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 激動の21世紀を生き抜くための指針とは。様々な格言の中に、私たちに必要な知恵と勇気が隠れている。このコーナーでは、そんな心に残る言葉を紹介していこう。



 倒れたケーキは倒れない


 ショートケーキを食べるとき、倒れないように食べるのは至難の業であり、緊張感が漂うものである。しかし、先に倒しておけばどうだろう。もはやそんなことを気にする必要もなく、心おきなくおいしいケーキが食べられる。いたずらに用心を重ねるより、思い切った行動に出ることも時には絶大な効果をもたらすことの例え。転じて、用意周到なことを言う。

 使用例「そりゃおまえ、倒れたケーキは倒れないだよ」
    「倒れたケーキは倒れないとは、あの課長らしくないね」。




 焼肉のタレは使い切れ


 スーパーで「今日は焼肉にしよう」と思ったものの、焼肉のタレが冷蔵庫に残っていたかどうか定かでない。さて、タレを買おうか買うまいか。しかし、焼肉を食べるたびにタレを使い切っておけばどうだろう。もはやスーパーで悩む必要もなく、必ず買って帰ればいいのである。一見もったいないと思えることでも、実は一方で大きな効果を上げていることの例え。転じて、悩みを明日に持ち越さないことを言う。

 使用例「そりゃおまえ、焼肉のタレは使い切れだよ」
    「焼肉のタレは使い切れとは、あの課長らしくないね」。




 牛乳は怒って飲め


 給食の牛乳を飲む際に、クラスメイトに笑わされた経験はないか。一人で飲むときでも、思い出し笑いは禁物だ。いっそのこと、牛乳に対して怒るクセをつけておこう。牛乳の白さを見ながら「やけに白い!」と怒るようにしておけば、そうそう吹き出すことはない。理不尽なアクションの中に、実は自分へのやさしさが潜んでいることの例え。転じて、回りくどいことを言う。

 使用例「そりゃおまえ、牛乳は怒って飲めだよ」
    「牛乳は怒って飲めとは、あの課長らしくないね」。




 去年の紅白


 年が明けて紅白歌合戦の話題になり、つい「今年の紅白は…」と言ってしまった経験はないか。また、年末に箱根駅伝の話題になり、つい「去年の箱根は…」と言ってしまうのも同様のミスである。友人に指摘されて悔しい思いをしないよう、常に気を配りたいものだ。物事を正確に伝えようと、力を注ぐことの例え。転じて、小さいことに気を使いすぎることを言う。

 使用例「そりゃおまえ、去年の紅白だよ」
    「去年の紅白とは、あの課長らしくないね」。




 火曜日気分で月曜日


 月曜日に会社や学校へ行くのは、なんとも憂鬱だ。そんなときは「今日は火曜日だ」と思いこんでみよう。それだけで少し気が楽になるはず。まだ気分が晴れないという方は、水曜日と思うことをおすすめする。それでもダメなら金曜日。現実には何も変わらないが、思いこみ一つで世の中が明るくなることの例え。転じて、やはり何も変わらないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、火曜日気分で月曜日だよ」
    「火曜日気分で月曜日とは、あの課長らしくないね」




 鼻から生えれば鼻毛


 例えば鼻の頭から生えた毛を、どう呼べばいいのだろうか。鼻毛と言うと、どうも鼻の中に生えている毛と思われてしまいそうだ。しかしそれは我々人間だけが持っている特別な先入観であり、表であろうが裏であろうが、鼻から生えればそれらはすべて鼻毛である。硬直した考え方が、正しい判断を妨げることの例え。転じて、自分の生まれ故郷を大事にすることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、鼻から生えれば鼻毛だよ」
    「鼻から生えれば鼻毛とは、あの課長らしくないね」




 メモは肩に


 忘れてはならない用件を、手のひらや手の甲に書きとめる人が多い。しかし、手は体の中でも一番水に触れやすい部位であり、わざわざそんな危険なエリアに大事なインフォメーションを記録する必要はないのだ。そこで、肩はどうだろう。手よりもたくさん書き込め、消える危険性も低く、とても便利である。ちょっとした一工夫が、成功を導くことの例え。転じて、服を脱ぐのが面倒くさいことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、メモは肩にだよ」
    「メモは肩にとは、あの課長らしくないね」




