追っかけ日記

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書下ろし

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2001/2002 Seasonの予定表を漁って居て、一番驚いたのが、Ibertの祝典序曲が予定に載って居たことだった。
Martinonが好きで彼の盤を集めて居た頃、EMI盤を聴いて、この曲を好きになった。 日本の皇紀2600年を記念して、当時のフランス政府から当時の日本政府への贈り物として作曲されたからだろう。 敗戦後は殆ど演奏されて居なかったと思う。
東映映画のタイトルバックの波頭の様なゴングと、そこから浮かび上がってくる、海のうねりを思わせる弦の冒頭部、しみじみと訴え掛けるサキソフォン・ソロ・・・こんな銘曲が埋もれて居るのは、僕にとっては不思議だった。
それが、遂に、実演を聴ける!

2002.04.04 (Do)
久々の・・・と言うよりは、未だ数回しか訪れたことが無いNHK Hall。 しかも、これまで3階自由席しか座ったことが無かったが、今回、初めてParkettに座った。 3階席で聴いてきた不満、例えば、音の遠さは、多少は緩和されたものの、1階席の前の方に座って居るにもかかわらず、音厚感が無い。
自作自演は・・・一体、何だったんだろう。 プログラムを読むと、どうもブルックナへのオマージュらしいのだが、良く判らないゲンダイオンガクで終始して居た。

2002.04.05 (Fr)
N響はSkrowaczewskiの棒に付いて行って無い。 Skrowaczewskiって言うんで、過剰に期待し過ぎたか。 何かもっと硬質の音が聴こえても良さそうな気がするのだが、まぁ、こちらは小屋の問題かもしれない。

2002.04.08 (Mo)
ピリスは、独奏だけで良かった様な気がする。 癖のある、アクセントがはっきりして居る音だから、素人にも特徴が判って聴き易い。 歌手には申し訳ないがピリスのsoloで聴きたかった。

2002.04.13 (Sa)
午前中のNWラウンジは禁煙の部屋しか開いて居ないので、ビール2杯を急いで流し込み、喫煙所でウダウダとして居た。 更に機内で赤ワインをがぶ飲みしたら・・・すっかり酔いが廻ってダウン。 体調が悪かったので、いっぱい呑んで寝ようと思ったのが裏目に出たらしい。

当日券は楽勝で捕獲。 ペトルーシュカは原作通りの演出らしく、確かに、御者は踊るは、乳母は踊るはで、無条件に楽しめた。
春の祭典、初めて観たZürichも、2 Produktion目のBaselも、女主人公の目覚めと言った類の演出だった。 今回は、黄色(い衣装)の部族と赤い(衣装の)部族の接触・戦い・交歓と言う物語で、これはこれで面白かった。 踊りの質(と言っても、素人目に綺麗だったとか、超人的な動きだったとかだが)は、Zürichのが未だBestだが、演出としては、今回のが面白かった。

2002.04.14 (So)
電車でEssenへ移動。 Schließfächerに荷物を預け、Tageskasseへ。
Sternと言う人、Nürnberger Symphonikerの監督で、昨シーズン(聴きには行けなかったが)、Stephanの曲も取り上げて居て、興味があったのだが・・・思いっきり若造で、演奏自体は余り面白くなかった。
それにしても、前回のEssenもシベ7、今回のEssenはシベ2。 劇場の名前はAalto Theatre (Finlandの建築家Alvar Aaltoの名が付いて居る)。 Essenって北欧と何かあるのかしらん?
 
