別冊


 姉妹品や便乗商法は、いつの時代も必ず存在する。ここでは、その失敗例をまとめてみる。



ごはんじゃありませんよ

所長 どうもはじめまして。
記者 はじめまして。
所長 好きな食べ物はオロナミンCです。
記者 あのう、お名前は?
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 あのう、お名前…。
所長 今回は「ごはんですよ」の姉妹品だ。
記者 せっかちな人だなあ。
所長 でも、ごはんじゃないよ。
記者 え、違うんですか?
所長 ちゃんとごはんじゃないって言ってるだろ。
記者 そうですけど。
所長 見た目はほとんど同じだけどね。
記者 みんな食べちゃうじゃないですか。
所長 はっはっは。まあね。
記者 まあねって…。
所長 中身は黒い粘土です。
記者 食べられませんよ。
所長 だから、ごはんじゃないって言ってるだろ!
記者 怒らなくても…。
所長 人の言うことをちゃんと聞け。
記者 ところで、一つ質問があるんですけど。
所長 何だね。2時間以内で手短に頼むよ。
記者 めちゃめちゃ長いな。
所長 2時間なんて、青春のほんの1ページだろ。
記者 熱血教師か。
所長 早く言いたまえ。
記者 これ、買った人にメリットあるんですか?
所長 まず、警戒心が養える。
記者 はあ。
所長 ダイエットにもなるね。これを食べて吐く。
記者 危険ですよ。
所長 そんなところかな。
記者 売れなさそう。




南コウセツの天然水

所長 ブルドーザー買っちゃった。
記者 何に使うんです。
所長 まだ決まってないよ。
記者 え。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 使いみちを決めてから買いましょうよ。
所長 今回は「南アルプスの天然水」の姉妹品だ。
記者 どんな味ですか。
所長 別に特徴はない。
記者 ないって…。
所長 ただ一口飲むと、ギターかかえてフォークソングを歌い出す。
記者 いきなりですか?
所長 うん。いきなり。
記者 恥ずかしいなあ。
所長 あげくの果てに、赤い手ぬぐいをマフラーにしたりするからね。
記者 神田川か。
所長 それだけならまだしも、赤いマフラーを手ぬぐいにしたりするからね。
記者 吸収力に問題あるな。
所長 似顔絵書いてもちっとも似てないし。
記者 それも神田川だ。
所長 風呂は遅いし。
記者 やっぱり神田川じゃないですか。
所長 しかし、女より風呂が遅い男も珍しいな。
記者 そうですね。
所長 たぶん風呂上がりに体重はかってるぞ。
記者 知りませんよ。
所長 コーヒー牛乳もかなり飲んでるね。
記者 どっちでもいいや。
所長 そんなところかな。
記者 売れなさそう。




ホット宅急便

所長 ああ、腹が減ったなあ。
記者 そうですか。
所長 朝からバイアグラしか食べてないよ。
記者 医薬品なのに。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 しかも朝から…。
所長 今回は「クール宅急便」の姉妹品だ。
記者 熱いものを運ぶんですね。
所長 お、鋭いな。
記者 すぐわかりますよ。
所長 箱が熱いと思った人もいたぞ。
記者 誰に聞いたんですか?
所長 娘に。
記者 育て方が間違ってます。
所長 やっぱりそうか。もっと風呂に入れておくんだったな。
記者 関係ありません。
所長 用途に合わせて3段階の温度が選べる。
記者 はあ。
所長 まず35度。
記者 何を送るんですか。
所長 これは田舎を出て一人でがんばってる息子に、暖かい母のぬくもりを送ってやりたいときにどうぞ。
記者 どうぞって…。その思い、伝わりますかね。
所長 そして150度。
記者 何を送るんですか。
所長 これは単身赴任のお父さんに、あつあつの天ぷら油を送ってやりたいときにどうぞ。
記者 いりませんよ。天ぷらならまだしも。
所長 そして4000度。これは流れ出たばかりのマグマを送ってやりたいときにどうぞ。
記者 誰に送るんだ。




