市町村でも似たような古い作りで音響効果など二の次に設計された全く次元の低いレベルだったのです。ところが、東京のサントリーホールや大阪のシンフォニーホールなどが建設されるコンサートホールブームに前後して、地方の都市でもホール建設ラッシュが起こりました。

実は、30年前に私がウィーンより郷里に戻ってから公演有る毎に説いていたのが音楽専用ホールの必要性でした。その影響かどうかは今回の論点から別としても、当時の町長さんや町会議員のホール建設推進委員会の旁々が私のような若輩者に相談に来られたことがありました。勿論、その時私は「文化会館を建設されるなら、その予算を色々なもに均等に分けないで、何でも良いから、例えば日本一蔵書が多い図書館だとか、日本一会議がしやすい先進的な会議場だとか、バロック様式の様な優れた世界に誇れる建造物だとか、でも私的には日本一自然な純クラシック向きの響きの良いホールとして予算をそこに集中して建設して欲しいですね!」と、アドバイスさせていただいたことを思い出しました。播州各地に音響効果抜群のホールが次々と各市町村に建設されたのは日本国中見渡しても当時は希で、隣町同士競うような名ホールが誕生したことは愉快なことでしたが、その播州地域で最初期の名ホールがこのコスモホールだったのです。

 久し振りに、恐らく15年振りぐらいに今日はこのホールのステージに立ちました。今回は最近定着してきた辻説法演奏会スタイルで内容は約600名のいなみ町老人大学「あたご大学」での90分プログラムです。

近年、我が儘な私の独奏に健気に伴奏をして下さる横田慎都さんの地元とあって、スタインウエイのフルコンサートピアノを素晴らしく響かされました。特にピアノ独奏曲のコーナーでは超絶技巧のリスト「死の舞踏」を熱演され舞台袖で聴いていた私も感動しました。

やはり演奏者にとって、楽器も大事ですが、ホールトーンが重要な要素となるのです。響きの良いホールでは演奏者も聴衆も幸運が重なり名演奏に出会えるチャンスが響きの悪いホールに比べれば圧倒的に多いからです。

 今日の私の演奏は、練習準備不足で不本意でしたが、それでもホールトーンがカバーしてくれて補ってくれたようにさえ感じました。音楽とは将に音を楽しむのですから、作曲家の音の組み合わせ配列マジックは勿論、演奏者の心境や技量、演奏者同士の音での駆け引きや対話、ステージと客席の一体感、そして、ホールに響く残響と音質が、一瞬にして消え去るのですが、その音が楽しめる事こそが、五感プラス第六感を持ちあわせ、芸術と言う文化を楽しめる人間に生まれて良かったと思う瞬間ではないでしょうか・・・・・!?  合掌

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