 あちこちマッシュルーム


 カレーやシチュー、その他の料理にも使われるマッシュルーム。だが、彼が単独で目の前に現れるのはまれである。そのまま食べてもたいしてうまくないし、そもそも特徴的な味がない。反面、だからこそどんな料理にもずかずかと入り込んでくるのであり、いつのまにやらあちこちマッシュルームだらけである。デメリットに思える個性のなさが、功を奏することの例え。転じて、あなた色に染まることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、あちこちマッシュルームだよ」
    「あちこちマッシュルームとは、あの課長らしくないね」




 おしり一割


 生まれてから死ぬまで、たくさんの人に出会う。その中には気の合う人もいれば、まったくソリが合わない人もいるだろう。しかし、どんなに愛想を振りまいても仲良くなれる数は限られており、自分の尻を見られても構わないと思えるぐらいの人間は、せいぜい全体の一割である。人づきあいもほどほどにした方が良いことの例え。転じて、失礼な振る舞いでわざと嫌われることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、おしり一割だよ」
    「おしり一割とは、あの課長らしくないね」




 傘にダイヤモンド


 つい忘れてしまうものといえば、すぐ思いつくのが傘である。電車で手すりに引っかけたまま置き去りにしたり、レストランに入るときは降っていた雨が、出るときやんでいたりすると、うっかり何も持たずに帰ったりするものだ。しかし、傘にダイヤモンドを埋め込んでみてはどうだろう。その金銭的な価値は飛躍的に高まり、常に肌身離さず持っていたいと思うはず。自分と対象物との関係を極端に変化させてしまうことの例え。転じて、ダイヤモンドがもったいないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、傘にダイヤモンドだよ」
    「傘にダイヤモンドとは、あの課長らしくないね」




 人よりでかいウオークマン


 当初は「無用の長物」と同じ意味で使われた言葉だったが、実際に作ってみたら大きなスピーカーからとてもきれいな音が流れてきた。また、がんばれば担ぎながら歩けたので、ウオークマンと言っても差し支えないことが判明した。いざ実行してみたら、予想外の成果を上げることの例え。転じて、体力がないと倒れてしまうことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、人よりでかいウオークマンだよ」
    「人よりでかいウオークマンとは、あの課長らしくないね」




 店の時計は遅い


 入ろうとしたレストランが満員の時に「どれだけ待てば入れますか」と聞いてみよう。「10分ぐらいです」と言われても、信じてはいけない。店員は当然ながら時間を少なめに見積もっており、15分は待つ覚悟がなければあきらめた方が賢明である。「15分ぐらいです」と言われたら20分は待たされる。常に先を見越して心構えをすることの例え。転じて、あの店には二度と行かないと誓うことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、店の時計は遅いだよ」
    「店の時計は遅いとは、あの課長らしくないね」




 攻めのうどん


 風邪を引いた時や食欲のない時に、よく選ばれるメニューの1つが「うどん」である。しかし、うどん屋にいる客の中にはめちゃめちゃうどんが食べたくて来ている人もおり、すべての客の体調が悪いわけではない。ある結果を導き出す原因は、常に1つではないことの例え。転じて、うどんばかり何ヶ月も食べ続けることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、攻めのうどんだよ」
    「攻めのうどんとは、あの課長らしくないね」




 自動なのは駅員


 ほとんどの駅に自動改札が設置され、便利になったと思うかもしれない。だが、落ち着いて考えてみると、改札口で切符を差し出す手間は昔と何ら変わらない。自動なのは、切符を一枚一枚切らなくてもいい駅員の方であり、楽をしているのは乗客ではなく駅員なのだ。言葉の持つ響きにまんまとだまされてしまうことの例え。転じて、近頃はキセルも至難の業であることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、自動なのは駅員だよ」
    「自動なのは駅員とは、あの課長らしくないね」




 A席の最後列


 コンサートや芝居に行くと、座席がS席・A席・B席と分けられていることが多い。だが同じA席でも、S席に一番近い場所もあれば、振り返ればすぐB席という場所もある。人と同じ仕事をしても、同じ効果が出るとは限らないことの例え。転じて、出演者があまり見えずにイライラすることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、A席の最後列だよ」
    「A席の最後列とは、あの課長らしくないね」




