2劇通信・幕の内タケ第16号 2002年(平成14年)6月1日
四夜原 茂
(今年もノンストップ)インタビュー
毎度おなじみ、やって参りました作者インタビュー。
2劇も二十五周年を迎え、またもなにやらたくらんでいる様子。
てなわけで記念すべき年の第一弾を飾る公演、
「チャムチャムドラッグ」の内情に迫ったりいたします。
ぐぐっと。はい、ぐぐっと。
― 毎度やって参りました。
四夜原 うむ。やろか。
― まずは例によって題名から。「チャムチャムドラッグ」。 いつも通り意味不明ですが、なんだか軽やかですね。
四夜原 「チャムチャム」はチャームから来てます。
― アクセサリーとか、お守りとかのことですよね。ますますオシャレな。
四夜原 入れ替えると無茶無茶にもなるし。
― あ、2劇らしいですね・・・。
●ドラッグといえば
― どんなところが舞台なんでしょう。
四夜原 家族でやってる薬局で、それなりに常連客もいるんだけど、 薬剤師もしてる親父が入院しちゃって、仕方なく姉二人、弟一人の兄弟が回している。
― なるほど・・・って、薬剤師がいないんですか? まずいじゃないですか。
四夜原 そうなんだよ。処方箋を持ってこられてもどうにもならない。 でも断るわけにもいかないから口八丁でごまかしたりして。 で、問題にならないうちに閉店しちゃおうと。
― このご時世、なんか妙にリアルだなあ・・・。
四夜原 そこで閉店の準備をしていると、大量の白い粉薬が見つかってしまう。
― うわお。意味ありげな。
四夜原 どうも大切なものらしいし、捨てるに捨てられない。 薬問屋に引き取ってもらおうとするんだけど、何の薬か判らないと引き取ってももらえない。
― 薬の正体を明らかにしなけりゃならない。
四夜原 みんなで飲んでみるしかないか・・・となっちゃうわけだ。
― 当然、ただの薬じゃありませんよね。
四夜原 うむ。クラクラ来るね。
― やっぱり。訳のわかんないことしゃべり出したりして。
四夜原 その通り・・・と、思いきや。
― え?
四夜原 「薬のせい」でクラクラして何しゃべってるか判らない。 ということは、言い換えれば何しゃべっても問題にならないわけだ。 たとえ普段は口にできなかったようなことも。だってそれは「薬のせい」だから。
― あ。
四夜原 その薬を飲んでしまったのならば、何を言ってもいいわけだ。 常連客たちの秘密も次々と明らかになる。
― 薬が飲まれるごとに思いもよらない真実が!
四夜原 と、思いきや。
― え?
四夜原 次々と明らかになる真実が、家族の中では微妙なずれを見せ始める 。姉二人が言ってることが違ったりして。
― え? え?
四夜原 家族の中でも覚えていることが違うわけだ。 ところがすべてを知っているはずの親父は入院中、と。 それでまあいろいろと騒ぎになるわけだな。
― なるほど・・・。しかし、薬は二劇の芝居ではおなじみの小道具だし、 家族の問題は「父親探し三部作」、記憶のずれは「ボンボドス」、とくれば今作は、 いわばここ最近の四夜原作品の。
四夜原 うん、集大成とも言えるものになるんじゃないかな。
●客演といえば
― さて、今回の公演は客演を多く迎えますが、 客演陣について一言ずつ語っていただきましょう。 まずは「流星倶楽部」の小栗一紅さんから。
四夜原 素直にうまい役者さんだよね。表情も豊富で十面相とかしたらやたら巧そう。
― 落ち着いた演技で、しかも目を引いてくれる感じがあります。 では元劇団員で現在フリーの川島むーさん。
四夜原 軽いスタイルと見せかけて、その実とても太い演技をする女優。
― 今回も芝居の重しとなっていただけることでしょう。 お次は「劇団暇だけどステキ」の杏のりこさん。
四夜原 なんか包み込んでくれる雰囲気がある。 母性というか。たゆたったままで芝居が見せられるような。
― ほうほう。最後は同じく「劇団暇だけどステキ」から、座長の飯島和敏さん。
四夜原 ホームランバッターだね。
― おお。
四夜原 ただし三振もしそう。
― あら?
四夜原 でも、大きいのを打っていただけると信じております。
●お客様にといえば
― 最後も例によって、お客様に一言。
四夜原 だまされますよ。絶対にだましますよ。心してきてください。
― 相変わらずやる気なのかそうでもないのか不明なコメントをありがとうございました