モーツアルト生誕250年記念
広島アカデミー合奏団最終回公演
<<あるバス奏者の感想文>>
この度のモーツアルト協奏曲全曲演奏シリーズの最終回のプログラムは以下の通りでした。
指揮:井上一清 おはなし:海老沢 敏
1.協奏交響曲 変ホ長調 k.297b
2.ピアノ協奏曲 第13番 ハ長調 k.415(Piano前田麻紀)
3.ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 k.447(Horn梅田 学)
4.ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 k.488(Piano井上二葉)
いずれのソリストも本当に心のこもった素晴らしい演奏でしたが、やはり最終回のトリを弾かれた井上二葉先生の考えに考え尽くされた深い解釈と、年輪を重ねられた人生そのものが何とも言えない説得力のある音色となり、演奏している私自身も、その新鮮な響きに感動する程の素晴らしいモーツアルトでした。
客席は立ち見席になるほどの超満員でしたが、最後まで惜しみない拍手を送られたことで、本日のソリスト達の素敵な演奏と、創設者故中村哲二先生より33年にも及ぶこの合奏団を指揮された井上一清先生、コンサートマスターの岸辺百百男先生の注がれた情熱に全ての聴衆が讃歎されたのだと感動しました。
また広大の原田教授が事務局に徹しられスムーズな運営の為に影の功労者としてご奉仕され楽団を支えてこられた事も深く感謝し誠に敬服いたします。
私自身はこの合奏団に席を置いて約27年ほどですが、全ての団員が笑顔で楽しく、いつでも仲良く、しかし毎回音楽に純粋に取り組み常に向上心を持ちながら50回以上の定期演奏会を始め様々なコンサートをこなして来られた偉業を共にさせて頂いた事は勿体なくも素敵な時間だったと、この度の公演では特に弾きながら感謝の気持ちが込み上げてきました。
この合奏団でもコントラバスに絶大なる信頼を勿体なくも頂戴した為か、どんなに編成が大きくなっても最後までコントラバスは1本で弾かされ、それはオーケストラの音量的バランスも音楽的センスにも責任の重大性を毎回痛感させて頂きました。その為、私自身は、この合奏団で益々コントラバスの存在感に大きな幸せを心身で感じることが出来ました。このことは一人のコンバス奏者として誇りを持たせて頂いたばかりでなく、弟子や後輩達へのバス本来の仕事を音のメッセージとして伝える事も出来たと自負しています。
兎に角、今回で最後というのは寂しい限りですが、この合奏団全体が(個々の奏者は高齢化してもまだまだ現役以上に元気なのですが・・・・・)高齢化し定年退職で現役を終えようとしているのですから、その長年の広島県下のみならず日本での華々しい偉業の功績を讃え、様々な感動を記憶に残し、静かにその使命を閉じる事を見守りたく思います。
モーツアルト、そして音楽の感動と音楽に込められた神仏のメッセージ、本当にありがとうございました。
広島アカデミー合奏団
コントラバス奏者:長谷川悟