再び電車でBonnへ。 Bahn Cardが使えなかったDüsseldorf-EssenがEUR 7.10で、それより長距離のEssen-BonnがEUR 4少々というのが解せない。
最初は、Fruehling。 この劇場も、Baselと同様、ピットが無く、舞台の奥にオケが居る。 舞台下手に椅子が3脚づつ計6脚。 オケがtunningして居ると、下手の扉から踊り手が本を抱えて一人登場。 更に、一人二人と本を抱えた踊り手が登場し、既に舞台に居る踊り手にGrüß Gott!(Bayernの挨拶(方言))とご挨拶。
先に登場した踊り手は、何やら本の朗読をして居るが、踊り手が登場する度に、中断して、Grüß Gott!
6人揃ったところで、今度は指揮者登場。 6人の踊り手に一人づつGrüß Gott!と挨拶して舞台奥の指揮台へ。 突然、楽団員が声を揃え大声でGrüß Gott!と叫んで、場内爆笑。
春の祭典は、部族の目覚めを象徴している点では、昨日のDüsseldorf系か。 舞台中央奥に塔があり、水の滴りを何度も強調すると言う構図は、Basel系でもあるのだが。 女の一族と男の一族が、警戒しながら接触・諍い・交歓していく。
第1部終わりで全裸の男女(@_@)が出て来て・・・視力の悪さを嘆く(^_^;)

2002.04.15 (Mo)
Bernsteinのミサも又、一生の内、1回聴けるかどうかと思って居たものだから、寄ってみた。
冒頭のKirie、Tape play-backの音が悪いのが、やや興醒め。 古典的な小屋であるMusikhalleと、tapeやエレキギターの音が馴染まなかっただけかもしれない。
バーンスタインのミサは、シンプル・ソングだけが記憶に残って居たんで、こんなに長い曲だったのかと実感。

2002.04.16 (Di)
Ibertの祝典序曲なんて、一生の内、1回聴けるかどうか・・・って、こればかりだな(^_^;) とは言え、日本の皇紀2600年を祝う為に委嘱された作品(当時、読み終えた「フルトヴェングラー 幻の東京公演」ISBN4-931284-81-7にも、この辺の経緯が書いてある)なだけに、政治的に、演奏は難しいんだろう。
戦後の録音としては、MartinonのEMI盤(と言うか、この盤を聴いて、この曲の良さを知った)と佐渡のNAXOS盤位しか無いのだと思うが、Martinon盤1枚あれば十分・・・というのを再確認しただけだったかもしれない。
Gewandhausの、演奏会場としての色気の無さは、前回聴いた時も感じて居たのだが、それが曲の魅力を殺して居た。 冒頭の混沌からファンファーレが浮かび上がるところとか、音の色彩感が単調だと、寂しい演奏になってしまう。
事前に期待し過ぎたのが悪かったのかもしれない。 単にIbertの祝典序曲の実演を聴いたという実績だけが残った。

2002.04.17 (Mi)
ZRH行は10分遅れで離陸し、定刻の15:40到着。 入国しようとしたら呼び止められて税関検査(^_^;) ZRHで鞄を開けさせられたのは2度目か。 1時間に1本のIRは毎時43分。 どうせ、15:43の電車には間に合わないんで、どうぞ気が済むまで見て頂戴。
Zentralstrasseに在る建物をCentre CTSと勘違いして居たのだが、こちらは未だ建築中のCongresshaus。 慌てて再度地図を見直して、勘違いに気付いたのが19:15。 結局、駅の直ぐ裏の、とても演奏会場とは思えない、ボロい倉庫の様な建物がCentre CTSだった。 Programmeに"Abschied vom Centre CTS"なんて言う演奏会の案内が載って居たので、多分、今シーズン限りなんだろう。
舞台に、コントラバスが2本しか居ない。 意図的に編成を絞って居るのかと思ったが、後でProgrammeを見たら、元々2人しか居ない。 田舎町のオペラハウスのオケが、トラを入れずにそのまま舞台に乗ったということらしい。
それが結果的に、贅肉を絞った演奏となって聴こえてくる。 小屋は、外見通り、決して音響効果が良いとは言い難いのだが、編成の小ささが、必ずしも音の薄っぺらさとはなって居ない。 こじんまりとではあるが、しっかりとまとまって居て、好印象。
それなりの密度を保ちつつ、締まった演奏だったのは、指揮者の腕だろうと思う。 そういう意味で、(今回は来て居なかったが)Hoさんが、日本からわざわざHorvatを追っ掛けて居るというのは判る気がする。
終演後、Horvatの客演10周年ということで、記念品贈呈。 ドイツ語とフランス語の、2ヶ国語圏だけあって、ドイツ語で祝辞を述べる男性と、フランス語の女性から、夫々贈り物。

