追っかけ日記 (1993.04来日好演 後半)

last modified at 1998.10.30

初出 : 某BBS (1993.05)を再構成

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1993.04.22
今回、ブル3を演るのはこの日だけ。 地下鉄赤坂駅を出ると・・・凄い雨
僕は傘というモノが好きじゃないんで、濡れて行きました。
# コンサート前にする行動じゃないな
# それでも開演までには結構乾きましたけど

結論から言うと・・・悲惨な演奏会でしたね。
一緒に聴いて居た知人達程、ボロ糞に言うつもりはないんですが・・・

部分部分を見ると、チェリの意図が感じられない演奏会では無かったと思うんですよ、僕は。 あのMETEOR盤のブル3の様な素晴らしい音が所々は聴こえて居た様な気がするんです。 只、それが、あくまでも瞬間瞬間でしか過ぎなかった。

また、楽器間のテンポ感・音量・呼吸という意味でも、バラバラだった。 Stuttgart時代の録音を聴くと、確かにチェリはそういう面での制御能力も凄いものです。 只、Münchner Phil.に移ってからは、必ずしも、その辺の制御をきちんとしようとして居たとは限らないんじゃないかと思っています。 別にここ数年の問題じゃ無しに・・・つまり「老い」とか言う問題じゃ無しに。
例えば、1986年の上野文化会館でのブラ4の冒頭なんか、僕には意外でした。 StuttgartのairCheckを聴き、丸山真男の文章(* 今手元に無いんだけど、岩波新書の「フルトヴェングラ」とかいう本の対談の中で言ってること *)を読んで与えられた先入観とは異なる音でした。 こんなに無神経な音の出し方をする人だったっけ、チェリは?というのが、その時の印象。 まぁ、結局その時も、次第次第に興奮させられて・・・という結果になったのですが。
# 勿論、これは僕個人の見解。 やっぱり数年前までは文句無しに良かった、
# 今回は単なる老醜を見てしまったという見解の方が多数派でしょうなぁ

只、このブラ4にしても他の演奏にしても、クライマックス(* 必ずしも最後とは限らん様ですが *)には、完全に僕を虜にしてくれる、それまでの疑問や失敗を帳消しにしてくれる時間が有ったハズなんです、これまでのチェリは。
例えば、04.17の大阪のハイドンですと、1st mov.では確かに(-_-)という所もあったけど、4th mov.を聴いてたら、「皆許しちゃう(^_^)」って気になった様な・・・
# 評価の甘いヤツ(^_^;)
まぁ、全好演の追っかけなんてしたの初めてだし、これまで偶然そういう不幸に会ったことが無かっただけなのかも知れないんですが・・・
とにかく、この日は、不満を帳消しにしてくれるモノ・盲目にしてくれるモノが感じられなかった(;_;)

唯一良かったのはcl.かなぁ・・・どうも僕はMünchner Phil.の木管、好きになれなくて(^_^;)・・・fg.は比較的良いのですが、特にcl.で安心して聴けた例がない。 技量という意味でもそうですが、音質という意味でも好みじゃない(^_^;)
この日のcl.、今まで聴いたMünchner Phil.のcl.の中で一番安心して聴くことが出来ました。

まぁ、ブル4もハイドン&チャイ6もそうだったし、OさんのMünchenでのベト9体験でもそうだったらしいし・・・1回目のプログラムは、外れる可能性が高い様ですねぇ
もし、予定通りのプロで、もう一回、ブル3を演って居たら・・・と思わずにはいられない演奏会でした。

この後、この回の演奏評の載った、音楽の友・音楽芸術・音楽現代に、眼を通しました。 音楽現代以外は、まぁ・・・買わんでも良かったかなぁ(^_^;)

それにしても解せないのは、某UNO!さんを始め僕が読んだ全ての評で、あのブル3をベタ誉めしていたこと。
ちょっとショックだったんですけどねぇ、あの夜は。 あれがチェリの演奏?という(* まぁ部分的にはチェリの音楽だったけれど *)思いと、この日だけ聴いた聴衆に「あの演奏だけでチェリの評価をしないでね(;_;)」という思いと・・・
それがまぁ、あの誉め様(^_^;)
うぅむ・・・感覚が違うのね、僕と偉い先生方とは(^_^;)

