追っかけ日記

last modified at 2000.06.03

書下ろし

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1999.11.05 (Fr)
ここ数年、今聴き逃すと死んじゃうかもしれない人を聴くのが趣味となって居る。 年齢と言う意味では、朝比奈なんか最右翼のはずなんだが・・・元気ですねぇ(^_^)
1999年夏の大フィル東京定期では、「をぉ、朝比奈ってブル5以外でも意外に良いのね(^_^)」と感じたし、御大の元気な姿に呼応して、実力以上の演奏(* 失礼(_._;) > 大フィル *)を聴かせてくれた大フィルにも好感を覚えた。

それが、半年もせぬ内に、何時の間に腑抜けになったのだ? > 大フィル
朝比奈の音楽が云々と言う以前に、オケの出す音にやる気が感じられないから、「音楽」を感じることが出来ない。 指揮者と言うモノ、オケが居なくては、只、棒を振り回して居る変な爺に過ぎないんだねぇ。
特に、2nd mov.の頂点の空虚感。 打楽器抜きだと物足りなさを感じるし、打楽器入りだと音の異質さが気になる所なのだが・・・あの気の抜けたオケの音は、物足りなさ以前の問題だ。
演奏中、先月聴いたSanderlingの佳演が耳の中で鳴り響き、目の前の音は消えて居た。 そして、「これで朝比奈に死なれちゃたまらん」と思って居た。 これが僕にとっての最後の朝比奈では、悔やんでも悔やみ切れない。 だってそうではないか、僕が老いて(* その頃まで彼が生きて居たら化け物だ *)、その時代の若い連中に、「最後に聴いた朝比奈は、そりゃもう凄かったですよ」と自慢するのと「いやぁまぁ、最後は惚けて居ましたけどねぇ(^_^;」と苦笑いするのとでは、余りにも違うじゃないですか。

1999.11.07 (So)
今日は、Wand/BPOの1回券発売日。 勇気を出して電話してみたが、ひたすら呼出音が虚しく鳴り続けるのみ。
結局、電話が通じたのは火曜だったか・・・あっさり、Ausverkauftと言われ、終り。

1999.11.13 (Sa)
Gelmettiを聴くのはStuttgart ROとの来日以来2度目。 前回同様、余り良い印象を持つことが出来なかった。 終始一貫してモヤモヤした音だった。 「定点観測」という目論見は成功だったらしい。 同じオケ、同じホール、同じ席で、こんなにも印象が違うことが確認出来たのが嬉しい:-P
唯一、をぉ!と思ったのは、グレートの3rd mov.だったかの冒頭で見せた、鋭い腰の振り。 彼がチェリの弟子を自称して居ることに納得。 あの腰の振りは、確かに70年代のチェリのそれだった。

1999.11.18 (Do)
初めて降りるCopenhagenはすっかり暗くなって居た。 小雨も振って居る。 閉店前の書店やレコード屋漁りでも出来るかと思って居たのだが、気乗りせず、DR-Buttikenで、予約して居た券をpick upし、ホテルに直行。 開演までウダウダと過ごす。
初めて入るRadiohusetは思って居たより狭い。 客席数の少なさもそうだが、3階バルコニだと言うのに、舞台が近い。 客席の奥行きより、舞台の奥行きの方が広いんじゃ無いだろうか。

前座のMozartは、まぁ、こんなものか。 もやもやとした掴み処の無い演奏だった・・・と書くと、何時も僕が書いて居るSanderling評と大差無いのだが、この場合に限り、貶して居るつもり。 独奏が余り耽美にならずに弾いてくれたのが救いにはなって居る。 昨シーズンだったか一昨シーズンだったかの、Sanderling/Danish ROを聴いて居るKさんやDkr.Aさんから、「オケ、下手だよ」と聞いて居たのだが、確かにこれだけを目的に来て居たら、がっかりしたと思う。 でも、SanderlingのShostakovichが聴きたくて来た。