2002.04.18 (Do)
今シーズン(2002夏)からBSL発着もVisitEuroPassの対象になったんだそうで、前回、KLの切込みで3万円だったBSL-THFの運賃が、今回は1万2千円(税抜)。 それにしても、この風情あるTHFが廃港(2004年)とは悲しい。
当日券を求める何時もの長蛇を見掛けて、合唱付きの演奏会だからどうするのだろう(普段だと、合唱席にも客を入れる)と思って居たら、合唱席の最後列2列にも客を入れて居た。
肝心のStravinskyは、10人の管楽器奏者の音が、もたついて居たし、SanctusでRattleが煽っても付いて来ないし・・・で、余り好みの演奏では無かった。 まぁ、こんなでかい小屋で演る曲では無かったってことだろう。
ベト9は、とにかく力が入った演奏だった。 弦もこれだけ思いっ切り弾かせて貰えれば、さぞかし堪能しただろう・・・とは言え、そういう肩に力の入り過ぎた演奏だと、mezzoforteが延々と続くことになる。
3楽章になってようやくtuttiでもpianoの音が聞こえて来たが、デリカシィが無い。 辛うじて、技巧が勝って居るものだから、聴いて居て興奮出来るのだが、紙一重で、雑な演奏と聴こえないことも無い。
なんてことを想いながら聴いて居たが、終わってみれば、まぁこれだけの熱演を聴かせて貰えたんだから、取り敢えず興奮はしましたよという印象。 こういう演奏なら、Rattleの評価が高いのも頷ける・・・僕は好みでは無いけれど。
Wandの圧倒感とはひと味違う、「音厚」な演奏だった。

2002.04.19 (Fr)
前座のチャイコン。 独奏者が、喧嘩を売って居るかの様な弾き方で、これはこれで面白かった。 沼尻も調子を合わせて、攻撃的な音を出すものだから、視覚的効果もあって、ボクシングの試合でも観て居る様な面白さがあった。 普段、枯れに枯れ切った爺ぃの演奏ばかり聴いて居ると余計に、こういう演奏は、新鮮で面白い。
それにしても風変わりな独奏者で、アンコールに、自作の詩の朗読!をしたのには絶句。 ホワイエで自作の詩集を売って居たと言うだけで十分に変人だと思ったんだが。

肝心のRott、3楽章の弦楽器のKannonでの強烈なデフォルメは無かったし、その後のhr.のsoliでのstand playも無かったし、トライアングルを2本鳴らし分けもしなかったし、Mahlerの7番みたいなカウベルも無かったし・・・前回聴いたSegerstamが、如何に楽譜をいじって居たかを再確認。 逆に言えば、今回の沼尻は、真っ向勝負。 奇を衒わず、全力で曲に取り組んで居た、その意気込みに好感を覚えた。
座席が悪かったのか、小屋自体の音なのか判らないが、音が篭もり気味で、飽和し易かったのと、技量的には必ずしも安定して居なかったのを除けば、今まで聴いたRottの中で一番だったかもしれない。 尤も、こういう普通の演奏を、普通に真面目な音で聴いて、それを一番だったと言うのは悲しいのではあるが。

終演後、会場の外に出たら、河畔で花火をやって居た。 盛大な打ち上げ花火を眺めつつ、地ビールを呑む。 予想外の好演だったので、ビールが旨い。

2002.04.20 (Sa)
Gielenだというのに意外に印象に残らない演奏だった。 もっと鋭利冷徹なStravinskyを聴かせてくれるかと期待して居たのだが。
極普通に上手くて、でも超上手いという訳でもなくて・・・こんなのを聴きたくてBerlinに戻って来た訳では無い。


