追っかけ日記 - RequiemからRequiemへの旅 -

last modified at 1998.10.25

初出 : 同人誌 Cecilia No.13 (1998.03?)を基に全面改稿

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チェリが亡くなって・・・墓参りでもしようかと思った。 別に信心深い訳じゃ無し、それどころか、祖父の墓さえ10年以上訪れて居ない。 でも、行ってみたかった。
既にO氏が、Paris在住のF2氏と訪れて居るので、墓の場所は判って居る。
墓は逃げない、キャンセルしない(^_^;)、何時でも演って(?)居る。
とは言うものの、欧州は遠い。 どうせ行くなら、何か面白い演奏会に合わせて行きたいという欲も有る。
まず、考えたのが、前回の旅行で外観を眺めるだけに終わったBeethovensaalで演奏会を聴きたいということ。 チェリの音楽が最も充実して居た時代に演奏会が行われて居た、Stuttgartの演奏会場は一体どんな場所なんだろうか。
で、日程を調べると、Radio-Sinfonieorchester Stuttgartは、ほぼ1ヶ月に1回は演って居るらしい。 演目の面白さと、他の都市での演奏会の予定とを天秤に掛け・・・で1997.10末に出かけることにした。
予定が決まってから気付いたのだが、今回の旅、最初に聴く曲はFaureのRequiem、最後に聴く曲もMozartのRequiem。 別に、狙って居た訳では無い。 興味をそそられた指揮者・オケ・演奏会場を挙げていったら、こうなってしまった。

1997.10.25
05:00頃起床、睡眠時間4時間。 荷作りを開始し(^^;)、06:30頃、taxiで土浦駅へ。 我孫子・成田で乗り換えて第1terminalに着いたのが、08:45頃。 航空券引渡が09:00からとのことで引渡受付へ。 最後の日本食を終えたら、することが無い。

Schipholは何時もtransitで、stop overするのは今回が初めて・・・到着したPier Fのarrivalのエスカレータを下って行くと・・・大層な行列。 速攻でU-turnし、喫煙所に戻る。 一服し再び戻るが大して減って居ない。 諦めてPier Gのimigrationへと向かうと・・・誰も並んで居ない、ラッキ(^_^)v 日本から来たのに何でこっちのgateに来たんだ?と言って居る様な気がする。 だって向こうは混んで居るんだもんと答え、無事入国完了。
国鉄でAmsterdam CS、更に市電に乗換。 Concertgebouwを通るのか?と訊ねると、頷いたので乗る。 停留所に着く度に、ここがConcertgebouwか?と訊ねて居たら、しまいには睨まれてしまった(^_^;)

Concertgebouwで明日の券をpick upし、予約して居たConcertgebouw側のhotelへ。
Check inの時、あんたラッキだね、今晩から冬時間だから、1時間余分に寝られるよとおじさんが宣う。 フロントに貼って居る図に依ると、03:00が02:00になるらしい。 02:00に待ち合わせ(* する奴は居ないか(^^;) *)したらどっちの02:00になるんだろう?

1997.10.26
ここ暫く、Europaに着いても時差ボケ(* 帰国後は何時も辛いのだが *)して居なかったので油断して居たが、04:30に目を覚ます・・・拙いと思ったら、実は03:30だった(>_<)

朝食後、王立美術館に寄るが、今一つ感慨が無い。
確かに「夜警」は凄いと思った。 中央の2人にスポット・ライトが当って居るかの様な、一瞬ハッとさせられる錯覚。 或は、誰の絵だったか記憶に無いが、昔の海戦の絵の波頭のリアルさ。 或は、これも誰の絵だったか、静物のガラス食器のガラスっぽ さ・・・リアルさ・錯覚。
じゃぁ、写真はどうなのか? 現代商業美術の騙し絵は?
自分は、「技術」に感動して居るのか? 「美術」に感動して居るのか?
結局無条件に納得出来たのは、ブリューゲルの奇怪な絵と、誰の作品だったか記憶に無いが、鵞鳥か何かが飛び立とうとして居る絵のみ。

