追っかけ日記
- Noch einmal Sanderling / Wand -

last modified at 1999.07.16

書下ろし

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WandのSonderkonzertの券を、つい衝動買いしてしまった(^_^;) 捨てるにはもったいない席ではある。 でも、どうせ聴くなら、06月のWandのブル6、Muenchner Phil.の方がNDRより上手い。 今回は、誰かに譲って恩を売って置こう(^_^;)・・・と考える程度の自制心はあった。
でも、酔っ払うと何故自制心が無くなるんでしょ(^_^;) 03月に上司と呑んだ際、ついうっかり、「一泊二日半で良いから休暇を貰えません?」などと話してしまう。 で、1999.04.26からのSweden出張を言い渡されてしまった。 会議の前に、ちょっと寄り道しても良いよと言う意味らしい。 なにせ、英会話が苦手、入社以来何年も逃げ続けて居た出張は避けたかったのだが、どうせ行くならと、調べてみれば、Sanderling/内田もあるし(^_^;)・・・と、上司の黙認の下、航空券のrebookをした。 勿論、追加flightに依る差額は自費負担。 その程度の良心は有る(^_^;)

1999.04.21 (Mi)
前夜、新宿出張だったので、新宿泊。 NaritaExpressなんぞに乗り、初めての第2ターミナル。 当日発で演奏会に間に合うのはLH位しか無い・・・と言う訳で、LH711便。
これまで、日欧間はKLしか乗って居なかったものだから、初めてFrankfurt am MainからSchengen条約国入りする。 初めて貰う独逸の入国判、鷲のマークでも入って居るのかと思ったら(^_^;)、只の丸Dが隅にある判子だった。
ほぼ定刻でHamburg着。 直前に迷子になってもと、ちょっと遠いが前回と同じhotelにcheck in。 速攻で、シャワーを浴び、着替えて、Musikhalleへ。
これまで毎回Wandの演奏会で感じて居た、唯一の不満、「音厚が余りにも有り過ぎる」については、今回は殆ど感じなかった。 今回はそれなりに濃淡に変化がある・・・これが手放しに良かったかと言うと、難しいところ。
勿論、1st mov.最後の圧倒感とか、何時もながらのWandの凄さは聴こえて居た。 そう言う意味では、今回聴きに行くべき演奏会だった。
問題は、「淡」の方。 音の淡さと言うよりは、音の薄さを感じてしまう。 もっとはっきり言えば、オケの弱さ。 特に管楽器が安定して居ない。 例えば、cl.のリード・ミス。 勿論、ライヴだから多少の事故はやむを得ないのだけれど、肝心なところでミスがあるのが、余りにも象徴的だった。
これが本当にWandが振りたかった音なのか、と言う疑問を抱えながら聴く寂しさがあった。 勿論、NDRって、そんな酷いオケじゃ無いとは思う。 只、Wandの意図を表現し切れる程の能力は無かったと感じただけだ。

1999.04.22 (Do)
再び、Hamburg空港へ。 スイスってSchengen条約批准国じゃ無いのね。 独逸出国のスタンプを貰う・・・けど、スイス入国のは貰えなかった(^_^;)
Hotelにcheck inし、Tonhalleの場所を確認。 Kasseが開いて居たので、予約のfacsimileを差し出して、無事2日分の券を受け取る。 再び、hotelに戻ると、Dkr.AさんとKさんが居た。 同じhotelだったのね(^_^;) 昼飯を喰いに行くという彼らを見送り、しばし昼寝。
最初のオベロン序曲には驚いた。 Sanderlingって、こんなに緻密な音楽を振れる人だったんだ。
序奏の、押さえに押さえた抑圧と、その後の解放。 こういう音量のコントラストを明確に作り込めるのは、チェリだけかと思って居た。
チェリって、一般には、晩年のBrucknerの様に、大曲を、更に壮大に仕上げるのだけが有名になって居る様に思えて口惜しいのだが、実は、最晩年になる前の、小品の凄さにも、彼の真価があると思う。 僅か10数分の曲なのに、ちょっとした交響曲を聴き終えた様な疲労感(* 或いは、「満足感」と言い換えても良い *)を与えてくれる演奏が、この世には存在して居たのだ。
チェリが身罷ってから、そういう演奏に再び巡り合えるとは思って居なかった。 しかも、Sanderlingで。

