[2-Geki]  2劇通信・幕の内タケ第15号 2001年(平成13年)11月11日

   弐劇百葉箱



 2劇をもっと詳しく知って頂くための連載エッセイ。第2回目の今回は「2劇の芝居ってどんな芝居?」と題して、2劇舞台監督・林直樹が語ります。

 2劇の芝居を一言でいうのはとても難しい。現在2劇には四夜原茂と音間哲の2人の座付作家がいるのだが、このふたりの作風が似ているとは思えない。しかし、お客さんの中にはどちらの台本でも「2劇らしい芝居だね。」と言ってくださる人がいるのである。何故だろうか?内部の人間にはよくわからないが、独特の雰囲気があるようだ。それは演じる役者の問題であろうか。2劇の役者陣は入れ替わりが激しいのでそれもなかろう。やはり、2劇という劇団が持っている芝居の作り方に起因しているのであろう。台本の内容は違っても、芝居の作り方は共通している。何よりも特徴的なことは、役者が後からついてくるということだろう。2劇では基本的に劇団内で裏方スタッフをまかなっている。スタッフは台本の完成とは無関係に準備を進める。まず舞台のコンセプトができあがる。そのイメージによって台本の内容が変わることもよくある。時には公演予定さえ決まらないうちに舞台のイメージができていたこともある。イメージができたら作業が開始される。かつて、スタッフが役者の稽古とは全く独立に合宿状態で舞台装置を作ったこともあったし、3日かけて仕込みをしても時間が足りず、公演最終日にようやく完成したこともあった。普通の舞台では満足できないこだわりの体質は延々と受け継がれ、現在に至っている。時には物量にものをいわせ、砂漠を作ってみたり、円形の客席をイントレで組んだり、日本家屋の瓦屋根を作ってみたり。また、暗転中に草原を出現させたり、舞台上で船を造ってみた り、大がかりな仕掛けを動かしてみたり。その一方で、大道具に頼らず、イメージで攻める舞台もある。いかに空間を使いこなし、それらしく見せるのかで勝負でする。

 今回の公演の舞台は高速バスの車内。ホールの中でいかにバスを作るのか。今回はズバリ、イメージで攻めます。どんな舞台になるかは、観てのお楽しみ。
[イラスト・2劇仮面]



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