追っかけ日記

last modified at 2001.10.04

書下ろし

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昨年末から今年02月までは多忙になることが判って居た・・・と言うより多忙になる様な仕事の組み方をしてしまった。 なもので、「03月に休暇を取ります」と言うのは、自身への叱咤激励でもあった。

02月に入り、何とか目処がついた辺りで、何気なくパリ管のwebsiteを見て、Sanderling cancelの掲示に不安を感じた。 噂を聞けば、前月のAmsterdamもキャンセルしたと言う。 でも、まぁStuttgartは振ってくれるだろうと、根拠の無い確信を持って居た。
どうせ、水木金の演奏会を聴くなら、前の土曜から欧州入りし、翌週の祝日に帰国することにすれば、他にも面白いものが聴けるかもしれぬ。 いずれにせよ、メインをSanderlingのブル3に決めて居た。 前後に何を聴くかは、今までに無い程迷った。 目移りすると言うよりは、何処も決め手に欠ける。 何時も買って居る航空券屋の、手数料無しに変更可能な期限が1ヶ月前だったので、まぁ良いかと、半ばいい加減に最終確定を連絡したのが、1ヶ月と1日前。

数日後、SWRのwebsiteを眺めて、愕然とする・・・航空券をfixする直前には未だSanderlingの名前があったはずなのにぃ。 今更、航空券の取消手数料を払うのも癪に障る。
気力が尽きたからだろうか、休暇前週にインフルエンザで倒れる。 外見に反して病弱なもので、花粉症と風邪までなら何時ものこと。 年がら年中、体調は思わしくないのだが、関節痛で2日間布団から抜け出せない程に体調を崩したのは数年ぶり。

2001.03.10 (Sa)
前週のインフルエンザが完全に回復し切って居ないのと、その前からの風邪と、更にその前からの花粉症で、体調はかなり悪い。 久しぶりに、鼻が詰まったままで、飛行機に乗る・・・と、耳抜きが出来ないから離着陸の際、涙が出る程、耳が痛い (T_T)
初めて訪れるDen Haag。 駅でまず地図を買う。 予約したホテルは、郊外のConCERTgebouwの辺りだったはず・・・郊外に在ったのは、ConGRESSgebouwの間違いだった。
郊外のホテルで一休みし、中心街のDr Anton Philipszaalに向かう。 当日券は、あっさり捕獲。

Philipszaalは、反響板こそ妙な色使いだったものの、普通の平べったい箱型ホールだった。 殆ど最後列で聴く、やや距離感のあるBachは、体調の悪さもあって、うとうととするに最適なBGMだった(^_^;)

2001.03.11 (So)
「ストラヴィン好き」を自認して居ながら、実は、バレエを観たことが無かった。
演目は判らぬが、 バレエ団がStravinsky Festivalを演るってんだから、3大バレエの1つも演るだろうと来てみた。 「今晩の券、ある?」と尋ねれば、「立ち見ならあるけど、開演直前に来れば、Zurückkarteが出るよ」との返事。 何が何でも"聴く"という気は無かったので、立ち見席を買う。

何しろバレエという代物、産まれて初めて観た。
曲が始まって暫くは、「何で、そんな姿勢で止まって居られるの?」「何で、脇をちょっと支えただけで身体が持ち上がるの?」「何で、その姿勢からスクッと立ち上がれるの?」・・・何で?何で??の連続だった。 そうでなくとも、僕は、茶碗飾の拝見で、肘を畳に着けることが出来ず、お茶の師匠に爆笑されてしまった程、身体が堅い(* 腹が出て居るとも言うが :-( *)
それ故、最初は曲芸でも見て居る気分だった。 ようやく慣れて、舞台に没頭出来る様になったのは、春の祭典も終わりの頃だったが、それでも「何で?何で??」という思いは消えなかった。

2001.03.12 (Mo)
Segerstamは前月の読響以来。 サントリーホールで聴いたMahlerは、Mahlerっぽく無くて面白かった。 今回のSibeliusも、「シベリウスっぽい曲だな」とは思って居たものの、聴き終えてProgrammを見るまで、Sibelius本人の曲だとは思わなかった(^_^;) まぁ7番に馴染みが無かったと言うのもあるが、Segerstamには、そういうズレた感覚の面白さがあると感じて居る。
後半の自作自演は、舞台両袖の客席寄りに夫々ピアノがあり、その上手の方のピアノからの弾き振り。 題名通りHappy Birthday To Youからのコラージュもあり、それなりに楽しい曲ではあった。 強いて言えば、大編成に、色々詰め込み過ぎて、ごちゃごちゃして居る印象もあったけど。 まぁ、どんなに想いが溢れて居ても、最も効果的な「間引き」が出来る程の人だったら、もっと作曲家として脚光を浴びて居るんだろう。

