追っかけ日記

last modified at 2002.05.06

書下ろし

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Wandの券は発売と同時に押さえて居た。 Sanderlingの券も、本当に振るのか判らなかったが、一応、発売と同時に予約して居た。 お盆が米国出張で潰れたお蔭で、堂々と夏休みです!と言い切って、休暇突入。

2001.09.08 (Sa)
強風で、TXL着陸間際、脚を出してからも、揺れた揺れた。 飛行機に乗って居て、久しぶりに恐かった(^_^;)
Hotelにcheck-inして早速mailをcheckするが、2001.09.03に事務局に出した購入申込の返信は届いて居なかった。 駄目ならKammermusiksaalのTetzlaffでも聴くかと、1時間前にAbendkasseへ。 念の為、Abonementkasseで尋ねてみるが、僕の名前で取り置きは無いとのこと。 Abendkasseの列に並び直す。 それでも20番目位だったか、無事、当日券捕獲。
Schönbergは余り聴き慣れて居ない。 前半は、Fischer-Dieskauの巨体に比べすっかり小さくなったAbbadoの姿と、鋭角な音に徹し切れない「ゲンダイオンガク」のもどかしさが印象に残った位か。 後、Klavierkonzertの前のピアノ搬入が面白かった。 指揮台の前の5角形がゆっくり沈んでいき、客席と同じ高さになったと同時に、転落防止壁が迫り出す。 途端、速度を上げて奈落に落ちていき、暫くしてピアノを載せて再び舞台登場・・・こういうのを見て居ると、サンダーバードの主題を口ずさんでしまう世代なんですなぁ。
前半の混沌は、後半のペレアスで雰囲気一転。 Abbadoがこの曲を振りたくて振りたくて堪らないというのが伝わってくるかの様だった。

2001.09.09 (So)
当日券で、あっさりバルコン中央を確保。
音の出だしを相当に気遣いして居るInbalの棒と、DawsonがSoefelに遠慮して居る様子が面白かった。 極普通に、良い演奏を聴いたという感じ。 折角の[復活」だから、もう少しendingで圧倒されてみたかった気もする。

これで16:00からのChicago SOを聴くのも悪くは無いが、もし、20:00から、本当にSanderlingが振るんだったら、体力・気力を温存しておきたい・・・と言う訳で、ホテルに戻り、お昼寝。

出発直前にwebを確認したが変更は掲示されて居なかった。 市内のポスタにも訂正は無かった。 会場に入っても張り紙は無かった。 それでも舞台にSanderlingの姿が出てくるまで安心は出来なかった。
前半のRöselは、音の粒立ちが綺麗で、良いピアニストだなとは思ったが、それ以上の印象は残って居ない。 別にRöselが悪いんじゃ無く、Sanderlingが舞台に居るというだけで興奮してしまい、余り冷静に聴いて居なかった僕が悪いんだが。

後半のブル3、それ程演奏時間が長かったとは思えないのだが、この1曲だけで、超大曲の超佳演を聴き終えた様な、心地好い疲労感があった。
ゆったりと細部にこだわるピアノと、うねる様に勢いのあるフォルテとのコントラストが絶妙だった。 と書くと、平凡な佳演だった様だが、普通のブル3より一廻り次元の高い骨組み(時間軸)から音楽が産み出されて居る。 だから、微視的な緩急の変化が大きくとも、自然な呼吸で聴いて居られる。
願わくば、バイエルン放送響とまで贅沢は言わないが、もう少し巧いオケで聴きたかった。 或いは、昨年までの元気なSanderlingで聴きたかった。 立ったままで振って居たし、Zürichの時ほど辛そうでは無かったが、昨年までに比べれば、歴然と体力が落ちて居る。 Sanderlingが、綿密なProbeをする人かどうか判らないが、少なくとも今回は、細部まで目を光らす時間(若しくは体力)が無かったに違いない。 これで完璧に仕上がって居たら、物凄い演奏だっただろうなと、素人の僕でさえ判る演奏だっただけに、余計に口惜しい。
それでも、終演後、前回は受取を拒んで居た花束を、何故か今回は受け取って居た。 今回は満足して居たからなのか、それとも前回の花束贈呈はおじさんだったが、今回はおねーさんだったからなのか(^_^;)