1993.04.24
3回目且つ最後のブル4です。 雨を恐れて、嫌いなバス(* 新橋→アークヒルズ *)に乗ったのだけど、結局雨は降らなかった(^_^;)

ブル4ということで、聴く前から気分が楽でした(^_^)
多少ミスが有ったとしても、基本的な演奏は、良くなることは有っても悪くなることは無いでしょう・・・多少酷い演奏になったとしても、あの終楽章で全てを帳消しにしてくれるでしょう(^_^)

もう、贅沢なもので、S席からP席に移動してチェリの表情を見て居た方が面白いだろうかなどと、悩んで居たりなどする訳で・・・もし、P席に移動したとして、今回のブル4で更に最高の演奏されたら悔しいな(^_^;)などと考えると、やっぱり席を移れない(^_^;)

演奏そのものについては、流石にもう書くことはないなぁ(^_^;)
04.20の大阪のブル4では、hr.とtimpaniの音が少し曇りがちで、それが気になったのだけれど、今回はそれが無かった・・・という程度かしらん。
只、チェリの様子とか見てると、大阪の方が断然お気に入りの様で、そういうことから想像すると、単に、大阪の僕の座った席が悪かったのかも知れない。

僕が一番面白かったのは、一緒に聴いて居たMさんの反応。
3年前の僕を見ている様でした。 あの時の僕と、あの日のMさんに共通するのは、「困惑」。
3年前の僕はブル4どころかブルックナ自体知らんかったし、一方のMさんは知る人ぞ知るブルックナ・ヲタク(^◇^)だったのですが。 僕の「困惑」は、「知らん曲だけど・・・うぅむ凄いじゃん(@_@;)」ですし、多分彼のそれは、「ブル4は、こんな曲じゃ無い・・・でも・・・」でしょう。
後、違うのは、彼はチェリに対して盲目的ではないし、僕はチェリの音楽に対して素直(^◇^)vだということ・・・彼とはもう少し話していたかったなぁ

最後に一言。 この日でしたかねぇ・・・
隣の爺(-_-)が、演奏中にパンフレットをめくるは、パンフレットの隅にメモをとり始めるはしてたのは(-_-)・・・あんたは評論家か?(−_−)
確か90年のサントリでは、「音楽を楽しむ為に・・・パンフや荷物は椅子の下に置きませんか?」みたいなビラ配ってる団体が居たんですが・・・
レコード聴くんだったら、別にスコア見ながらでも、解説見ながらでも、Niftyserveのlog見ながら(* 実は良くやってる(^_^;) *)でも、良いんですけど・・・
人に迷惑にならなかったら別に関係無いんだけど、あたしゃ紙音って気になるのよねぇ(-_-)
# まぁ、咳が止まらないヤツも迷惑ですが > 自分(_._;)

1993.04.26
この日の演目は、未完成とベト6。 このプログラムは初日ですね。
思わずブル3の日の嫌な予感が・・・(^_^;)

未完成は、クナの盤の悪魔的なおどろおどろしさが面白くて、比較的聴く様になった曲です。 殆どの曲の場合、ブルックナにしても、チャイ5にしても、チェリの演奏で初めて接して、「をぉ(@_@) この曲良いじゃん(^_^)v」と思い・・・他の人の盤を集めて、「あれッ?(@_@;) こんな曲なの、普通のは(>_<)」・・・という事が多かった(^_^;)
今回は、僕にしては珍しく(^_^;)、チェリの演奏を聴く前に「予備知識」が出来ている曲・・・聴く前から色々想像して楽しんでおりました。 冒頭の弦バスをネチッ濃くして、その直後、超ピアニッシシシシシモ・超スローテンポでvn.が入って・・・みたいな気色の悪い(^_^;)シューベルトを期待しておりました。