さて、Herreweghe。 合唱の高度に制御された透明感を期待して居たのだが、どうも同時期に集中して聴いて居たBestと混同して居たらしい。 音が暖かく丸い・・・密度の有る音の心地好さに暫く身を任せて居たが、ふと思った。 「これは、Herrewegheの音なのか? それとも、Concertgebouwの音なのか?」・・・まぁ気に入ったから良いか。
バルコンの2列目ど真ん中というとんでもなく良い席だった。 だからだろうか、今回聴いたホールの中では最高の音だった。 これまで聴いた中でもHerkulessaalと双璧だったと思う。
# どうせ、あたしゃ、Musikvereinssaalを聴たこと無いしぃ(^_^;)

FaureのRequiemは、客観的に評価すれば、大変結構な演奏でありました。 只、チェリのFaureのRequiemのProbeを紹介したBBCドキュメンタリを思い出すと、ここはこんな指示をして居た、ここはこうは振らなかったと、そんなことばかり気に掛かる。
休憩時間に売店を漁る。 開演前に買おうかどうしようか迷って居たConcertgebouwの100年誌を捕獲。 蘭語だけど良いの?と訊ねられたが良い訳が無い。 でも、どうせ読むのは演奏記録だけ。 人名と曲名と日付位、頑張れば読めないことも無い。
休憩の後は、DuparcのLenore。 初めて聴く曲だが、Herrewegheはppからffまで振ることが出来る指揮者だと確認出来た。
# だって、それすら出来ない人が多いでは無いか。
# 今回だって、StuttgartのPretreはmfからfまでしか振って居なかった。
弦楽器が一旦席を離れる・・・と、係員が床の蓋を開け、安全柵が現れて、上手・下手が夫々ゆっくりと沈んで行く。 ステージに左右2つの四角い穴が開いた。 で、再び、せり上がって来ると、夫々にピアノが載って居る。 初めて訪れたと言うのに、オルガンは聞けるは、こんな派手な仕掛けまで見せて貰うはで、得した気分(^_^)
Stravinskyの詩編交響曲。 実演を聴くのは、Boulezに続いて2度目。 オケの音の冷たさはBoulezの方が上だが、声のcontrolは今回の方が旨い。

1997.10.27
CDGに到着。 案内板の矢印に従って歩いていくと、何時の間にか入国。 シェンゲン条約、便利なのは有難いが、パスポートにSchiphol以外の判が欲しい(^^;)
ここで、F2氏と無事、初対面(^^;)
Hotelまで送って頂く道すがら、ここがザール・プレイエル、ここがシャンゼリゼ劇場、ここがダイアナ妃の亡くなった場所・・・と観光案内までして頂く(_._;) 更にhotelに着いてから、Paris市内の主要書店・レコード店を教えて頂く。 こういう情報、観光案内には載って居ない。 勿論、観光案内に中古レコード屋なんか載せても喜ぶのは極少数なのは判って居るが。 この手の話は、やはり現地の方、しかもその手の趣味の方に伺うに限る。

レコード店を冷かした後、シャンゼリゼ劇場へ。 Tateは初めて聴くが、詰まらなかった。 フランス物を演ったのだが、しゃだつさの欠片も無い。 ホールの音も気に食わない。 弦の音は至近距離で聞く響きの欠けた音、管の音は遥か彼方のオフステージの音・・・丁度ob./fg.の列辺りが丁度良い。
こうなることは予想はして居た。 F2氏からも警告は受けて居た。 それでもこの日の演奏会を予約して貰ったのは、1975年、チェリがこのオケ・このホールで振って居たから・・・チェリはこんな酷い音のホールで振って居たのか? フランス国立管は、ここまで凋落したのか?

