追っかけ日記

last modified at 2002.08.11

書下ろし

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2001.11末、帰宅したらNDRから封書が届いて居た。 また売れそうもない現代音楽の演奏会でも買えと言うのかと思いつつ開封したら、「急遽Wand/NDRの特別公演が決まった。 演目はハイドンの76番とブル6。 定期会員(* じゃ無いのに、案内が届いたのは何故? *)の為に600席確保した。 12.22までに申し込めば優先的に確保する」と言う。
勿論、速攻で返信。 数日後には、希望通りParkett Mitteの券が予約出来た(^_^)v
となれば、聴きに行くのは無理だろうと思って居た LjubljanaのRottも聴きたい、未だ聴いたことの無いThielemannも一度は聴いてみたい・・・と、予約を重ね、何時の間にか1週間の休暇予定になってしまった。

それが、2001.12末に一気に暗転する。 Wandが転んで骨折したと言う。 今更、Rottの交響曲や、Thielemannのブル8の予約をcancelする気にもなれぬ。 散々迷った揚げ句、航空券cancelの機会を逸する(^_^;)

2002.01.27 (So)
前夜、AMS乗継ぎが5時間あったので、Amsterdam市内でお買い物。 DamのHMVが無くなって居たし、書店・古本屋・CD屋を数軒廻るが、強風と雨に祟られた割には収穫無し。

で、日曜の朝。 Shostakovich SQと言うのが、Matineeでショスタコの弦楽四重奏曲15番を演るらしい。 Musikhalleの大ホール・ホワイエでは、Wandの券の払い戻しをして居た。 尋ねると、小ホールの入口は一旦外に出て、裏手だと言う。 券を買って、中に入ったら、貼り紙が・・・タコ15は来シーズンに延期(2nd vn.が怪我?)だった(^_^;)
唯一印象に残って居るのは、小ホールのカフェ。 カフェの壁が歴代客演指揮者・独奏者達の写真で埋め尽くされて居て、流石にチェリの写真は見付けられなかったものの、KubelikやSchmidt-IsserstedtやTennstedtやWandの写真を一枚一枚眺めながら啜る珈琲は、感慨深かった。

Operを観るのは産れて2度目。 Premiereということもあり、結構なお値段だったが、他に選択肢が無いんだからしょうがない。 案の定、退屈。
演奏会は音だけ聴いて居れば感動する、(最近興味を覚えた)バレエは舞台と音を見聴きすれば楽しい・・・のだが、Operは歌詞と舞台と音との3つ共楽しめないと面白さが判らん様だ。 で、最初の1/3は、僕には論外。 歌詞が聞き取れる訳も無く、かと言って、粗筋とかいった予備知識も無い。 結局、乳牛の被りモノのラインダンスに意味もなく笑ったのみ。

2002.01.28 (Mo)
電車で行ける範囲で何か面白いものはと、見付けたのが、Schubertの未完成の3楽章。
最近、何を聴いてもBrucknerに聞こえるらしい。 初期のBrucknerの様な稚拙さ(も、また魅力なのだが)が聞こえて面白い・・・なんて馬鹿なことを考えて居たら、中間部にRosamundeの旋律が聞こえて、漸くSchubertだったんだと納得する。
これが本来の曲順(?)通り、未完成交響曲の後に演奏されて居たら、耳慣れないという先入観だけで否定的な印象だったかもしれず、そういう意味では、冒頭に演奏してくれたのは有難かった。
グルダの息子も、個性的な音で面白かった。 生前のグルダ父の実演を聴く機会が無かったことを、後悔したくなる演奏だった。

2002.01.29 (Di)
LXでZRH。 ZRH発着だとLXのVisitEuroPassが使えるので、電車で乗継いでも、安上がり。 空港から1時間少々でBaselに到着。
2演出目の春祭は、最初に観たZürichの演出に極めて近かった。
暗闇の中、水の滴り落ちる音が続く。 やがて明るくなると、主役の女の子が、その水に脅えながら、躊躇いながら、それでも、好奇心に負けて、水に触れる。 禁断の林檎を齧ってしまった(禁断の水に触れてしまった)原始人が目覚め、略奪と交歓の時代になる・・・とでも言った雰囲気。 最初に観たZürichの演出では、この「水」が「砂」だったと言う程度で、余りにも似通った演出だった。 それだけに、Zürichで主役だった中国人女性に比べると、今回の日本人女性、最後にはちょっとバテて居た様に見えて残念だった。