かっぱデヴィせん

所長 いやな事件が多いね。
記者 そうですね。
所長 ま、そんなこともないんだけど。
記者 ないのかよ。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 いきなり始まるなあ。
所長 今回は「かっぱえびせん」の姉妹品だ。
記者 もしかして…。
所長 そう、デヴィ夫人の味がします。
記者 食べたくないな。
所長 上品なようで下品な味。
記者 まずそう。
所長 他人への攻撃が、やめられない止まらないらしいよ。
記者 しかし、どうしてあんなに人の批判ばかりするんでしょうね。
所長 他にやることないんじゃないの。
記者 ああ、そうか。
所長 スカルノも見る目ないよ。日本で選んだのがデヴィじゃなあ。
記者 はあ。
所長 もっといいのいただろ。十朱幸代とか。
記者 いきなり具体的だな。
所長 納得いかないよ。
記者 当時は美しかったんでしょうね。
所長 十朱は今も昔も美しいじゃないか。
記者 もういいですよ。十朱さんの話は。
所長 十朱十朱って、気安く呼ぶな!
記者 呼び捨てしてるのはそっちだろ!




十七茶

所長 最近どう?
記者 何がです。
所長 ま、別に興味もないんだけど。
記者 ないのかよ。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 いきなり始まるなあ。
所長 今回は「十六茶」の姉妹品だ。
記者 へえ。
所長 十六茶に、もう一種類ブレンドしてみた。
記者 混ぜたんですね。
所長 飲んでみてよ。
記者 悪い予感がするな。
所長 どう?
記者 ちょっと苦いです。
所長 あ、それは雑巾の絞り汁だ。
記者 (吐く)
所長 汚いなあ。
記者 飲めるものを入れてくださいよ!
所長 ラベルに「Z」って書いてあるだろ。
記者 それを見ても、雑巾のZとは思いませんよ。
所長 じゃ、こっちを飲んで。
記者 またですか。
所長 赤いけど気にするな。
記者 気になりますよ。…あ、「T」って書いてある。タバスコですか。
所長 血だよ。
記者 (吐く)
所長 汚いなあ。
記者 おいしくなるものを入れてください。




NTTカシコモ

所長 春はいいよね。
記者 そうですね。
所長 冬の7倍いいよ。
記者 え?
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 7倍って…。
所長 今回は「NTTドコモ」の姉妹社が販売する携帯電話だ。
記者 へえ。
所長 ドコモが通じないエリアをカバーする。
記者 役に立ちますね。
所長 地下20階とか。
記者 その建物、いったい何です?
所長 地下鉄じゃなければ核シェルターかも。
記者 緊迫した状況だな。
所長 もしくは高島屋だね。
記者 違うと思いますよ。
所長 あとは、富士の樹海。
記者 これも役に立つな。
所長 やっぱり、あそこって相当迷うじゃん。その恐怖がたまらないんだけど。
記者 遊びで行かないでくださいよ。
所長 この電話があればブレア・ウィッチ・プロジェクトはなかったね。
記者 それはそれでつまんないな。
所長 欠点は、電波を受けるためにパラボラアンテナが必要なことだ。
記者 でか!
所長 しかも別売。
記者 お金がかかりそう。
所長 そして、そのうち合併して「NTTドコモカシコモ」が誕生します。
記者 そういうことか。




オナラそのときに

所長 君は花見に行ったりするの。
記者 ええ、行きますよ。
所長 ヒマワリが好きなんだね。
記者 桜に決まってるでしょ。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 放ったらかしか。
所長 今回は「トイレそのあとに」の姉妹品だ。
記者 はあ。
所長 トイレより、オナラの方が困ると思うんだよ。
記者 そうですかね。
所長 大事な取引の最中で、屁なんかしてみろ。1億円の商談がプーだ。
記者 パーでしょ。
所長 この商品は、いろんな音でオナラを消す。
記者 芳香剤でニオイを消すのかと思ってました。
所長 ニオイはすぐに拡散してしまうが、音だったら確実に消せるだろ。
記者 おお、なるほど。
所長 ちなみに、今回のマーケットは世界だよ。
記者 大きく出ましたね。
所長 オナラが?
記者 いえ、あなたが。
所長 どんな人種も、肛門の形はあまり違わない。ニオイは異なるが、出てくる音の大小は人類共通ってことだ。
記者 少し感心しました。
所長 よほどオナラのすごい民族がいたら別だけど。
記者 まず大丈夫でしょう。
所長 スイッチ一つで爆発音やパイプオルガンが鳴り響く。
記者 逆に目立ちませんか?
所長 そうかな。
記者 いきなりパイプオルガンは怪しまれると思いますよ。
所長 犬の遠吠えもあるぞ。
記者 ますます怪しい。