1997.10.28
F2氏のご厚意で、彼の車で、チェリの墓へと向かう。
墓の有る村までは、Paris市街から車で1時間半ほど。 地図で見ると、一応、村から10 Km位の所に鉄道が通って居るらしいし、実際、踏み切りを渡ったり、駅舎らしきものの傍を通ったりは、するのだが・・・きっと朝晩1往復だけとか、そういう次元の鉄道なんだろう、Thomas Cookには載って居ない路線だし。
電車で行こうなどと思って居た自分が浅はかだった。 で、運転免許を持って居ないものだから、こうやって、他人の厚意に甘えてばかり居る。

写真で何度も見たはずだったのに、こんなに小さいの?と言うのが第一印象。
周囲の墓石の方が大きかったりする。



ここに来る為に、同僚・上司の顰蹙を省みず、やって来たのだ・・・と言うのに、ただ、 ぼぉ〜っとして、ただ、手を合わせて居ただけ。 寒いなぁ、としか感じて居なかった。

泣き崩れるとか、これまで聴いたチェリの演奏の思い出が走馬灯の様に蘇るとか・・・何かもっと劇的な体験をするのかと思って居た。
でも、所詮墓石は只の墓石。 墓石が音楽を創る訳が無い。

でも来たかった。 ここに立ってみたかった。

チェリが住んで居た村は、本当に田舎だった。
チェリの葬儀が行われた、村に1軒しか無い教会と、その脇にバス停、教会の向いにある、チェリが生前パンを買いに来たこともあるという、村に1軒しか無い食堂・・・それに先程の墓地・・・多分公共施設はこれだけなんだろう。
自分自身田舎育ちだからだろうか、年老いたら余生を過ごしてみたい、或は、働き疲れたら年に数回滞在してみたい・・・そう思わせる様な村だった。
チェリの家の廻りは、後述の映画「チェリビダッケの庭」そのものだった。
小川も、柵越しに見える芝生も、犬達も。 違うのは、季節と・・・チェリが居ないこと。

また、訪ねて、チェリの家の脇の小川を眺めて半日位、ぼぉ〜っとしてみたい(* その為には、せめて日常会話程度のフランス語会話能力と、運転免許が必要なのだが・・・どちらも僕には無い *)と思う反面、余所者がみだりに来てはいけない場所の様な気もする。
Parisの様な都会には、観光者という人種が存在する余地があるが、田舎には余所者という人種は存在を許されて居ないのだろう、まして、観光客なんて。
別に、村人から白い眼で見られたという訳では無かったのだが、自分自身の中で自発的に異邦人を意識してしまう。

食堂で、珈琲を飲む。
室内は暖かく、蠅が元気良く飛んで居た。 こいつら、チェリと会った事があるのかもしれない・・・などと馬鹿な事を考えながら飲んだ珈琲は、6.00 FFrだったか、異様に安かったのだけは記憶にある。

F2氏の厚意には只々、感謝。 独りで来て居たら・・・独りだったら辿り付くのさえ覚束なかっただろうが・・・仏語以外通じない田舎の店で珈琲を飲む事は無かっただろう。

1997.10.29
内田光子・Eschenbach・パリ管。 Schumannの協奏曲は、ミケ・チェリで聴いて以来だろうか。 ピアノの音がこんなにも違うのかと、初めはがっかりする。 ミケと比べると華が無い・・・と思って居たのは最初だけ。 気がつけば、ドスの効いた迫力の有る音に酔って居た。 何故か「極道の妻たち」という言葉が頭をよぎる。
一方のEschenbach・・・思わず笑ってしまう様な指揮。 特に、マラ1。 こんなに楽しくMahlerが聴けるとは思っても居なかった。 過保護なのか、オケを信頼して居ないのか、テンポのみならず主要な所は、一音一音まで叩いて居る。 確かに、あんなにテンポを動かして居るのだから、テンポの指示位は忙しく振る必要があるのかもしれないが。
Schumannの冒頭、管の主題の急減速など顕著だったが、オケが追従出来ない位だった。 Probeが足りないのか、Probeとは違う棒だったのか・・・いずれにせよ、Eschenbachは、また聴いてみたい、出来れば彼の棒に慣れて居る、彼のオケで。 このまま、お笑い系指揮者であっても、聴く価値はある。 もしかすると、老いて化けるかもしれない。

