2劇通信・幕の内タケ第12号 2000年(平成12年)9月1日
新求仁子に
「リンリン」インタビュー
待ってましたという方もきっといらっしゃるでしょう。女優・新求仁子が久々に帰ってきます。出産・子育てを通して得たものとは?電話でインタビューしてみました。
新 もしもしー。こんばんわぁー。
― 久々の登場ですね。
新 本当は去年の南極寿公演「sleepless sleeper」で復帰するつもりで、チラシに名前も載せたんだけど・・・都合で急に無理になっちゃって。お客様にもこの場を借りてお詫びします。すいませんでした。
― 今回はどんな役なんですか?
新 主人公の遠い親戚。しかも正体不明な。
― ・・・はあ?
新 お葬式の話なんですよ。主人公の父親の。
― なるほど。だから親戚。
新 で、屋根の上なんです。
― ・・・はあ?
新 まあそのあたりは見てのお楽しみですね。
― 三年ぶりの復帰ですけど、久しぶりの2劇はどうですか?
新 変わったって言ってる人も多いけど、そうでもないかな。うん、通してみるとあんまり変わってない。
― へえ。戸惑っているかと思ってました。
新 中心で行動する人がいて、その人についていって成長する人もいるし、逆に反発して伸びる人もいて・・・っていう形そのものはずっと変わってないと思う。
― 少し距離を置いて見るとそんなものかもしれませんね。近頃の阿部さんはちょっと変わったって話もあるんですが。
新 うーん、変わったかな。
― どのあたりがです?
新 いや、変わってないんだけど(笑)
― どっちですか!
新 いや、根本は変わってないんだけどね。なんて言うか、昔は阿部さんの興味って社会とか国際情勢とかに行ってたじゃない? 身近に自分の理解できないものがあっても興味を示さなかったんだけど、最近は自分の回りのものを見ないでいられなくなってるの。
― 人間性は変わってないけれど、興味の対象が変わったってことですか。何が原因でそうなったんでしょうね。
新 そりゃやっぱり、子どもじゃない? ほら、子どもっていくら理解できなくてもほったらかしに出来ないじゃない。こっちから理解しに行かないと。
― なるほど。ところで子どもといえば新さんにも関係深い話ですよね。子どものいるお母さんの女優さんって2劇じゃ珍しいですけど、そういう立場で復帰する舞台っていかがですか?
新 楽しいです。一人で楽しんでます。
― 一人で?
新 うん。私って昔から回りの見えない突進型の役者だったじゃない。
― ええ・・・ってここで「ええ」なんて言っちゃいけませんね。
新 でも本当だし。それでも前は芝居全体のこととか考えてたんやけど、今は私が楽しければいいって割り切っちゃって。他の人達に呆れられてるかもしれない。
― いえいえとんでもない。劇団員も待望の復帰ですから。
新 そう? 若い人達にベテランが混じって、浮き上がらないといいんだけど・・・