休憩後、予想通り、Sanderlingは別人となった。 音量も、明瞭度も、気迫も、前半のMozartが嘘の様に思える。 前半と後半の違いは何に起因して居るのだろう。 物理的には何が起きて居るのだろう。 もう少し、Sanderlingの演奏を聴いてみたいと切に思う。

1999.11.19 (Fr)
さて、券が無い。 昨年のBerliner Festwochenから考えて、多分、合唱席は開放するだろう。 であれば、100席とまでは行かずとも、相当数の当日券は出るはず。 かなり早めにPhilharmonieに到着したつもりだったが、既に20人以上並んで居る。 今シーズンから(?)、1時間前でなくともホワイエに入れるのは嬉しい誤算だった。 確か、昨年のBerliner Festwochenの時は、開演1時間前まで寒空の下で行列して居るのを横目で見て居た記憶がある。 今回、厚着して居たから、暖房で汗ばむ位だったが、外で立って居るよりは遥かに良い。 髪の毛の無い、仕切り屋のおにいちゃんから数字の書かれたポスト・イットを貰い、立ち見なら間違いなく買える順位であることを知り、ホッとする。

開演1時間前、改めて整列。 「貴方、何番?」「じゃ、僕の後ろね」ってな感じで、和気藹々と行列が出来たところで窓口が開く。 立ち見席を配布しようとする窓口で、他の席は無いの?と尋ねたら、Block Bの券が出て来た(^_^)v 一番奥の一番隅とは言え、Block B、日頃の行いが良いのかしらん(^_^)v 更に、自席に座ろうとしたら、「妻と席がばらばらになってしまった」と席を交換して欲しいとの申し出。 彼の券を見たら、同じBlock Bでも中央寄り。 勿論喜んで交換する。

演奏は・・・余りの不甲斐なさに愕然とする。 これがBPOの音か? とにかく、管の音の頭が汚い。 前回Wandのブル7を聴いて、流石Wandと感じた1st mov.終りの強靱な音の壁すら、腑抜けて居た。

1999.11.20 (Sa)
さて、今日も券が無い(^_^;) 昨日の感触からして、まぁなんとかなるだろうとちょっと遅めに辿り付くと、アフリカ系のおじさんが仕切り屋だった。 今日はノートに記帳する形式らしい。 彼のノートに拠れば33番。 取り敢えず、立見席なら何とかなる。 それにしても、昨日と言い、亜細亜系が多い。 並んで居る半数はそうなんじゃないだろうか。 全員日本人かと思って居たら、韓国・中国系と思われる言語も盛大に飛び交って居た。 亜細亜系って並ぶのを厭わないのか、或いは、僕同様語学に自信無い分、並ばざるを得ないのか。 昨日の幸運をもう一度と、窓口で尋ねるが、Zurückkarteは無い。

初めて坐る(?)立ち見席は、客席の一番後ろに、楽譜を参照出来る様、照明が用意された譜面台があり、そこを指すらしい。 まぁブル7 1曲位そうやって聴いても良いのだが、安直に立見席傍の階段に腰掛ける。 天井に近い、言い換えれば、舞台からかなり遠い席にも拘わらず、Block G Rechtsは意外に音が良い。 実際、視覚的にはやや距離があるのだが、分離も良いし、音厚もある。 殆ど最上階だと言うのに音楽的な遠さを感じさせないのは流石Philharmonie。

問題は演奏。 初日よりマシになったとは言え、未だ不満が残る。 Abbado時代の集大成(* (_._;) > Abbadoファン *)という意見もあれば、世代交代の狭間という意見もあるのだが、とにかく、この数年で極端にBPOの能力が落ちたと言うのが、今回聴いた知人達との共通認識。
今回の演奏、CDになったらしいが、未聴。 どういう評判なのか未だ知らないが、もし、こんな演奏を推薦盤にする評論家が居たら、そいつの耳を疑いたい・・・或いは、編集の恐ろしさを認識したい(^_^;)

