2劇通信・幕の内タケ第12号 2000年(平成12年)9月1日
四夜原 茂
(たまにはまじめに)インタビュー
「カエルのモリ」に始まるよしきの父親探しシリーズ。実は最初はこんな続きテーマになる予定ではなかったのです。ところが「ひやしんど」の話が出来ていくうちに何故かつながりが生まれて・・・といういささか変わった自然発生的に生まれてきた物語には脚本家の隠れた「ある事情」が・・・ 今回は少し毛色の変わったインタビューです。
四夜原 でしょ?
― ところが今度は副題が。「ぼくの青空怪獣」・・・いつになくリリカルですね。
四夜原 ま、副題はなんでもよかったんだけどね。ゴロさえよかったら。
― ありゃ。
四夜原 くらいの気軽な気持ちで付けたんだけど、おかげで内容が決まった。
― 副題から内容が決まるなんて初めてじゃないですか? イメージから考えるに夏の想い出を追いかけていくようなロマンチックな内容で・・・
四夜原 怪獣が出ます。わんさか出ます。
― そのままですか・・・
四夜原 はっきり言って、そうやろね。子どもに何かを伝えるって気持ちも出てきたし。
― なるほど。
四夜原 ところが自分自身は小さいときに父親と別れちゃってて。
― それがコンプレックスだった?
四夜原 いや。今まで気にしたこともなかった。ただ子どもができて気が付いたんだけど、父親のモデルケースが自分にはない。
― モデルケース?
四夜原 たいていの人は自分の父親を反面教師にしながら、自分なりの父親像を作っていく訳じゃない。でも、あこがれようにも反発しようにも元から父親のイメージがない。
― ははあ・・・
四夜原 そうすると家庭内で父親が演じられない。悩み多いよね。
― ・・・
四夜原 だから元々環境ホルモンをテーマにするはずだった「カエルのモリ」が、父親探しの話にシフトしていったのは、ある意味必然だったのかもしれない。
― ・・・
四夜原 何、ぼーっとして。
― 図らずも創作の秘密に迫るシリアスインタビューになって、すごくうろたえてます。
四夜原 (笑)
四夜原 例えば?
― 三年ぶりの新さんとか、二年ぶりの牧野さんとか。
四夜原 新ね。待望の復帰やね。
― そうですね。やはり2劇には貴重な女優さんです。
四夜原 あの芝居に対する真摯な姿勢は若手劇団員も見習ってほしいよ。
― 牧野さんはどうでしょう?
四夜原 あいつはスロースターターだから本領発揮はまだまだこれからだね。きっとそのうちに問題にぶつかるだろうけど、とんでもない突破の仕方をしてくれるだろ。
― そして何より久しぶりなのがアイホールです。
四夜原 数々の伝説をうち立てたからねえ。劇団員が六十歳を過ぎてから集まっても、なお話題にできるだけのエピソードは作ったよ。
― アイホールのスタッフさんたちも、何をやらかすか期待して下さってるらしいです。
四夜原 期待は裏切れないね。
― いったい何をするんでしょう。
四夜原 屋根を作ります。日本家屋の大きな屋根。
― え? じゃあ瓦を敷きつめて…? スケールの大きい話ですね。
四夜原 まだまだこれは前ふり。本当にすごいスペクタルはこれから。
― えっ? えっ? 何が起こるんですか?
四夜原 それはまだ内緒。来てのお楽しみ。
四夜原 一回といわず、二回見て下さい。
― 内容が難しいわけじゃないですよね?
四夜原 その方がより深く楽しめるってこと。