2劇通信・幕の内タケ第10号 1999年(平成11年)7月5日
竹内大右インタビュー
目立たないけどいい仕事する俳優。竹内大右初めてのインタビューです。
竹内 ほめてるの、それ?
― 一応。
竹内 まあ目立たないのは自覚してますけど。
― 私生活では見た目じゃちょっと想像の付かない派手な肩書きを持ってるんですよね。
竹内 「ギャンブラー」?
― そうです。強いんですか?
竹内 最近はもう一つかな。半年くらい前までは結構よかったけど。
― じゃあ危ない思いもしてるわけですか。
竹内 3月末に家賃はもちろん、ガスも電気も滞納する羽目になって、どう計算しても1月持たないって事があった。
― ええっ? で、どうしたんですか?
竹内 呆然とあたりをさまよってると、足下にスポーツ紙が落ちてて、そこには競輪の日本選手権の文字が。普段なら絶対に覚えてるはずなのに、動転してて忘れてたんだね。
― というか悪魔のささやきって感じですけど。
竹内 有り金全部握りしめて行ったんですよ。ところが完全なまでにはずれ続けて、9レースでやっと少しだけ浮いて。
― その時点で所持金は?
竹内 2万足らずだったんじゃないかな。その日は11レースまであったんだけど、この流れじゃ絶対にだめだと思って、帰った。
― よかった。寸前で思いとどまったんですね。
竹内 で、翌日の最終日にまた行ったの。
― うわお。
竹内 その日も見事にだめで、また9レース。そこに好きな選手が出てたんですよ。理性で考えると、いくら考えたってその選手が勝てるはずがない。なのに、頭ではその選手が勝つシーンしか思い浮かばない。頭はやめろやめろって言ってるのに体が止まんないのね。そこで頭を切り換えた。その選手が勝つとしたらどんな展開でか。それだけを頭をふりしぼって考えたわけ。
― どうなりました。
竹内 勝ちましたよ。西宮で泣きましたね、俺。後は連戦連勝。最後には12万程とったかな。
― ははあ。
竹内 祝杯あげたかったけど、帰りの電車の中で必要になるお金を計算したら、その余裕はないの。でもあの時はしびれたなあ。
― でも、そもそもギャンブルしなきゃそんなに追いつめられもしなかったんでしょ。
竹内 そう。結局はプラマイゼロ。(笑)
― では最後にお客様に一言。
竹内 あんまり目立たないかもしれないけど頑張ります…ってこんな話を載せたらみんな注目するかな?
― 大丈夫でしょ。竹内さんなら。
竹内 そう? …なんか複雑。