2001.09.10 (Mo)
Festwochenの事務局に寄り、翌日のPeter Serkinの券を買う。 今晩のナガノのは?と尋ねれば、主催が違うから売れないと言う。 改めてFestwochenの案内を読むと、ナガノの券は、Unter den LindenのDeutschland Radio Shopで売って居ると書いてある。 日曜の夕刻(聴きに行かなかったが)のBarenboim/Chicago SOのマラ7と同様、ユダヤ博物館開館記念演奏会らしい。
入場の際security checkが無かった(CSOの日はあったらしい)ことと、客席にユダヤ教徒の帽子姿が多数見えたのと・・・と演奏に関係ないことは覚えて居るのだが、肝心の演奏の記憶が余り無い。

2001.09.11 (Di)
夕方まで、ホテルでTVを観ながらゴロゴロして居た。 半ばウトウトしながら画面を見て居たら、飛行機がビルに突っ込む映像だった。 しかも眺めて居たのが娯楽番組主体のRTL2局だったもので、最初は映画だと勘違いした。 現実の世界であぁいう派手な光景が起きるとは思っても居なかった。 Philharmonieに向かう途中のZoo駅の街頭TVに黒山の人だかりがして居るのを見て、改めて、あれは映画じゃ無かったとおぼろげながらに認識した。

それにしても聴衆が少ない。 100人居たんだろうか。 しかも半数は東洋人だった様に思う。
最初におじさんが出て来て、何事か独語で聴衆に話す。 当然、何を言ったのか理解出来ない。 後から思えば、「テロに抗議して」とか「犠牲者の冥福を祈って」とかそういう趣旨だったのだろう、拍手が一切無い演奏会だった。 そういう意図では無かったんだろうが、拍手が無かったことが、別な効果をもたらした。 休憩時間になっても終演後になっても、感覚が現実に戻れない。
Schönbergは馴染みが無いが、前半は単音の一つ一つの響きを聴く曲だった様に思う。 そして、後半は音の繋がりから生れる響きを聴く曲だった様に思う。 Programmには無かったが、後半の何曲目かにBachの6つのリチェルカーレも弾いた。
尊敬する知人達が10年以上前に口を揃えて凄いと言って居たSerkinだったが・・・音の粒立ちも音楽の運びも、僕にはそこまで凄いとは思えなかった。 と言う話を、後日、別な知人としたら、近年のSerkinには迷いがあるんだそうな(^_^;)

2001.09.12 (Mi)
Kasseは入り口の右脇。 予約のファクシミリを見せて、無事、券を確保。
ピットの左端から舞台袖まで階段の様に雛壇があり、合唱席。 冒頭、米国でのテロ事件に対して、Dona Nobis Pacemが演奏される。 暗闇の中、合唱とオケだけにスポット・ライトが当り、演奏の後、再び暗転・・・何時まで経っても舞台の緞帳が上がらない。 最初、妙に間の悪い演出だと思った。 終演後、そう言えばと入場の時に配って居た紙を見て、テロ事件に捧げた演奏だったことに気付く。
冒頭の肩透かしが、演出の失敗(間の悪さ)だと思い込んで居たせいか、視終えても、妙に凝り過ぎて、初心者にはつまらない演出だったとしか思えなかった。 独演者が舞台の隅からゆっくりと歩み出て、中央に辿り着いたと思ったら、ただ、肩や首を動かして居るだけの曲があったり、ポリフォニックな曲なのに一方の旋律だけで踊ってみたり。 せっかく、バッハの最高傑作をバレエにするのだから、もっと正攻法で攻めても良かった様な気がする。
結局、Wandのゲネプロを逃してまで観たい舞台では無かった。 ゲネプロを聴いた知人の話では、昨年と違い、オケを止めて指示出しもして居たと言うし。

2001.09.13 (Do)
舞台袖にマイクが据えてあり、紙を持った事務局の偉そうなおじさんが舞台に出て来たときにはギクリとした。 前日の公開ゲネプロは振ったと聞いたのだが。 「・・・てろりずむ・・・」と聞こえて、不謹慎ながら安心した。 LeipzigからMünchenに向かう電車の車内でも黙祷があった位で、予想出来ても良かったのだが、最初は、Wand急病cancelかと思ったのだ。

終演後、許光俊さんが「久しぶりに、チェリのRomantischが聴きたくなりましたね」としみじみ言った。
この夜の演奏を、一言で言い尽くすことが出来る表現を、さらっと言えちゃうのね、この人は。 チェリのブル4に興奮した経験があって、今回のWandを聴いた人なら、誰でも頷くに違いない。
普段、どうでも良いブル4を聴いて居る分には、チェリのそれとは余りにも乖離し過ぎて、違う曲だと思ってしまうものだから、何も思わない。 それが、今回の様な説得力のあるブル4に接すると、漸く、改めてチェリのブル4が懐かしくなる。 勿論、チェリのブル4とは似ても似つかぬ演奏だったのだが、それでも、チェリのブル4が恋しくなる。
別に、派手なことを演った訳では無いし、特にここがそうだと特定し辛いのだが、それでも終わってみれば、壮大で威厳のある、「Wandの」Romantischだった。