2002.01.30 (Mi)
前日と同様、ZRH発ならLXのVisitEuroPassで1万2千円なのだが、敢えて倍以上の料金を払ってBSL発のLXにした。
(実は、2002冬期料金のVisitEuroPassは、ZRH/GVA発着便のみが対象だったのだが、2002春期料金から、ZRH/GVAに加えてBSL発着便も対象になった。 SRが経営危機になり、BSLを本拠地とする子会社のLXが経営主体になった故だろう。 そうと判って居れば、慌てて今回乗ることは無かったのだが。)
ZRH発BER行はTXL(テーゲル空港)着だが、BSL発だとTHF(テンペルホフ空港)に着陸する。 廃港間近いTHF、冷戦時代、西ベルリンの生命線だったTHFに一度降りてみたかったものだから。
念願のTHF、丁度、EURO記号の横棒2本の様な滑走路と、Cの字の空港ビルの組み合わせで、空港ビルの、多少の大きさの飛行機なら余裕で入れそうな高さの武骨な屋根と、古臭い内装に趣のある空港だった。

Thielemannの演奏は、無理に凝ったことはせず、元気もあり、枯れては居ないが、淡々と聴かせてくれるブル8だった。 80過ぎの年寄りの様な演奏では無かったが、若さ(元気の良さ)だけを売り物にして居る訳でも無く、ちゃんと重心の低い演奏をしてくれたのは、流石、話題の指揮者ではあった。 目の前の若い姿と、聴こえてくる音の違いに、ちょっと戸惑いを感じる程だった訳で。
それにしても、聴衆の反応は異常だった。 まるで、往年の朝比奈か、Wandの日本公演かと突っ込みたくなる興奮ぶり。 そりゃ、演奏は悪くなかったが、そこまで大騒ぎするか?と、天の邪鬼的に褪めてしまった。

2002.01.31 (Do)
初めて旧東欧に降り立つ。 入国審査は無言でstampを押すだけ。
「バスを待って居るのか? これがバスだ」と、どう見てもミニバンにしか見えない乗用車に誘導しようとするのが、やはり東欧か。 やっぱりさっきのは本当にバスだったのかと後悔し始めた頃に本物のバス登場。 「何でこんな小国の首都空港がバスで1時間も離れて居るんでしょうかね」とHoさんに聞いて居なかったら心配で堪らなかっただろうなと思う位、田舎道を延々と走って、駅に到着。
DomのKasseが又判らなかった。 これも事前にHoさんから「地下なんですけど、判り辛いですよ」と聞いては居たが、本当に判り辛い。 2回道を尋ねてやっと辿り着く。 Domの地下と言うより、向かいのショッピング・センタの地下と言った方が正確か。
予約を受けてくれたおばさんは親切な方らしく、「初めて訪れるので判らないけど、音が良い席を1枚づつ」と頼んで居たら、初日がParkettど真ん中、2日目がBalkonど真ん中を押さえてくれて居た。 こういう趣向のある席割は嬉しい。
例に拠ってSegerstamは自作自演。 指揮棒を2本持って登場。 1本はharpistに捧げ、もう1本は指揮台の譜面台の上。 本人は舞台上手のピアノに座って演奏開始。 大きなプラスチックの板をゴワゴワ撓ませるは、ティムパニの上にシンバルを置いて叩くは・・・で、最後、harpistの女性が指揮台に上って、指揮棒を振り下ろして終了。 指揮無しで良くまぁ纏まったと言う意味でも、巧いアンサンブルだったが、だからどうなのという気はする。

終演後、ほろ酔い気分で信号待ちして居たら、可愛い女の子が話し掛けてくる。 「友達がバス代を無くしちゃって家に帰れないの・・・」と言って居た様な気がする。 「ナイン ダンケ」と答えた瞬間、可愛い女の子の顔が夜叉に変貌する。 「KILL YOU!」・・・怖かった(>_<)

2002.02.01 (Fr)
昼まで寝て、check out。 Hotelに荷物を預かって貰い、本屋を漁る。 丁度、Slovenia Phil. 400周年記念本があったので捕獲。 チェリはこのオケ自体は振って居ないが、SDRとLjubljana客演したことがあるらしい(曲目日時は不明) 更に、Matacicの写真集兼伝記があったのでこれも捕獲。

