追っかけ日記
- Sanderling -

last modified at 1999.10.11

書下ろし

[06.10] [PROGRAMME]
1999.06.01に突然上司から電話。 「急で悪いんだけど、Stockholmに行って、1999.06.07-09の会議に出て貰えない?」って、本当に急な話ではないか(^_^;) それでなくても、今月は、後半に1週間休む予定だったから仕事の余裕が無い。
と言いつつも、電話を切って30分後には、帰りにAMSに1泊すればSanderlingだなぁと計算してしまうのは、悲しい性。 更に1泊延泊すればHerrewegheのブルックナが聴ける・・・と調べ始めると際限が無い(^_^;) まぁ、月末に休暇を控えた身であるからして、「誠意」ってヤツを見せておこうなどと殊勝なことを考えて、Sanderlingだけにする・・・所詮、僕の「誠意」ってこの程度(^_^;)

1999.06.10 (Do)
今回もStockholmでは収穫が無かった・・・と、書くと正確では無い。 CD屋にせよ本屋にせよ、18:00閉店のお店が多く、殆ど寄る暇が無かった(>_<) チェリと放送響は、1960年代に相当演って居るはずだから、色々資料が発掘出来そうなんだが・・・口惜しいがしょうがない。
で、無事・・・かどうか判らんが、出張は終わった(^_^) 久しぶりに気楽な気分でSchipholに降りる。 今回のhotelはConcertgebouwのすぐ脇。 荷物を置いて、ConcertgebouwのKasseで名乗り、予約して居た今夜の券をpick up。 市電でDam界隈に戻り、CD屋、本屋の探索。 本屋ではConcertgebouwの歴史本を2冊買った程度で、余り収穫が無かった。 CD屋を4〜5軒梯子し、色々面白そうなものを捕獲出来たので良しとする(^_^)
前回04月に聴いてまだまだ元気とは思って居るが、それでも80歳過ぎの爺であることには変り無い。 本当に振ってくれるのか、一抹の不安を抱きつつ入場。

前半は、何でこんな若手を独奏者に起用したのか・・・と言うのが率直な感想。 華が無い。 こんなにも響きの豊かなホールで、何故独奏だけが、か細い音なのか。 多分、このホール、ステージ後段の音の方が良く響くのだろうとは思うが、それで良いのか? > 独奏者

で、後半のショスタコ。 これには驚いた。 心の底から嬉しそうに振って居る。 勿論、御老体であるからしてノリノリの演奏と言う訳は無いのだが、呼吸と同じ位自然に、穏やかな嬉しさで振って居る。
例えば「Sibeliusは北欧のオケで聴かなきゃならん」みたいな、音楽の民族性といった話、これまで鼻で笑って居た。 でもこういう演奏を聴かされてしまうと、理性とか知性とかの裏側に、しっかりと「音楽に対する共感」が在ることを感じずには居られない。
Berliner Phil.のショスタコ(* 確か、Giuliniの代役だったんじゃ無かったっけ? *)を聴いた連中が、「熱い」と絶賛して居たのを、そんな馬鹿なことがあるかと思って居たのだが、漸く、彼らの言葉を理解した。
「正直言って、Sanderlingがそういう音楽を振るとは思っても居なかった」・・・という感想、未だ4回しか聴いて居ないSanderlingだと言うのに、もう3度目だ(^_^;) 初めて聴いた時は、CDでは感じることが無かった、畳み掛ける様な「発音」の独特さに面白さを感じた。 その奇妙な浮遊感がSanderlingの持ち味かと思って居たら、チェリ顔負けの緻密なオベロンに圧倒された。 で、まるで自作自演とでも言いたげな、今回のショスタコ。
Sanderlingという人、僕自身の中で、どういう評価をして良いのか判らなくなってきた。 取り敢えず言える事は、どういう音楽になるかは判らんが、今のところ、スカは無い。


PROGRAMME
1999.06.10 20:15 : Concertgebouw, Amsterdam
Beethoven, Lv : Violin Concerto in D major, op.61
Shostakovich, D : Symphony No.5 in D minor, op.47
Sanderling, K / vn : Koelman, R; Amsterdam Concertgebouw Orch.


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