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博士 Q10の回答 博士
指板の長さはヴァイオリンやチェロに比べると、特にオールドのコントラバスには様様な長さが現存します。それは、この楽器の歴史に答えがあります。つまり、バスビオールやガンバの時代から通奏低音の仕事に専念していた楽器は、ハイポジションの必要がない為、指板が現在のものより極力短かかったのです。短かい指板のメリットは弦長中央に近い振動の大きい場所を弓で弾くことが出来るので、やわらかく・ふくよかな音色と、圧力と振動で指板に弦があたる心配なく大きな音を出すことが出来たのです。その楽器を、ディッタースドルフ、ドラゴネッティー、ボッテシーニと言った各時代に出現したヴィルトーゾ達の影響で、徐々に現在的独奏楽器としての機能を要求され、後に指板を長いものに取り替えたり、3本弦から4本弦に改造したり、楽器本体の形を現在の弾き易い形に削り取ったりと、各国の楽器商が手を加えたのです。その中には、原作者より知識や技術の劣る人が改造した例が多く残っています。近年の急激なヴィルトーゾの卵の増加に伴い、指板の切れ目が第7親指ポジションの主要ハーモニクス・ポジションの1番線で3指が触れるDの音の半音下「Cis」までが指板上でしっかり押さえられる最後の音として要求され、それが現在の正しい基準となっています。
しかし、コントラバスという楽器は、ヴァイオリンやチェロに比べ独奏楽器としてはまだまだ発展途上の楽器であり、その事実は、逆に本来のコントラバスとしての使命をないがしろにしてはいけないというメッセージでもあるかも知れませんね。
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