Segerstamは、自作自演でProbeの時間を使い切っちまったのか。 前半の自作自演で聞かせてくれた緻密さ・合奏力、Rottの楽想の豊かさが、全く聞こえて来ない。 演奏がどうのこうのと言う以前の状態だった。  BIS盤でも聴かせてくれた、3楽章のendingの、一歩間違えば下品になり兼ねない減速とか、随所にSegerstamの演奏らしきものは聴こえて居たのだが・・・
まるで初見大会でも聴いて居るかの様で、Rott目当てに来た僕としては全く以って嬉しく無い。

終演後、hotelで荷物を回収。 嵩張る本を詰め直して、駅へ。 昨夜のこともあり、不安だったのだが、極普通の田舎の駅で夜行列車を待つ感覚だった。 15分位遅れて到着した列車に乗り込み、コンパーメントに空きを見つけ、うとうとして居たら、国境で起こされた。 出国はReisepaßの確認だけ。 続いて、入国審査。 Sloveniaからの日本人は珍しかったのか、これがjapanisch Reisepaßかと同僚と廻し見して居た。 これで終わりかと思ったら、今度は税関検査。 僕はReisepaßを見せただけだが、同室のお兄さんは鞄を全部開けられて居た。

2002.02.02 (Sa)
「München!」と、同室のお兄さんに揺すり起こされて、窓を見れば未だ暗い。 改装されたHauptbahnhofのImbissで朝飯と珈琲。 未だ目が覚めぬまま、Stuttgartへ。
CDで、歯切れの良い音楽を聞かせてくれる、可能性のある指揮者だと思って居たWolffだが、前回同様、腹が立つ程悪くは無いと言う程度にしか思えなかった。 尤も、Theatergemeindekonzertだからか、ベト6で、1楽章毎に拍手する客層でもある。 別に、曲を知らずに、それでも凄い演奏だったから思わず、拍手・・・と言うのなら、それはそれで画期的な演奏と言って良いのだが、そういう雰囲気でもない。 何となく誰かが拍手したから、つい盛大に、と言う感じ。

一番の目的だったWandが聴けず、期待のRottも今一つ・・・目玉に欠ける休暇だった。

PROGRAMME
2002.01.27 11:00 : Kleiner Saal, Musikhalle, Hamburg
Schostakowitsch-Quartett Hamburg

2002.01.27 18:00 : Hamburgische Staatsoper, Hamburg
Prokofiev, S : Die Liebe zu den Drei Orangen
Hamburgische Staatsoper

2002.01.28 20:00 : Grosser Saal, Die Glocke, Bremen
Schubert, F : Scherzo aus der "Unvollendeten" Sinfonie h-moll, D 759 (Rekonstruktion : Abraham, G)
Beethoven, Lv : Klavierkonzert c-moll, op.37
Schumann, R : Ouvertüre, Scherzo, und Finale, op.52
Schubert, F : Sinfonie h-moll, D 759, "Unvollendete"
Andreae, M / pf. : Gulda, P; Philharmonisches Staatsorchester Bremen

2002.01.29 20:00 : Theater Basel, Basel, CH
Mahler, G : Kindertotenlieder
Stravinsky, I : Le Sacre du Printemps
Ballett Basel

2002.01.30 20:00 : Grosser Saal, Konzerthaus, Berlin
Bruckner, A : Symphony No.8 in C minor
Thielemann, C / Orchester der Deutschen Oper Berlin

2002.01.31 19:30 : Gallusova dvorana, Cankarjev dom, Ljubljana, SI
2002.02.01 19:30 : Gallusova dvorana, Cankarjev dom, Ljubljana, SI
Segerstam, L : Simfonija st.53 "Dreaming Again ... After"
Rott, H : Symphony in E major
Segerstam, L / Slovenska Filharmonija

2002.02.02 20:00 : Beethovensaal, Liederhalle, Stuttgart
Debussy, C : Prelude a l'apres-midi d'un faune
Messiaen, O : Oiseaux exotiques
Strauss, R : Burleske d-moll op.11
Beethoven, Lv : Sinfonie Nr.6 F-Dur op.68 "Pastorale"
Wolff, H / pf. : Thibaudet, JY; Radio-Sinfonieorchester Frankfurt

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