意外にあっさりした未完成でしたね・・・って、同感と思う方、居るかしら(^_^;)
# Niftyserveで伺った他の方の感想とは明らかに違うなぁ(^_^;)
手持ちの盤で見ると、速い人は22 min位ですが、Sinopoli程度(^_^;)でも29 min。 そんなに遅い・・・という訳じゃ無い・・・まぁ1時間も演れと言う訳じゃ無いのですけど(^_^;)
単に演奏時間だけの問題じゃ無しに、物凄く、ためらいがちな(* 逆にこれが面白かった(^_^)v *)未完成だった様な印象を受けました。

で、ベト6。 この曲は全く馴染みが無い(^_^;)
手持ちの盤を検索してみたら、チェリ以外の演奏は持ってませんでした(^_^;) そんな訳で、どこがどうだと、部分部分を取り上げることが出来る程、この曲に思い入れはありません(^_^;)
細部まで明瞭に描きつつ、且つスケールの大きい演奏・・・一言で言うとこうなるのかなぁ・・・なんかStuttgart時代のチェリに対する感想を書いてるみたいだ(^_^;) でも、Stuttgart時代の録音とは明らかに違う音ですね。
その辺を表現する言葉が見つからない(>_<) 「細部まで明瞭に描」いているのだけれど、「緻密」では無い・・・これじゃ、けなし過ぎだな・・・ともかく、Stuttgart時代には「有った」ものが何か欠けている・・・そんな気がしました。
# まぁ、「欠けている」ことが即、悪いことでは無いんですけど

また、大編成であるにも拘らず、室内楽を聴いて居る様な妙な感覚でした(^_^;)
(* 弦バスしか見てないんだけど、ハイドンと未完成が6本で、それ以外の曲は全て10本でしたね・・・他のOrch.は良く知らん(^_^;)のだけれど・・・これって結構ハデな編成ですよね、多分; 流石にラッパは(* 5本ではなく *)2本でしたが・・・ *)

室内楽ってぇのは、勿論、小「人数」の「楽器」と「楽器」のアンサンブルな訳ですが・・・小「パート」の「楽器群」と「楽器群」のアンサンブルも又室内楽なんだなぁ・・・と。
(* まぁ、Brucknerでも何でも、ホールという「室内」で演ってりゃ、室内楽なのかも知れない・・・(^◇^) *)

意外に・・・「僕がBeethovenなんかで面白いと思うなんて・・・」と言う意味で、「意外に」面白かったBeethovenでしたが、終演後、いきなりの拍手(-_-)、余韻に浸る間も無かった・・・(>_<)

1993.04.28
この日の演目は、ハイドンとチャイ6。

池袋の東京芸術劇場、初めて行きましたが・・・凄いホールですねぇ
1Fの前から後ろを見渡してみたのですが、3Fの奥が霞んで見えない(^_^;) 普通のホールって、2F中央前が良い席であることが多いと思うのですが、ここって1F中央位がベスト位置なんでしょうか?
で、この日の席は、1Fの前から5列目中央。 とにかく席が悪かった。 Vn.とvc.の音が変なんです。 ガサついた音というのか・・・耳元でvn.を吹かれて居る様な音。 下手をするとvn.1本1本を聞き分けられそうな席でした(>_<) で、管楽器は逆に間接音ばかり・・・生々し過ぎるvn.の音の隙間から、管が遥か彼方で鳴っている様な・・・管楽器の音は結構奇麗だったのですが・・・なにせ弦の音が(;_;)
多分、後ろの方は良い音だったんだろうなぁ(>_<)

あまり生のOrch.を聴いた事が無い(^_^;)んですが、他のホールも、前の席ってこんな感じなのですかねぇ・・・良く写真で見るガスタイク、指揮台と客席の間が、かなり広くなってますが・・・この辺を意識したものなのでしょうか?