1997.10.30
昨日、オペラ座のfnacで迷った挙げ句、買わなかったチェリのVTが気になる。 英語版と独逸語版は持って居るし、LDなら日本語版も持って居る・・・でも仏語版は持って居ない。 やはり、買うべきか・・・と言う訳で、hotelをcheck outした後、fnacへ(^_^;)
# 結局、SECAMなのに英語字幕でした(>_<)

CDG->STRは15 min遅れで搭乗開始、定刻到着。 不思議なもので、独逸語だって決して判る訳じゃ無いのだけど、独逸に着いた途端ほっとする。 ちょっとした、例えば、電車の到着時刻の案内とか、次の停車駅とか、単語の1つ2つも聞き取れればそれだけで嬉しい。 何しろ、フランスでは数字さえ聞き取れなかったんだから。

Hotelにcheck inし、荷物を置いて、Liederhalleへ。
入口のおじーさんに、当日券売り場は何処?と訊ねるが要領を得ない・・・どうも英語が通じないらしい(^^;) 開き直って「ヴぉー いすと でぃー あーべんとかっせ?」で何とか通じた。 尤も、答えが聞き取れない(^^;) 身振りからするに彼の背後の扉の奥、階段を昇った所にあるらしい。 で、開演1時間前になるまでは客を入れる気も無いらしい。

Abendkasseにて無事当日券捕獲。 どうせ明日の券を予約して居たし、他に面白い演奏会が現地で見つかるかもしれなかったし、体調がどうなるか予想出来なかったし、で、この日は、当日券。 試しに一番安い席を買ったら、雨宿り席だった。
これが不思議なことにそんなに音が悪くない。 前の晩までParisの乾いたホールを聴いて居て、耳が麻痺したのか? 響きが有る。

1階は通路が妙に広く、完全に平面。 前に座高の高い人が居たら辛いかもしれない。 SDRのTVカメラが(* 翌日も *)入って居て気付いたのだが、多分、Sendersaalとしての役割の方が優先されて居るのだろう、TVカメラが自在に動きまわるには都合が良い。
# 昔の映像から予想して居た造りでは無い・・・改装されたのか?
どうでも良いが、ステージから客席にスポット・ライトを当てるのは止めて欲しい。 眩しいではないか。

曲は、Hangarian Dancesから4曲とLa MerとTill EulenspiegelsとDaphnis。
いずれもこのオケとチェリが怪演を残して居る。 で、既にこのオケはチェリのオケでは無いことを再認識する。
それにしても、Pretreは振らない指揮者だった。 前の晩見たのがEschenbachだったものだから、今から思えばPretreの方が普通の指揮だった様な気もして居るが。 情に任せて積極的に制御しない様に見える所も多々有った。 少なくとも、Tillで各奏者のテンポ感が崩れ、まるで「3群の自立したorchestrasの為の音楽」になって居たのは、Pretreの責任の様な気がする。 しかも2日連続で。
とは言うものの、フランス国立管よりも、パリ管よりも、オケは巧かった。 只、面白さはパリ管(* Eschenbachと内田に依る所、大だが *)の方が遥かに上だった。
Parisにもう一泊し、Eschenbach・内田を聴くべきだった。 どうせ、Stuttgart ROは明日も聴く。

1997.10.31
書店とレコード店を冷やかす。 Brucknerのミサ2番で、持って居る記憶の無いものが3枚・・・手持ちのレコード番号表は持ち歩いて居るのだが、再発などでレコード番号が変更になればお手上げ。 1枚だけなら無条件で買いだが、同じ曲の持って居ない盤が3種類も見つかるなんてことは滅多に無い。 取り敢えず、指揮者・演奏団体などを書き写す。
一旦hotelに戻り、レコード店で控えた情報を検索する・・・1枚は番号違いだったが、2枚は確かに持って居ない盤だった。 当然、演奏会前に、レコード店に寄り、捕獲。
演奏会の感想は、前夜と変らない。 Daphnisで秀逸だったfl.の女の子が、前夜に比べれば、ちょっと冴えなかった・・・相変わらず、彼女が一番拍手を浴びて居たが。