 犬も歩けばスペインに着く


 日本からスペインまでにはかなりの距離があり、途中で海まで渡らねばならない。犬にとってはすごく高いハードルかもしれないが、同じ地球の上である限り、わずかながら可能性は残されている。がんばれば、どうにかなることの例え。転じて、すごい犬はハチ公だけではないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、犬も歩けばスペインに着くだよ」
    「犬も歩けばスペインに着くとは、あの課長らしくないね」




 車とフンで悩む


 男性が女性と二人で歩くとき、女性を行き交う車から守るため、男性が車道側を歩くべきかもしれない。しかし、犬のフンが落ちている確率が高いのは圧倒的に歩道側であり、せっかくの配慮が裏目に出る可能性もある。人に優しくするのは極めて難しいことの例え。転じて、どの道を選んでも苦しむことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、車とフンで悩むだよ」
    「車とフンで悩むとは、あの課長らしくないね」




 パン屋本屋


 てんやわんや、という言葉があるが、その最上級。昨日までパン屋をしていた男がいきなり本屋を始めたため、パンと本がよくわからなくなってしまい、本を焼いたり、ジャムを入れたり、新刊なのに1日で捨ててしまったりしたという故事から、とにかくあわててしまうことの例え。転じて、転職するのは大変なことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、パン屋本屋だよ」
    「パン屋本屋とは、あの課長らしくないね」




 滑るタイルは晴れても踏むな


 雨の日に踏むと、つるっと滑ってしまうタイルがある。雨に濡れるところに、水はけが悪いタイルを使う施工業者に文句のひとつも言いたいところだ。だが、今から剥がせるわけもなく、我々は普段からそのタイルを踏まないように習慣づけておくしかない。同じ失敗を二度しないことの例え。転じて、怒るとこわい人には常に近づかないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、滑るタイルは晴れても踏むなだよ」
    「滑るタイルは晴れても踏むなとは、あの課長らしくないね」




 帯に長し


 帯に長い。ということは、たすきにすればめちゃめちゃ長い。たすきが3本できるかもしれないが、2本半ぐらいかもしれない。結局、中途半端になってしまうので、いっそのこと長い帯として使うのもひとつの手だ。素材の持つ良さをそのまま生かすことの例え。転じて、必要以上にボリュームがあることを言う。

使用例 「そりゃおまえ、帯に長しだよ」
    「帯に長しとは、あの課長らしくないね」




 シジミ汁にも3つの利


 ハマグリやアサリならいざ知らず、シジミ汁のシジミを取るのはとても面倒だ。とにかく小さい。ところがよく見ると1杯の汁で、だいたい3つはすでに貝から取れていて、苦労しないで食べられる。どんな難局にも、必ず糸口があることの例え。転じて、食べたい人だけ食べればよいことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、シジミ汁にも3つの利だよ」
    「シジミ汁にも3つの利とは、あの課長らしくないね」




 8を9にする


 9と書いて、8と書き直すことは簡単だ。しかし、8と書いたあとに9と書き直すのは、並大抵の努力では難しい。8を9の上半分にしてしまうか、いっそのこと塗りつぶすか。もう、がんばるしかないことの例え。転じて、意地でも修正液を買わないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、8を9にするだよ」
    「8を9にするとは、あの課長らしくないね」




 ティッシュの1枚目


 箱に入った新しいティッシュを使うとき、どうしても最初の1枚が破れてしまう。もしくは、2枚まとめて出てしまう。きれいに取り出せるのはまれであり、もったいないがムダになることも多い。先んじても人を制するとは限らないことの例え。転じて、問題がなかなか解決しないことを言う。

使用例 「そりゃおまえ、ティッシュの1枚目だよ」
    「ティッシュの1枚目とは、あの課長らしくないね」




 松江と松山


 世の中に紛らわしいものは数多くあるが、この松江と松山には、両県に縁のない、また両県から遠く離れた土地に住む、多くの日本人が苦労している。県庁所在地を覚える時に、どっちが島根で愛媛だったか、うっかり忘れてしまうのだ。よく似ていて区別がつかないことの例え。転じて、どちらか名前を変えれば解決することを言う。

使用例 「そりゃおまえ、松江と松山だよ」
    「松江と松山とは、あの課長らしくないね」








表紙


 発行/カクシゴト 編集長/かくたかひろ
 皆様のご意見、ご感想お待ちしております。乱丁・落丁はお見逃し願います。2001