2001.03.13 (Di)
この夜のHenzeより、昨夜のSegerstamの方が、曲としては楽しめた気がする。
曲も余り好みじゃ無かったが、それより気になったのが、Jurowskiの指揮。 とにかく、棒が五月蝿い。
思いっ切り仰け反って、思いっ切り振り下ろして、ギュッと縮み込んで、ピョンと跳び上がって・・・そんだけ指揮台の上で暴れて居て、その程度の音厚差なの?という「肩透かし」ばかり喰らって居ると、次第に褪めて来る。

2001.03.14 (Mi)
週に2回も春の祭典を聴くとは思っても居なかった。
(少なくともZürichのオケ・ピットよりは)大編成のオケでハルサイを聴いて満足・・・とならなかったのが不思議だった。 広いGasteigの舞台にてんこ盛りの楽団員が、派手に鳴らして居る・・・少なくとも、前週までの僕なら納得出来て居たはずの演奏だった。
何か足りないと思って、目を閉じると、踊りが瞼の裏に見えて来る。 バレエを観た当日は何とも思って居なかったのに。 バレエの魅力、後からじわりじわりと効いて来たらしい。

2001.03.15 (Do)
旅立つ前、Hoさんから「Stuttgart時代、チェリの棒でCelloを弾いて居た人ですよ」と聞いて居た。 Programmにも「"Er ist mein bester Schueler", sagte kein Geringerer als Sergiu Celibidache ueber Bernhard Gueller...」と書いてあった。 前々夜の「五月蝿い割に、全く効果が無い棒」の印象も残って居た。 そういう先入観も多分に有ったからだろう、制御に長けた棒だと感じた。
とかく、若い棒は振り過ぎる。 素人考えだが、若い人は、Probeで意を尽くす能力が無いから、本番で、必要以上に踊って見せないとオケが追いてこないと思って居るのだろう。 で、Probeで意を尽くして居ないから、本番で派手に踊って見せてもオケが追いて来ない悪循環。
Programmに生年が書いて居ないので判らんが、写真を見る限り4〜50歳台(?)の若造が、過剰な身動き無しに、でも必須な指示は鋭く的確に出して居て、それにオケが応えて居た。

2001.03.16 (Fr)
この日だけ来ると言って居たHoさんの姿が見えない。 Sanderling cancelでStuttgartに来る気力を無くしたかと思って居たら、終演後ホワイエで発見。 Parisからの乗継ぎに失敗し、ブル9のみ聴けたとのこと。 約束通り、自棄酒に付き合って頂くことにする。
確かに、Hoさんの言う様に、良い指揮者だった・・・でも、やっぱりSanderlingが聴きたかった。

2001.03.17 (Sa)
Wolffは、TELDECから出て居るSaint Paul室内管とのCoplandやStravinskyが、丹念な良い演奏をして居て、一度実演を聴いてみたかった指揮者だった。
3日前のMünchenで、Block M最前列中央寄りの券を買って居たのだが、余りの客の少なさに、Block M/Rは閉鎖。 Block Mに登る階段のところで、Block Fの券を配って居た。 金銭的には得をしたことになるのだが、ちょっと納得が行かない。 Block Mの前の方中央寄りは、意外に音が良いと思って居るので。
Wolffの棒は、予想通り爽快で、良い意味で「若さ」があった。 出来ることなら、距離感のあるGasteigでは無い、別な演奏会場で聴いてみたかったのだが。 一方、チェリと共演したこともあるTetzlaffも、音のか細さしか印象に残って居ない。 何か、自分の周囲数メートルの内側だけで音楽を創って居るかの様。 両者共、今回の演奏で見限る程では無いと感じる程度の共感は有ったのだが、僕にはちょっと不本意。

東駅01:20発のD-Zugまですることが無い。 終演後、ゆっくりと晩飯(と勿論Bier)を摂ったつもりだが、それでも23:30。 サッカーの試合があったらしく、呑んで出来上がった連中が駅に一杯居た。 危険な連中は居なかったが、とにかく五月蝿い。 そいつらの何人かも同じ列車で、5分置きにがなりたてる応援歌(?)に、勘弁してくれよぉと思いつつ、何時の間にか寝て居たらしい。

2001.03.18 (So)
早朝HeidelbergでRBに乗り換えて、09:00頃Saarbrücken着。 日曜の朝は何もすることが無い。 まして、独逸の日曜の朝だ。 駅で、Schließfächerに荷物を預け、朝飯を喰い、開演1時間前まで電車を眺めてぼ〜っとして居た。
川岸のKongresssaalのTageskasseで当日券を買おうとしたら、"Ausverkauft"と言われた。 Sucheしなきゃと思ったら、Kasseのおばちゃんに呼び戻される。 "3枚だけ有ったわ"と言う訳で選択の余地無く、前から3列目端の券を買う。 意外だったのが席の表記。 普通、客席から舞台を見て左手をLinks、右手をRechtsと呼ぶと思って居た。 何故かSaarbrückenでは逆で、Rechtsが左だった。

