[2-Geki]  2劇通信・幕の内タケ第14号 2001年(平成13年)6月6日

  「テーマは『記憶』」「・・・と見せかけて、実は
     「どこまで芝居でメチャクチャできるか」






 今回、記憶障害を題材に選んだシャー・ハ・ラシゲールこと四夜原茂。 まさか難病もの? 悲劇? どちらも2劇には今ひとつ不似合いな気がする。 ひとつそのあたりの真意を聞きださんと、2劇がたまり場にする居酒屋にもぐり込みました。

[イラスト・四夜原]

◆ボンボドスとは?

― 例によって題名の話から始めましょうか。 「ボンボドス」、どうにも意味不明なんですが、なぜこんなタイトルに?

四夜原 響きがいい。それだけ。

― 他に何か、深い理由とかは・・・

四夜原 このくらげ旨いなあ。付きだしとして秀逸だなあ。

― なさそうですね。

◆忘却とは?

― 今回は記憶障害が題材だそうですが。

四夜原 元々はテレビで知ったんだけどね。 ビタミンB1の欠如によって起こる「ウェルニッケ脳症」っていうらしい。 記憶喪失とは違って、病気になる前までの記憶ははっきりとあるんだけど、そのあとのエピソード記憶ができなくなる。

― エピソード記憶?

四夜原 例えば我々は、ある一日を「あんなことがあった」「こんなことがあった」って 出来事で記憶するわけだけど、これができない。 昨日なにしていたかの記憶ができない。今さっきまでなにしていたかの記憶がない。

― 怖いですね。

四夜原 その怖さを笑い飛ばしてみようと。

― 笑い飛ばすって・・・当事者にとってはとても笑い事じゃないと思うんですけど。

四夜原 もちろん。でもね、この病気でない人だって、忘れる怖さと無関係ではない。 年を取っていけば誰だってあり得ることだから。

― なるほど。

四夜原 そのとき失うものばかりに目を向けていてもなんにもならない。残ったもので楽しもうと。

― 私たちは忘却という現象とどう向き合うか、ですね。

四夜原 そう。今回は記憶を失っていく人とどうつきあうか、 記憶を失うということとどうつきあうか、って話になると思う。

◆ハチャメチャとは?

四夜原 というようなことが表のテーマならば。

― 裏のテーマは?

四夜原 どこまで芝居でメチャクチャできるか、やね。

― え?

四夜原 記憶できない主人公は明日の自分のために日記を書くんだけど、 徐々にこの内容が事実とずれてくる。 けれど主人公はもちろん、周りの人間もその日記に合わせて行動せざるを得ない。 たとえそれがどんなにハチャメチャな内容でもね。

― その日記を観客にも配ると聞きました。

四夜原 読みながら見てもらう。

― 芝居の先がわかっちゃう、ってことですか?

四夜原 どうかな? 日記は数種類用意するし。

― 数種類って・・・中身が違うんですか?

四夜原 どの日記に当たるかで、芝居の見方が変わるかもね。

◆「目にもの見せちゃる」とは?

― 今回はいろいろ目新しいことがありそうですね。

四夜原 場所は梅田の真ん中だし、火曜から日曜までのロングランだから、 来る方々にも都合が合わせやすいだろうし。

― 是非、足を運んでいただきたいですね。では最後にお客様に一言。

四夜原 胸ぐらつかむような芝居で、目にもの見せちゃるぜ、と。

― 果たし合いやるんじゃないんですから、もう少しソフトに。

四夜原 今までにない体験をご用意して待っております。




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