1999.04.23 (Fr)
内田光子は相変わらず・・・
今回はスタンウェイを弾いて居た模様。 スタンウェイの高域のきらびやかさと、彼女自身の音の陰影とが微妙に均衡して、これはこれで面白い。 少なくともBambergの時の様なちぐはぐさは感じなかった・・・けど、やっぱり、彼女の音楽は、ベーゼンで聴いた方が良い様に思う。
尤も、問題はそういう楽器の音色なんかでは無い。 彼女の弾き方、普通に弾いて居れば目立たぬものを、妙に仰々しく弾くものだから、たどたどしさが、必要以上に強調されてしまう。 Bambergで聴いたジュノームは論外としても、溜めを作って、僅かな間の後、一気に走り出す、彼女のスタイルは、決まるとかっこいいとは思う。 只、こういう「大見得」って、少しでも不安定さを感じたら、興醒めになってしまうのだな(^_^;) アンコールだけは、説得力があったのだが。
両日とも、休憩時間にホワイエの即席売店に颯爽と駆け降り、即席サイン会を開いて居たが、ここで彼女のサインを貰っても良い想い出にはなりそうになかったので、パス。
ChopinもBrahmsも、Sanderlingの棒は、兼ねてより感じて居た「頂点の無い演奏」だった。 こちらが余りにも予想通りだっただけに、一層、オベロン序曲の異質さが際立って感じる。 勿論、こういう「予想外れ」は大歓迎(^_^)

1999.04.24 (Sa)
朝、Zuerich空港に寄ると、乗るはずのLHは欠航。 実は、乗る飛行機が欠航になったのも初めての経験。 振替の搭乗券に「搭乗開始時刻前にゲートの係員に確認すること」なんて但し書きがあったものだから、恐る恐る差し出すと、「全く問題無いわよ(^_^)」との返事。
S8のみだったMünchen空港発着のS-Bahnが、S1も乗り入れる様になって居たので、思わず1本やり過ごしてS1に乗る。 未開発の原野を突っ切るS8よりも、古い集落を通過するS1の方が、車窓の風景が良い。 気に入った。 Hauptbahnhofで路面電車に乗換えて何時ものhotelにcheck in。 土曜日なので16:00までに買い物を済ませなくては。 取り敢えず荷物を置いて、街へ出る。 GasteigのKasseで06月のWandの券を買えないかと思ったが、流石に発売日前のは売って貰えなかった。 来シーズンのVorschauを貰って、HieberとLudwig BeckとHugendubelでお買い物。
Monatsprogrammを買ったが、Mullova以外に面白そうなものと言うとXerxesしか無い。 Operなんぞを観る気力と体力があるかどうか自信が無かったので、諦めて、Herkulessaalへ。
そもそも、普段から室内楽には魅力を感じて居ないものだから、過剰に辛口なことを書いて居るんだろうが・・・確かにMullovaは上手かった。 技巧的には聴いて居て不安が無いし、音もかなり綺麗だったと思う。 お気に入りのHerkulessaalの音響も心地良い。 聴き手である、僕自身の体調は良かったはずだ・・・なのに、何故全く感動しないのか?
終演後、Tarのビアホールへ。 受け取った英語のお品書きにSpargelが無い・・・未だ時期早いのかなぁと思いつつ、Spargelは無いの?と尋ねたら、独語のKarteが出て来て、無事Spargelを喰う。 これでやっとMünchenに来た甲斐があるってぇもんだ。


PROGRAMME
1999.04.21 20:00- : Musikhalle, Hamburg
Bruckner, A : Symphony No.7 in E major
Wand, G / NDR SO

1999.04.22 19:30- : Tonhalle, Zuerich
1999.04.23 20:00- : Tonhalle, Zuerich
Weber, CMv : Oberon Overture
Chopin, FF : Piano Concerto No.2
Brahms, J : Symphony No.4
Sanderling, K / pf. : Uchida, M; Tonhalle Orch., Zuerich

1999.04.24 20:00- : Herkulessaal, Residenz, Muenchen
Schubert, F : Quartettansatz fuer Streichquartett, D 703
Schubert, F : Octett F-Dur, D 803
vn. and cond. : Mullova, V; cl. : Moragues, P; hr. : Corti, G; fg. : Postinghel, M; vn. : Chamorro, A; va. : Krueger, E; contrabass : Stoll, K; vc. : Fischer-Dieskau, M


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