1999.11.21 (So)
3日間行列しても良かったのだが、この日はOkさんが余分に持って居ると言うので、有難く譲って頂いた。
Block G Linksは、単に前夜の反対側なのだが、前夜の音の良さを思うと、Linksは意外に音が悪い。 と言うよりも、hr.の音だけが直接音なのだな。 で、前回同様、BPOの中で特筆したくなる程酷かったのがhr.だったものだから(^_^;)
尤も、今回は、hr.だけが気になった訳では無いのが、更に悲しかったのだが。

何より悲しかったのが、初日・2日目・最終日と明らかに演奏が良くなって居たこと。 「実演は水モノ」と言うのなら、それはそれで良いのだが、今回のはProbeが出来て居ないとしか思えなかった。

単発の事故や、オケの実力がWandの演りたいことに追い付いて居ない(^_^;)というのは、これまで、全く無かった訳ではない。 ただ、日を追う毎に、Wandの意図が徐々に見えて来るという経験は、これまでの経験では絶対に無かった筈だ。 Wand歴僅か3年で偉そうなことは言えないが、未完成の演奏を聴かせる人では無かったはずなのに。

1999.11.22 (Mo)
朝、Riedelでお買い物をしてからTXLへ。 電光掲示板に、check-inの表示は無かったが、counter番号は表示されて居たので、「これ、チェックイン出来る?」「えぇ良いわよ。 でも、CDG行きは2時間遅れよ。」
何だろう? まぁどうせ、今晩は聴けても小澤のオペラ位だし・・・と、Nさんに遭遇。 「FRAが大雪で空港閉鎖だそうですよ。」 疑問氷解。 Hubが閉鎖ではLHも大変だろう。 運良く、絵譜さんにも遭遇。 明日の打ち合わせを兼ねて晩飯を一緒に喰いましょうと、Parisでの待ち合わせの約束。 出発が遅れることを伝え、居なかったら見捨てて貰うことにする。
Loungeで無料のビールを3本呑み、フラフラになりながら、gateへ。 バスで機体へ移動。 Canadair Jetだ(^_^) 乗ってみたかったのだ。 内装はかなり新しい。 そろそろdoor closeかと思ったら、機長からのお知らせ。 離陸は50分後だと言う。 お詫びのつもりか、全員にSektの振る舞い酒(^_^)v 通路を挟んで向いのおばちゃんが「FRAが閉鎖だと言うからCDG経由にendorseして貰ったのに、更に離陸が遅れたらORD行きに間に合わない。 あたしゃ、政府の仕事で明日までに米国に戻らなくてはならない。 いったいどうしてくれるっ?!」と騒ぎ出す。
待ち合わせ時刻から15分過ぎ、やっと、待ち合わせ場所のある通りまで辿り付く・・・と、向こうから歩いて来たのは、僕を見捨てた絵譜さんだった。 小澤の当日券があれば入ってみますか?と、Palais Garnierへ。 すかさずダフ屋が寄ってくる。 FFr 850.00!!! Operってそんなに高いの? 渋るのは値切って居るからと思われたのか、言い値は何時の間にかFFr 500.00を切って居た(^_^;) 僕は、Operなんてout of 眼中、1,000円位なら聴いても良いかな位にしか思って居なかったし、Parisに暫く滞在すると言う絵譜さんは、今日でなくても良いというので、ダフ屋を振り切り、晩飯へ。 こんな異国で腹を壊したく無いよなぁと思いつつ喰ったからか、生牡蠣の味は、結局美味かったのか不味かったのか・・・只、Wine vinegar味の付けダレは、単体では強烈に酸っぱいのに、生牡蠣と一緒に喰うと、牡蠣単独では感じなかった旨味があって(^_^)だった。

1999.11.23 (Di)
朝08:00に絵譜さんのhotelへ。 駅のレンタカー屋で車を借り、駅の売店で花を買う。
実は前回F2さんの厚意で墓参りをした際、花束を持たずに居たのを後悔して居た。 とは言え、運転免許が無い身としては、誰か運転手を確保しないことには話にならぬ。 丁度今回、絵譜さんもWandを聴くと言う。 で、「何時ものAFだって? じゃぁどうせCDGでstop-overするんでしょ。 チェリ・ファンだったら墓参り位しなきゃねぇ ナヴィしてあげるからさぁ(^_^)」と口説き落とした次第。

