2劇通信・幕の内タケ第14号 2001年(平成13年)6月6日
中山邦彦インタビュー
「これで駄目なら、もう引退」
前々回公演「ドンゴラス」では最終シーンにのみ登場、全てをかっさらって去っていくという荒技を 見せてくれた怪優・中山邦彦。いよいよ今回本格復帰というわけでインタビューに登場願ったのです が、実は彼、真面目な話から急に煙に巻くような話題に持っていき、相手を途方に暮れさせる悪癖の 持ち主。果たしていかなる展開になりますやら・・・
中山 無理ですね。
― む、無理って何が一体・・・
中山 大丈夫です。
― ・・・どっちですか?
中山 まだちょっと感覚的にフィットしないところがあって。でも大丈夫。 この間、アンソニー・ホプキンスがニューヨークのアクターズスタジオで語っているのをテレビで見たんですよ。 そこですばらしいことを学びまして。
― アンソニー・ホプキンスといえば「ハンニバル」でも話題になった名優ですよね。一体どんなことを?
中山 「相手役のセリフはちゃんと聞け!」 いやあ、目からウロコが落ちたね。
― ・・・私はソレ、芝居の基本中の基本だと思ってましたが。
中山 後はなに言ったらウケるかなあ。
― いえあの、そんな気は遣っていただかなくて結構です。
中山 とにかく今回は背筋の凍るような凄みを見せたい。今回それができなかったら、もう引退。
― ほ、本気ですか? でも今回、背筋が凍るような役なんでしょうか。 (このインタビューが行われた某月某日の時点で配役はまだ決定していませんでした)
中山 そうだと信じてるんだけど。とにかく、アンソニー・ホプキンスの正確さ、 的確さ、そして堺正章の軽みが肉体にしみこんだときに、僕はフェニックスになるね。
― 燃え尽きないようにだけ注意してください。えー、最後にお客様に一言。
中山 「あなたのよだれを、いただきたい」
― ・・・ホントにそれでいいんですか?
中山 「きけ、わだつみの声」
― ・・・
中山 若い人たちには出せない、男の「あく」みたいなものを感じさせたいですね。
― あ、無難にまとめた。