見どころ

　この作品では、最近の世の中をにぎわせている多くの問題点のうち、二つを取り上 げています。一つは産業廃棄物、環境ホルモンなどを中心とした、「環境汚染」の問 題で、もう一つは、家庭における「父親の不在」です。また、これらの問題点は、他 の多くの問題点と複雑に絡み合いながら、不景気、リストラ、自殺、などという言葉 が象徴するように、人々の将来に対する希望を失わさせる要因ともなっているともい えます。現在、老若男女問わず、「厭世的」なっている人が多いのではないでしょう か。
　今回は、そんな今のちょっぴり寂しい世間をうつしだしたいと考えています。また、 それうつしだすにとどまらず、そういう世界にも希望ともいえる、暖かみのあるヒュ ーマニズムがあることを伝え、それを表現することをねらいとしております。そこに は、最近実際に父親となり、また、ダイオキシンで騒がれている能勢の近くに住んで いる作家・四夜原茂の思惑がふんだんに取り入れられます。
　取り上げる問題は非常に重いものでありますが、全体的に笑いの要素をちりばめ、 気持ちよく観られるものとなっています。それでなおかつ、「しみじみ」とした味わ いが残り、よい意味でいつまでも心に引っかかってしまう作品であります。
　また、３年ぶりに横山秀信が舞台に復帰するのも目玉の一つです。

　今回の舞台は橋の下になってしまった砂浜です。新しい試みとして大工役の役者たちが舞台上で構造物を組み上げていきます。芝居の進行と共に完成する舞台にどうぞご期待下さい。

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