1997.11.01
Hotelをcheck outし、駅の郵便局へ・・・何故閉まって居るのだろう?
取り敢えず何も考えずに、荷物と本の詰まった重い郵便物を抱えて、IRに乗る。
Münchenに着いて、まずは駅北の郵便局へ。 土曜でも昼までは受け付けるはず・・・と、やはり閉まって居る。 断られると判って、駅2階の郵便局へ行く。 「ここは2 Kgまで。 2 Kgを超える郵便物は、月曜に向こうの郵便局へ。」
諦めて、駅南のhotelにcheck in。 Marien Pl.のLudwig Beckは、今でもORFEO D'ORを15.00 DMで売って居るだろうか?・・・閉まって居る。 んじゃ、TarのMüllerは?・・・閉まって居る・・・行く先々が全て閉まって居る。 休日だったのか?
# カソリックの休日だったらしい
# ちなみに、1998.01.30に寄ったら、ORFEO D'ORは、17.00 DMに値上がりして居ました

諦めて、hotelに戻り、休息してから、Prinzregententheaterへ。 昨年?一昨年?改修されたばかりだが、かなり歴史の有るホールだそうで、天井の絵が実に見事。 椅子が木製だったのは辛かったが、響きが良かったので許す。

Schneidt指揮、Münchener bach-chorのモツレク他。 ロ短調ミサの盤が面白かったので、一度聴いてみたかった指揮者だった。
前半も、Mozartの合唱曲。 どの曲も振り終わった後、数十秒硬直したままで、曲の終りの静寂を強要して居た。 こういうのは悪くない。
で、モツレク。 あんなに独唱者の眼前に身を乗り出して振って、独唱者は恐くなかったんだろうか(^^;)と言う位、一生懸命な棒だった。 如何にも田舎の人の良いオジサンと言う風貌で、カリスマには絶対になれそうもない。 でも、奇を衒わない誠実な面白さがある。

1997.11.02
映画は11:00から・・・何時ものクセで、1時間前に当日券売り場に着いてしまうが、未だ閉まって居た(^^;) 軽く散歩でもと歩くと、Liebfrauen教会から歌声が漏れて来る。
案内板を見ると、Requiemがどうのこうのと書いて居る。 今回の目的に相応しい。 入ると、何かのミサ曲を演って居たのだろうか、天井の高い音の響く教会で、澄んだ声を聴いて居ると、柄にも無く敬虔な気持ちになる。 間も無く、合唱は終り、何やら説教が始まる・・・当然、脱走(^^;)
10:30、周囲のあちこちの教会の鐘が鳴り始める。 ちょっと濁った鐘の音が、当然教会間で調律がされて居る訳も無く、不思議なうなりを伴って重なり合う様は、何かに似て居る・・・何だっけ?・・・ガムランだ! と連想するのは僕だけなんだろうか。

10:45、そろそろ良いだろうと映画館に戻る。 独逸の映画館は座席の列毎に料金が違うらしい。 最前列が10.00 DMで、数列毎に1.00 DMづつ高くなる。 深く考えずに、15.00 DMの席を買う。
映画は、「チェリビダッケの庭」。 チェリの息子が制作したその映画は、映画としての出来は、はっきり言ってSchmidt-Garreの制作したチェリのドキュメンタリ映画"Celibidache Man will nichts - man läßt es entstehen"と比べ、遥かに駄作だった。 学生を指導して居る風景や、Münchner Phil.のProbeや本番での情景が、細切れにカットされ、合間合間に、今はチェリの墓の有る村の、彼の別荘で、水鳥や飼犬と戯れるチェリの老体を写して居る。 数日前に目撃したばかりの風景を何度も見せられて、懐かしい。
それにしても、Münchenの客は良く笑う客である。 チェリが学生に嫌味を言う度に笑い声が興る。 映画の半分はフランス語(* 当然、独逸語の字幕有り *)、残りは殆ど独逸語・・・当然、何を言って居るのか判らない。 だからかもしれないが、同じ140 min超の映画なら、何か適当なProbeをno-cutで収録して居た方が、音楽家としてのチェリに対するファンとしては有難かった・・・多分、息子が父を写した映画だから、こういう映画なのだろう。

