本-開ミニミニ法話その110本-開

**ミニ法話シリーズ「運命」**
交響曲第5番「運命」

2009.11/13

 11/13日に兵庫県民芸術劇場で神戸市立の小学校公演の依頼があり、予算の都合で3人編成編曲の異色プログラムを曲目にしました。なんといきなり「ダダダダ〜〜ン」(運命の扉はこのノックの音で開かれる)と、ベートーベンの交響曲第五番「運命」から始まったのです!当日のプログラムはここをクリックすれば反転する。その練習日は学校主催者依頼当初より本番の前日を予定していましたが、境内の桜の葉も銀杏も、庭のモミジもちょうど紅葉して美しい頃で「こんな深まる秋にこそ本物の音楽芸術の最高峰が相応しいんだ!そうだ、せっかくだからウィーンフィルの定期初日の様に練習日を、え〜っい演奏会にしていまえ!」と、前日11/12日昼に練習して夜6時30分から音楽の館奏楽堂第156回定期演奏会として開催したのでした。

だがしかし、それはそれはオケパートを一人で弾ききるだけでも大変なのに一週間前に音合わせして当日ゲネ本(業界用語でリハーサルしてすぐ本番の事)とは無謀な事だったと二日目の公演が終わった後の筋肉痛でも大反省をしたのです。だいたいヴァイオリンとコントラバスとピアノだけで交響曲第5番「運命」全楽章を演奏しようなって発想は常識からは逸脱しています。先ず、世界的ソリスト達では、こんな馬鹿げた発想は思いもよらないし、オケのtutti団員は入団試験で苦しめられたオケパートを一人で弾く恐怖から逃避したいし、ピアノトリオの既存のプロの楽団はオケを弾きたく無いし、兎に角、一人でオケパートを弾くなんてことは誰もが敬遠してきた為に、今回の三人編成公演が世界初演だったのです。

それはメジャープロオケのコンサートマスターを歴任しオケを引っ張ってきた稲庭氏だからこそ、そして全国のオケに客演して一人で5人以上の音を出しつつける芸風で重宝された奉仕のCBの和尚と呼ばれる二人だから実現したのです。

しかし、いざ弾き始めると昔取った杵柄と情熱本気モードで「本当の運命の弾き方はこうだ〜〜〜!」とばかり、現役から離れて10年以上も経つのに100人のオーケストラに匹敵する迫力と情熱を伝えたいとの一心で老体にムチ打って弾いてしまいました。しかし今の私の場合はブランク有るのに急に一人でまた往年の響きを出そうとした為に衰えていた筋肉や関節が悲鳴をあげ今も身体のあちこちが痛いのです。(温泉に湯治にいきたいな・・・・・・。)

なんだかんだと言っても、芸能生活40年間の昔取った杵柄でも現役から離れてもう10年以上、でも、この曲はもっとも通算演奏回数が多い曲の一つで、弾き始めると身体が覚えているかのように或る程度は弾けました。また、2楽章まで進むと、もう、原典オリジナルがこのVn+Cb+Pfのトリオだったんだとさえ思わせる室内楽の完成度に成るのは流石にベートーベンの偉大さのせいか、満席の客席からブラボー連発の大喝采を頂けたのは幸せでした。

それも、やはり楽章が進むに連れ顔つきも変わり本気モードでオケ弾きしてくれたコンサートマスターの稲庭氏、そもそもこの無謀な発想に「リストがベートーベンの交響曲を全曲編曲してて、私その楽譜を持ってます」と墓穴を掘った発言をしてしまったピアニストの横田慎都さんの短い期間でも練習努力で、いつもと同じように平然と素晴らしい演奏をしてくれたお陰です。本当にいつも私の我が儘を聞いてくれる素晴らしいピアニストが近所に住んでおられて幸せです。

そして、急な平日の夜のサロンコンサートにも係わらず家族や姉たちを始め常連のスタッフが休憩や打ち上げパーティーの為に料理を作って接待して下さり、毎回のように聞きに来て下さるお客様から20年振りに聞きに来たと言うお客様、始めてお越しになられたお客様から、最近常連になられたお客様まで、関係者ご一同様から本当に迸る感動の笑顔と拍手喝采を頂戴できました事に、この上ない幸せを感じ、心より深く深く感謝を申し上げる次第でございました。みんなとの出会いの「運命」をありがとう!合掌

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