まぁ、悪いことばかりじゃ無い訳で・・・その替り、チャイ6で声が聞こえました(^_^)
チェリ、吠えてます、未だに・・・(^_^)v

尤も、昔はもっと声が大きかったんですよねぇ・・・
1986年の人見は前から26列目、同じく上野は前から17列目でも、Full Orch.を凌ぐ声量で吠えて居たんですが・・・

そんな訳で、orch.の全体のバランスが極端に悪い(-_-)環境でしたので、演奏の出来を判断出来兼ねますね(>_<)
多分、想像するに名古屋の好演(^_^)vに近い、良い出来だったのではないでしょうか・・・少なくとも大阪の演奏程、酷くはなかったと思います。 なんて書くと酷い演奏だった様に読めてくるなぁ(^_^;)
実に得難い体験だったと思っていますし、素晴らしい演奏だった・・・多分、他の指揮者では絶対に無理な演奏だったと思います・・・只・・・

名古屋でメンバチェンジが有ったと書きましたが・・・この日のメンバは大阪のそれに戻って居た様な気がします。 団員全員を確認した訳じゃ無いのですが。
名古屋のは一体何だったんだろう?

1993.04.30
池袋での未完成とベト6・・・いよいよ日本好演の最終日。
04.28からやや後ろという程度の席。 よって04.28で感じた音響の不満は殆ど解消されて居ない(>_<)

2週間に渡る追っかけですっかり体調を崩してしまったものだから、咳が止まらない(>_<) ひたすら咳を堪えることに神経を集中させ、それでも堪え切れずに、咳を連発するわたし・・・僕自身不本意だったのだけれど、周囲の聴衆はもっと迷惑だったことでしょう・・・懺悔(_._;)
な訳で、咳と格闘して居る内に、未完成は終わってしまった。 流石にベト6までには咳を止める事は出来たのだが、すっかり体力消耗。

あぁ、これでもうチェリを聴くのは最後かなぁ・・・聴けたとしても、更に老醜を聴かされることになるんだろうなぁと、ちょっと暗澹たる思い。
# 幸い、僕の予感は見事外れ、驚異的なベト3を聴く事になるのですが(^_^)v
# まぁ、僕の予感なんてこんなものです(^_^;)

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PROGRAMME
1993.04.15 19:00- : Tokyo Bunka Kaikan, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30); 406th Tomingekijo Music Circle Regular Concert *)
Bruckner, A : Symphony No.4 in Eb major, "Romantic"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.17 19:00- : Symphony Hall, Osaka
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Haydn, FJ : Symphony No.92 in G major, "Oxford"
Tchaikovsky, PI : Symphony No.6 in B minor, op.74, "Pathetique"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.18 18:00- : Aichi Prefectural Art Theater Concert Hall, Nagoya
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Haydn, FJ : Symphony No.92 in G major, "Oxford"
Tchaikovsky, PI : Symphony No.6 in B minor, op.74, "Pathetique"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.20 19:00- : Symphony Hall, Osaka
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Bruckner, A : Symphony No.4 in Eb major, "Romantic"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.22 19:00- : Suntory Hall, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Bruckner, A : Symphony No.3 in D minor
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.24 19:00- : Suntory Hall, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Bruckner, A : Symphony No.4 in Eb major, "Romantic"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.26 19:00- : Suntory Hall, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Schubert, F : Symphony No.8 in B minor, D 759, "Unfinished"
Beethoven, Lv : Symphony No.6 in F major, op.68, "Pastoral"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.28 18:00- : Tokyo Metropolitan Art Space, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Haydn, FJ : Symphony No.92 in G major, "Oxford"
Tchaikovsky, PI : Symphony No.6 in B minor, op.74, "Pathetique"
Celibidache, S / Munich Phil.

1993.04.30 19:00- : Tokyo Metropolitan Art Space, Tokyo
(* Japan tour (1993.04.15-04.30) *)
Schubert, F : Symphony No.8 in B minor, D 759, "Unfinished"
Beethoven, Lv : Symphony No.6 in F major, op.68, "Pastoral"
Celibidache, S / Munich Phil.

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