国外で運転するのは初めてと言う絵譜さんの運転は・・・本当に恐かった(^◇^) 駐車場から出ない内に、既に掌に汗が溜まって居た(^_^;) (* 暴露してごめん(_._;) > 絵譜さん *)
まぁ、こっちも酷いと言えば酷い。 運転免許が無いと言うことは、要するにどういうタイミングで運転者に指示を出せば良いのか判らんのだ。 「この交差点・・・左・・・かな?」なんてことを、交差点に進入してから言われても困るんだろうなと、判っては居るんだけど・・・
何とかParis市街を抜け、高速道路に入って、やっと深呼吸。 尤も、運転者の内心までは判らない。

「次の降り口で高速から抜けるからね」と指示した辺りから濃厚なミルク霧。 田舎の一般国道は、隙有れば割込み有りのParis市街とは、また違った、格別の恐さ(T_T) 視界が殆ど無いのに、大型貨物トラックがビュンビュン突っ走って居る。 ゆっくり走ろうにも、煽られる。 ようやく田舎道に入り、また安堵の溜め息。 川岸の小さな村に辿り着けば、もうその対岸は、更に小さな、「その村」がある。

チェリの葬儀が執り行なわれた教会の脇に無断駐車し、絵譜さんを、墓地へ案内する。

ちょっとした丘になって居る、その墓地は、晴れて居れば教会が綺麗に映えるのだけれど、その日はすっかり濃い霧の中。

どうやら先客が居たらしい。 墓石の上には、千羽鶴が載って居た。 鶴に書かれた日付と色の鮮やかさから考えて、1週間は経って居ない風。 大阪の人なのか、それらしい地名が書かれて居たりする。 団体で訪れたのか、それとも音楽愛好家団体の代表が供物したのか・・・いずれにしても、日本人って酔狂だよねぇ、こんな田舎まで。 と自分の事を棚に上げて思うと同時に、理不尽な嫉妬も感じて居た。

村に1軒しか無い食堂で珈琲を頼む。 こういう時、片言でも仏語が話せる相棒が居るのは心強い・・・「どぅ かふぇ しるぶぷれ?」だったかな(^_^;)

珈琲の後、川沿いのチェリの別荘へ。 勿論、私有地だから、中に入ったり覗き込んだり写真を撮ったりはしない。 只、周囲をのんびりと歩き廻るのみ。 何時も演奏会の日程に追われた強行軍な休暇ばかりだが、こういう穏やかな一日が在っても良いねぇ
そう言えば、前回、「墓参りするんなら、花束と線香を上げなきゃ」と言って居たのを忘れて居た。 線香を忘れたのは痛恨の極み。 また、来なきゃ(^_^;)


PROGRAMME
1999.11.05 19:00 : Suntory Hall, Tokyo
Bruckner, A : Symphony No.7 in E major
Asahina, T / Osaka Phil.

1999.11.13 19:00 Suntory Hall, Tokyo
Beethoven, Lv : Violin Concerto in D major, op.61
Schubert, F : Symphony in C major, D 944, "Great"
Gelmetti, G / vn. : Fujikawa, M; Yomiuri Nippon SO

1999.11.18 20:00 : Radiohusets Koncertsal, Copenhagen
Mozart, WA : Piano Concerto No.23 in A major, K 488
Shostakovich, D : Symphony No.15
Sanderling, K / pf. : Grimaud, H; Danish RO

1999.11.19 20:00 : Philharmonie, Berlin
1999.11.20 20:00 : Philharmonie, Berlin
1999.11.21 20:00 : Philharmonie, Berlin
Bruckner, A : Symphony No.7 in E major
Wand, G / Berlin Phil.


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