追っかけ日記

last modified at 2001.12.09

書下ろし

[04.08] [04.09] [04.10] [PROGRAMME]
2001.04.08は、WandのMatineeをHamburgで聴けて、SanderlingのAbendkonzertをBerlinで聴ける「今シーズンで一番美味しい日」のはずだった。
それが、03月下旬、出張から帰国したら、Sanderling cancelとのmessageが入って居た。
今年に入ってからのSanderlingは異常(* まぁ、殆ど90歳だと言うのに、毎月1回以上振って居た昨年の方が、異常なのかもしれないが *)だった。 Amsterdamをcancelし、Parisをcancelし、Berlinをcancelし、Stuttgartをcancelし、Hamburgをcancelし・・・本人が「今後はBerlinを中心に活動する」と言って居たんだから、DSOB位は振るだろうと信じて居たのに、結局、それも裏切られた。

2001.04.08 (So)
前夜、KLだったので、乗継ぎのHAM行は5時間待ち。 空港で惚けっとして居ても仕様がないので、Concertgebouwに寄ってみた。 予想通り、2001/2002のVorschauが出て居たので、貰って帰る。 搭乗口でVorschauを眺めて居たら、「日本人の方ですか?」と声を掛けられた。 欧州に住んで居る邦人の方で、何でも、未だ聴いたことが無いWandを聴いてみようと思い立ったのだとか。 今更、聴こうとしてHAMに向かう人の後押しをすることも無いのだが、取り敢えず、絶対に良いですよと、言わずもがなの挨拶。

で、当日。 例に依って、時差ボケは無い。 Hotelをcheck-outし、HauptbahnhofのSchließfächerに荷物を預け、Musikhalleへ。

Tageskasseでファクシミリを見せ、現金と引き換えで、無事3日分の券を確保。 この日は前列左寄りだったが、翌日以降はいずれも平土間の良い席だった。
Posthornの終曲で、コツコツと雑音がするので、思わず指揮台を見る。 指揮棒が譜面台を叩く音だった。 思わず昨年の悪夢かと蒼くなる。 しかし今回はWandの意図的な指示だった。 Wandが怒って居る!
正直に言えば、そんなに拍を叩きたくなる程の、テンポの乱れがあったのかどうか、鈍な僕の耳には判らなかった。 それでも、Wandには気に入らない何かがあって、それを演奏中に強制的に矯正しようという、爺ぃの強烈な意思は痛い程に伝わって来たし、それが、オケを引き締めて居たのは確かだった。

終演後、昼食を済ませて中央駅へ。 気は進まぬが、既にカード引き落としになって居るし、渋々Berlinに向かう。 K'damのhotelにcheck-inし、Philharmonieへ。
Honeckは以前1回聴いて懲りて居る。 だから指揮には全く期待して居なかった。 一体、何を演りたいんだか・・・という、予想を裏切らない棒には、改めて、嘆息。 Sanderlingだったらどうだったのだろうと想像する気力すら失った。
Tetzlaffは、先月初めて聴いて、余りぱっとしなかったが、チェリと共演した独奏者だ。 それなりに、何か凄い人なんだろうと言う想いがある。 先月は、Gasteigで聴いたから、今一つTezlaffの凄さが判らなかったのかもしれないと思って居た。 なのに、音圧が素直に出て来るはずのPhilharmonieでさえ、「何か、自分の周囲数メートルの内側だけで音楽を創って居るかの様。」の印象は変らなかった。

2001.04.09 (Mo)
午前中、Berlinのレコード屋・本屋を漁って、再び、Hamburgに戻る。 Hotelで仮眠し、Musikhalleへ。
今回のWand、Mozartが振りたく振りたくて堪らないというのが伝わって来る。 演奏中は怒りで厳しい表情をして居た初日でさえ、振り終えてみれば、瑞々しい笑顔だった。
重量感のある足取りの軽さ、と書くと、奇を衒った表現と勘違いされそうだが、例えば、終曲の洒脱さは、ずっしりとした重心の低い音が軽快に動いて居るからこそ面白い。 実はMozartは嫌いな作曲家で、上品な「だけ」の演奏を聴かされると、「どう? 僕って天才でしょ?」とでも言いたげな押しつけがましさが鼻につく。 それがWandの様な骨太なMozartだと、然程嫌味にならず、堪能出来る。

2001.04.10 (Di)
ベト4は、Herrewegheの奇妙なベト4位しか実演で記憶が無い。 原点が偏って居るのもあるのだろうが、今回のベト4は余りにも正統派だった。 密度の濃い音の塊が正面からぶつかって来るのを聴いて居るとそれなりに興奮はしてくる。
とは言え、何となく「本当は、Wandは、今回のプロ、前半のPosthornを振っただけで十分満足しちゃったのかな」と言う印象が、最終日まではあった。 更に、正統派で説得力のある演奏だとは思ったが、Wandならもう一つ先の音楽が出来るはずと言う思いを拭い去ることが出来なかった。 普通の指揮者がここまで重厚なベト4を振って居たら、それなりに満足して居たとは思うのだが。
最終日、終楽章で突然煽り出し、快速ベト4になって、やっと面白くなってきたが・・・あれも、足の調子が悪くて、終わりを急いだに過ぎないのかもしれないし。
後2日位(* 振れる体力がWandにあるのかは抜きにして *)振ってくれたら、更に面白かっただろうと思う反面、Wandの体力(* そりゃまぁ殆ど90歳の人に期待しちゃいかんのだろうが *)に不安を覚えるベト4だった。


PROGRAMME
2001.04.08 11:00 : Großer Saal, Musikhalle, Hamburg
Mozart, WA : Serenade D-dur KV 320 "Posthornserenade"
Beethoven, Lv : Sinfonie Nr.4 B-dur op.60
Wand, G / posthorn : Berwaerts, J; NDR Sinfonieorchester
2001.04.08 20:00 : Philharmonie, Berlin
Shostakovich, D : Violin Concerto No.1 in A minor, op.77
Tchaikovsky, PI : Symphony No.6 in B minor, op.74, "Pathetique"
Honeck, M / vn. : Tetzlaff, C; Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
2001.04.09 20:00 : Großer Saal, Musikhalle, Hamburg
2001.04.10 20:00 : Großer Saal, Musikhalle, Hamburg
Mozart, WA : Serenade D-dur KV 320 "Posthornserenade"
Beethoven, Lv : Sinfonie Nr.4 B-dur op.60
Wand, G / posthorn : Berwaerts, J; NDR Sinfonieorchester

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