2001.09.14 (Fr)
前夜に引き続き、演奏前に黙祷。 沈黙の中、前日同様鳴り響く携帯電話の着信音は意図的か。 わざとらしく退席する姿もあり、なかなか難しい話らしい。
Schubertの5番は、4年半前、同じ指揮者、同じオケ、同じ演奏会場で聴いて居る(1997.02のMünchen定期はブラ1がメインだった)。 普段、書いたり言って居ること(晩年のWandは重厚過ぎて、最晩年のWandは漸く濃淡が出てきた)と逆になるのだが、1997年のSchubertは、不思議な浮遊感のある演奏だった。 一方、今回のは、やや重心が低い。 もっとはっきり言えば、少し足取りが重い。

2001.09.15 (Sa)
この日は定期演奏会で無かったからなのか、黙祷無し。
Wandは依然絶好調。 3日間調子に乗り過ぎたのか、最終日また倒れそうになるオマケ付き(^^;) 昨年とは違い、楽団員も予想して居たのか、然程、混乱は無かったのだが。

結局、この演奏が僕にとっての最後のWandだった。
僕の趣味じゃない、どちらかと言えば嫌いだと言い続けて居たが、それでも得難い経験を何度もさせてくれた、Wandに・・・合掌

PROGRAMME
2001.09.08 20:00 : Philharmonie, Berlin
Schönberg, A : A Survivor from Warsaw, op.46
Schönberg, A : Konzert für Klavier und Orchester, op.42
Schönberg, A : Pelleas und Melisande
Abbado, C / pf. : Serkin, P; Berliner Phil.

2001.09.09 11:00 : Grosser Saal, Konzerthaus, Berlin
Mahler, G : Symphony No.2 in C minor, "Resurrection"
Inbal, E / sop. : Dawson, L; alto : Soffel, D; Berliner Sinfonie-Orchester
2001.09.09 20:00 : Grosser Saal, Konzerthaus, Berlin
Beethoven, Lv : Konzert für Klavier und Orchester Nr.2 B-Dur, op.19
Bruckner, A : Sinfonie Nr.3 d-Moll
Sanderling, K / pf. : Roesel, P; Rundfunk Sinfonieorchester Berlin

2001.09.10 20:00 : Philharmonie, Berlin
Verdi, G : Quattro Pezzi Sacri
Schönberg, A : Die Jakobsleiter
Nagano, K / baritone : Henschel, D; tenor : Moser, T; tenor : Gambill, R; baritone : Volle, M; baritone : Johnson, J; tenor : Azesberger, K; sop. : Aikin, L; sop. : Taube, A; sop. : Thiemann, B; tenor : Taube, G; tenor : Loens, U; Rundfunkchor Berlin; Deutsches Symphonie Orchester Berlin

2001.09.11 20:00 : Kammermusiksaal, Philharmonie, Berlin
Schönberg, A : 3 Klavierstuecke, op.11
Schönberg, A : 6 Klavierstuecke, op.19
Schönberg, A : 5 Klavierstuecke, op.23
Haydn, FJ : Andante und Variationen f-moll Hob. XVII:6
Schönberg, A : Klavierstueck, op.33a
Schönberg, A : Klavierstueck, op.33b
Schönberg, A : Suite für Klavier, op.25
pf. : Serkin, P

2001.09.12 19:30 : Oper Leipzig, Leipzig
GLORIA IN EXCELSIS DEO
Bach, JS : Cantata No.21, BWV 21, "Ich hatte viel Bekuemmernis"
Bach, JS : Mass in Bb minor, BWV 232; Kyrie - Gloria
Biller, GC / Thomanerchor Leipzig; Leipziger Ballett; Gewandhausorchester

2001.09.13 20:00 : Philharmonie, Gasteig Arts Centre, München
2001.09.14 20:00 : Philharmonie, Gasteig Arts Centre, München
2001.09.15 19:00 : Philharmonie, Gasteig Arts Centre, München
Schubert, F : Symphonie Nr.5 B-Dur D 485
Bruckner, A : Symphonie Nr.4 Es-Dur WAB 104 "Romantische"
Wand, G / Münchner Phil.

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