追っかけ日記

last modified at 2001.01.18

書下ろし

[06.17] [06.18] [PROGRAMME]
前回の休暇の翌週は出張だった。 普段は月に1〜2回も演奏会に行けば良い方なのだが、何故か、その週に限って、Eschenbachの来日公演2枚、読響定期、朝比奈/NHK SOのブル9 2枚と5日分も券を買って居た。 泣く泣く、それらを友人にばら撒いて旅立つ。 勿論、シカゴ・ミネアポリスなど主要乗継ぎ空港のある都市の演奏会予定はcheckしたのだが、バレンボイムとかドミンゴ(指揮)とかしょうもないのしか見当たらないので、直行直帰。
柄にも無く大人しかったのには訳が有る。 手元に、06.17, 06.18, 06.19の3日分の券があったのだ。 先月袖にされたものだから、Sanderlingはどうしても聴きたい。 さてどうしようか・・・初日と二日目だけなら、月曜だけ休めば聴ける。 と言う訳で、最終日の券は、知人に捌いて貰った。

2000.06.17 (Sa)
LH711便はほぼ定刻にFRA着、無事TXL行に乗り継ぐ。 LHだと、NRTを出たその日の夜に余裕で演奏会に行けるのが良い。 Zoo行の快速バスでZooに向かう。 Berlinは未だ常宿を見つけることが出来て居ない。 最近、Hotel Reservation Systemと言うのが便利で、Hotelは専らここで予約をして居る。 今回もZooの近くに宿を取る。 シャワーを浴び、疲れを落として、Philharmonieへ向かう。

友人たちに言わせると、Sanderlingの伴奏は天下一品なんだとか。 これまで、内田のジュノーム内田のショパンKoelmanとやらのベトコンGrimaudのモーツァルトと、4種類聴いて来たが、実は、その伴奏が巧いというのが良く理解出来て居なかった。

今回の独奏者、Berliner Phil.のコンマスだそうだが、初めて、Sanderlingの伴奏が面白いと感じた。 メチャメチャ巧いとか、強烈な個性があるとか、そういうのは一切感じなかったけれど、音が適度に浮び上がって居た。 違和感を感じない程度に、明確に分離して居た。 こういう協奏曲が聴けると、なるほど面白い。 オケが独奏の邪魔をせず、かと言ってオケが消えて居ない。 書いてみれば余りにも当たり前で情けないのだが、自然で不満の無い協奏曲だった。 チェリvsミケの様な強烈な個性の対決も忘れ難いのだが、こういう出過ぎず引過ぎずの絶妙な平衡感覚も悪くは無い。 で、恥ずかしながら、実はこういう協奏曲余り聴いたことが無かったりする訳だ。

2000.06.18 (So)
初めて聴いて以来、Berliner Phil.を聴く度に、極端にその能力が落ちて居るのが気になって居た。 中でも、前回のWandの時ほど酷い演奏は聴いたことが無かった。 BPO神話の崩壊かと思って居たのだが、今回の演奏が聴けて少し安心した。
特に、弦が凄かった。 やや遅めな、ずっしりとした音厚のピチカートは、Philharmonie自体の音響もあって、特にシベ2の場合、心地好く響く。 確かに、こういう弦の音は、そんじょそこらのオケに出せる代物では無い。

僕の場合、シベ2と言うと、1974.08.14のチェリの怪演(* Luzern live *)が絶対的な価値判断の軸、と言う歪んだ耳を持って居るので、あの強靭な骨格を持った重装備な演奏か、如何にも「北欧の・・・」と言った陳腐な言回しが似合いそうな演奏か位しか思い付けなかった。 今回のシベ2は、いずれでも無かった。 敢えて言えば、チェリのそれに近かったか。
ただ、毎度毎度繰り返すのだが、Sanderlingの演奏は、頂点が無い音楽だった。 漫然として居る訳で無く、頂点へと盛り上げて行く過程で、頂点に達する前に、vectorが掏摸替わって、何時の間にか別の頂点を目指して居る、間合いの面白さ。 今回も、そういう飄々としたシベ2を堪能することが出来た。

前月cancelしただけに、本当に振ってくれるのか心配して居たのだが、結局、今まで見たSanderlingの中で、一番元気そうだった。 まぁ、当初予定されて居た序曲を止めて、協奏曲と交響曲の、休憩を入れても1時間45分位のProgrammだったのだが。

PROGRAMME
2000.06.17 20:00 : Philharmonie, Berlin
2000.06.18 20:00 : Philharmonie, Berlin
Mozart, WA : Violin Concerto in D major, K 218
Sibelius, J : Symphony No.2 in D major, op.43
Sanderling, K / vn. : Stabrawa, D; Berliner Phil.


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