PROGRAMME
2002.04.04 19:00 : NHK Hall, Tokyo, JP
2002.04.05 19:00 : NHK Hall, Tokyo, JP
Skrowaczewski, S : Concerto for Orchestra
Bruckner, A : Symphony No.9 in D minor
Skrowaczewski, S / NHK SO

2002.04.08 19:00 : Takemitsu Memorial, Tokyo Opera City, Tokyo, JP
Beethoven, Lv : Adelaide, op.46
Schubert, F : Klavierstück in E-flat minor, D 946/1
Beethoven, Lv : Die laute Klage, WoO 135
Beethoven, Lv : Abendlied unterm gestirnten Himmel, WoO 150
Schubert, F : Piano Sonata in A major, D 664
Schubert, F : Nacht und Träume, D 827
Beethoven, Lv : Piano Sonata in C# minor, op.27/2, "Moonlight"
Schubert, F : Frühlingsglaube, D 686
Schubert, F : Du bist die Ruh', D 776
Schubert, F : Bei dir allein, D 866/2
Beethoven, Lv : 32 Variations for Piano in C minor, WoO 80
tenor : Müller, R; pf. : Pires, MJ

2002.04.13 19:30 : Opernhaus, Düsseldorf
Stravinsky, I : Petrushka
Stravinsky, I : The Rite of Spring
Deutsche Oper am Rhein

2002.04.14 11:00 : Aalto Theatre, Essen
Bernstein, L : On the Waterfront; Sinfonische Suite
Zimmermann, BA : Trumpet Concerto in C major, "Nobody knows de trouble I See"
Sibelius, J : Symphony No.2 in D major, op.43
Steen, Jv / trp. : Stockhausen, M; Essener Philharmoniker
2002.04.14 19:30 : Opernhaus, Bonn
Schwehr, C : Frühling
Stravinsky, I : The Rite of Spring
Choreographisches Theater Bonn

2002.04.15 20:00 : Grosser Saal, Musikhalle, Hamburg
Bernstein, L : Mass
Metzmacher, I / Philharmonisches Staatsorchester Hamburg

2002.04.16 20:00 : Grosser Saal, Gewandhaus, Leipzig
Ibert, J : Ouverture de Fete
Dutilleux, H : Tout un monde Iointain ...
Shostakovich, D : Symphony No.1 in F minor, op.10
Baudo, S / vc. : Gastinel, A; MDR Sinfonieorchester

2002.04.17 20:00 : Centre CTS, Biel, CH
Britten, B : Konzert für Violine, Viola und Orchester
Beethoven, Lv : Symphony No.2 in D major, op.36
Horvat, M / vn. : Schmid, B; va. : Raiskin, D; Bieler Symphonieorchester

2002.04.18 20:00 : Philharmonie, Berlin
Stravinsky, I : Mass
Beethoven, Lv : Symphony No.9 in D minor, op.125
Rattle, Sir S / sop. : Martinpelto, H; alto : Remmert, B; tenor : Lippert, H; bass : White, WW; Berlin Phil.

2002.04.19 20:00 : Tonhalle, Düsseldorf
Tchaikovsky, PI : Piano Concerto No.1 in Bb minor, op.23
Rott, H : Symphony in E major
Numajiri, R / pf. : Barto, T; Düsseldorfer Symphoniker

2002.04.20 20:00 : Grosser Saal, Konzerthaus, Berlin
Berg, A : 3 Orchesterstücke, op.6
Beethoven, Lv : Konzert für Klavier, Violine, Violoncello und Orchester C-Dur op.56
Stravinsky, I : Symphony in 3 Movements
Gielen, M / pf. : Weinmeister, S; vn. : Weinmeister, H; vc. : Weinmeister, B; Berliner Sinfonie-Orchester

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