冒頭、おばちゃんが出て来て、曲の解説やらを語り掛ける。
そしていよいよ、Skrowacewskiの登場。 相変わらずの強引な棒で面白い。 表現力が無いから、つい安易に「強引な棒」の一言で片づけてしまうのだが、Skrowacewskiの強引さは、Wandのそれとも、Sanderlingのそれとも、明らかに違う。 別な言い方をすれば、冷徹な音とでも言うのだろうか。 スクロヴァのドヴォ9は、読響以来2度目だが、それでも、通俗になり「過ぎて」しまった2楽章でさえ、厳しく聴こえて、新鮮だった。
更に意外だったのはホールの音。 見た目は名前の通り質素な「会議場」で、良い音がする訳が無いと思ったのだが、意外に分解能が高く、それなりに色気もある良いホールだった。

Trier経由でKöln。 駅前のhotelにcheck-inし、Philharmonieへ。
演奏は、悪く言えば、姉御と取巻き達という感じで、小ぢんまりとして居た。 若い弦楽四重奏者達が、遠慮と言う訳でも無いだろうが、内田以上の積極性や説得力を見せてくれなかった。 一方の内田も、若い彼等に触発されて、化けたとは思えず、全体として、「普段の内田未満」な矮小な音しか聴こえてこなかった。 反って、弦楽四重奏だけで演ったBartokの方が面白かった位。


PROGRAMME
2001.03.10 20:00 : Dr Anton Philipszaal, Den Haag
Bach, JS : BWV 125 "Mit Fried und Freud ich fahr dahin"
Bach, JS : BWV 6 "Bleib bei uns, denn es will Abend werden"
Bach, JS : BWV 108 "Es ist euch gut, dass ich bingehe"
Bach, JS : BWV 103 "Ihr werdet weinen und heulen"
Koopman, T / Amsterdam Baroque Orchestra
2001.03.11 20:00 : Opernhaus Zürich, Zürich
Stravinsky, I : Pulcinella
Züricher Ballett
Christine, M / Orchester der Oper Zürich
Stravinsky, I : Duo Concertant
Züricher Ballett
vn. : Pesch, A; pf. : Botvinov, A
Stravinsky, I : Le Sacre du Printemps
Züricher Ballett
Christine, M / mezzo-sop. : Friedli, I; tenor : Odinius, L; Hartmann, RA; Orchester der Oper Zürich
2001.03.12 20:00 : Aalto-Theater, Essen
Sibelius, J : Sinfonie Nr.7 C-Dur op.105
Grieg, E : Konzert für Klavier und Orchester a-Moll op.16
Segerstam, L : Sinfonie Nr.37 "On a Birthday" (Uraufführung)
Segerstam, L / pf. : Mikkola, L; Essener Philharmoniker
2001.03.13 20:00 : Philharomonie, Köln
Tchaikovsky, PI : Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 b-Moll op.23
Henze, HW : Sinfonie Nr.7
Jurowski, V / pf. : Rudy, M; Gürzenich Orchester
2001.03.14 20:00 : Philharmonie, Gasteig, München
Brahms, J : Akademische Fest Ouvertüre C-Moll op.80
Rachmaninoff, S : Klavierkonzert Nr.2 C-Moll op.18
Stravinsky, I : Le Sacre du Printemps
Fischer, I / pf. : Pletnev, M; Budapest Festival Orchestra
2001.03.15 20:00 : Beethoven-Saal, Liederhalle, Stuttgart
2001.03.16 20:00 : Beethoven-Saal, Liederhalle, Stuttgart
Schumann, R : Konzert für Klavier und Orchester a-Moll op.54
Bruckner, A : Sinfonie Nr.9 d-Moll
Gueller, B / pf. : Vogt, L; SWR Radio-Sinfonieorchester Stuttgart
2001.03.17 20:00 : Philharmonie, Gasteig, München
Debussy, C : Rondes de printemps "Frühlingsrondos"
Lalo, E : Symphonie espagnole d-Moll op.21
Schumann, R : Symphonie Nr.1 B-dur op.38 "Frühlingssymphonie"
Wolff, H / vn. : Tetzlaff, C; Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt
2001.03.18 11:00 : Großer Saal, Congresshalle Saarbrücken, Saarbrücken
Beethoven, Lv : Leonoren-Ouvertüre Nr.3
Barber, S : Violinkonzert op.14
Dvorak, A : Sinfonie Nr.9 e-Moll op.95 "Aus der Neuen Welt"
Skrowaczewski, S / vn. : Ehnes, J; Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken
2001.03.18 20:00 : Philharmonie, Köln
Mozart, WA : Konzert für Klavier und Streichquartett Nr.11 F-Dur KV 413
pf. : Uchida, M; Brentano SQ
Bartok, B : Streichquartett Nr.1 a-Moll op.7 Sz 40
Brentano SQ
Mozart, WA : Konzert für Klavier und Streichquartett Nr.13 C-Dur KV 415
pf. : Uchida, M; Brentano SQ

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