母に捧げ、父の協力に感謝するとの字幕で映画は終わる。

夕食は、何時もの金魚酒楼。 Gasteig向いのこの中華料理屋は、チェリが時々訪れて居たと言う。 飽きもせず、Weissbierと炒飯を頼む。 知人が1996.09に、チェリがここで炒飯を食って居るのを目撃したと聞いてから、毎回、ここで炒飯を喰って居る。 別に、炒飯喰ったからと言って、僕の耳が良くなる訳じゃ無いんだが(^_^;)
翌朝は空港に向かい、AMSで乗り換えてNRTに向かうのみ。

僕にとって唯一の音楽家であるチェリの墓を訪れたら、何かが変わると思って居た。 結局、何も変わっては居ない様な気がするのだけれど。

PROGRAMME
1997.10.26 14:15- : Concertgebouw, Amsterdam
(* Abonnementsconcert Serie Z *)
Faure, G : Requiem, op.48
Herreweghe, P / sop. : Rubens, S; baritone : Roth, D; Amsterdam Concertgebouw Orch.; Nederlands Kamerkoor
Duparc, H : Lenore
Herreweghe, P / Amsterdam Concertgebouw Orch.
Stravinsky, I : Symphony of Psalms
Herreweghe, P / Amsterdam Concertgebouw Orch.; Nederlands Kamerkoor

1992.10.27 20:00- : Theatre des Champs-Elysees, Paris
Chabrier, E : Le Roi malgre lui; Danse slave
Canteloube, J : Chants d'Auvergne
Poulenc, F : Les Biches
Debussy, C : La Boite a joujoux
Tate, J / mezzo-sop. : Schaer, H; French National Orch.

1992.10.29 20:00- : Salle Pleyel, Paris
Schumann, R : Piano Concerto in A minor, op.54
Eschenbach, C / pf. : 内田 光子; Paris Orch.
Mahler, G : Symphony No.1 in D major, "The Titan"
Eschenbach, C / Paris Orch.

1992.10.30 20:00- : Beethovensaal, Liederhalle, Stuttgart
(* Abonnementkonzert Miete A *)
1992.10.31 20:00- : Beethovensaal, Liederhalle, Stuttgart
(* Abonnementkonzert Miete B *)
Brahms, J : Hungarian Dance No.1 in G minor
Brahms, J : Hungarian Dance No.3 in F major
Brahms, J : Hungarian Dance No.4
Brahms, J : Hungarian Dance No.5 in F# minor
Debussy, C : La Mer
Strauss, R : Till Eulenspiegels lustige Streiche, op.28
Ravel, M : Daphnis et Chloe; 2nd Suite
Pretre, G / Stuttgart RO

1992.11.01 20:00- : Prinzregententheater, Munich
Mozart, WA : Adagio and Fugue in C minor, K 546
Schneidt, HM / Muenchener Bach Orch.
Mozart, WA : Ave Verum Corpus, K 618
Schneidt, HM / Muenchener Bach Orch.; Muenchener Bach Chor
Mozart, WA : Maurische Trauermusik in C minor, K 477
Schneidt, HM / Muenchener Bach Orch.
Mozart, WA : Mass No.19 in D minor, K 626, "Requiem"
Schneidt, HM / sop. : Nadelmann, N; alto : Schubert, C; tenor : Ullman, M; bass : Scharfenberger, T; Muenchener Bach Orch.; organ : Schloter, E; Muenchener Bach Chor

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