新幹線「ねたみ」

所長 君はインターネットしたりするの。
記者 しますよ。
所長 ま、冗談はこれぐらいにして。
記者 冗談なんですか?
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 あいかわらずだなあ。
所長 今回は「のぞみ」の姉妹品だ。
記者 新幹線だから姉妹列車かな。
所長 のぞみが停まらない駅にのみ、停車します。
記者 名古屋や新大阪は?
所長 もちろん通過する。
記者 そんな。
所長 だって「ねたみ」だもん。
記者 何を妬んでるんですか。
所長 のぞみの停まる駅がうらやましいんだよ。
記者 だからといって、通過しなくても…。
所長 つまり「こだま」より不便だね。
記者 ひどい話だな。
所長 小田原から岐阜羽島への直行便を大増発。
記者 採算とれます? 岐阜羽島なんて、これから駅ができるのかと思うほど静かな街ですよ。
所長 車内では新横浜や名古屋の悪口をアナウンス。
記者 妬みすぎです。
所長 いきなり「シュウマイのバカ!」とか。
記者 それ、もしかして新横浜の悪口?
所長 さらに米原で「アホ」に言いかえます。
記者 意味あるのか。




捨て身のハンディカム

所長 君はカサを何本持ってるの。
記者 いや、数えたことないです。
所長 ぼくは6本。
記者 はあ。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 そんなこと教えられてもなあ。
所長 今回は「スタミナハンディカム」の姉妹品だ。
記者 捨て身ですか。
所長 生死を賭けた撮影をするときに使う。
記者 例えば?
所長 戦場とか。
記者 恐いですね。
所長 やっぱり、スクープは命がけだから。
記者 どんな機能があるんですか。
所長 流れ弾がどこかから飛んできたとする。
記者 ええ。
所長 すると、内蔵されたセンサーが危険を察知!
記者 はあ。
所長 このカメラが身代わりになってくれるのだ。
記者 カメラは?
所長 粉々だよ。
記者 スクープが水の泡だ。
所長 命あってのカメラマンだろ。
記者 まあ、それはカメラマンに限らずそうですけど。
所長 撮影禁止のアイドルコンサートを、どうしてもビデオに収めたい。
記者 いきなり小さい話になりましたね。
所長 警備員に見つかると、内蔵されたセンサーが危険を察知!
記者 はあ。
所長 証拠を残さないよう、自動的に消滅する。
記者 カメラは?
所長 ドロドロだよ。
記者 スパイ大作戦か。




キャラメルゴーン

所長 君のお父さんはどんな人なの。
記者 ぼくの父ですか。
所長 あ、やっぱりいいや。
記者 え。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 いやな気分だなあ。
所長 今回は「キャラメルコーン」の姉妹品だ。
記者 へえ。
所長 カルロス・ゴーンの味がします。
記者 どんな味だ。
所長 とにかく甘くないらしいよ。
記者 お菓子なのに。
所長 中身も20%減量。
記者 うわ。
所長 リストラは辛いね。
記者 辛いです。
所長 キッチンハイターって呼ばれてるんだろ?
記者 コストカッターですよ。
所長 それはひどいな。
記者 立て直すためには、しょうがないでしょう。
所長 カッターシャツを着るなってこと?
記者 もういいです。
所長 個人的にはがんばってほしいんだが。
記者 そうですか。
所長 なにしろ、カルロスって名前はカルロス・トシキ以来だからな。
記者 そんな理由で…。
所長 「君は1000%」をぜひ歌ってほしい。
記者 たぶん知らないと思いますよ。
所長 じゃ、500%で。
記者 カットしなくても。




写りコムンです

所長 モーニング娘。は今、何人なの。
記者 ええっとですね。
所長 あ、やっぱりいいや。
記者 え。
所長 それでは姉妹品の研究レポートを発表しよう。
記者 ま、ぼくもどっちでもいいや。
所長 今回は「写ルンです」の姉妹品だ。
記者 へえ。
所長 すごいものが写り込むよ。
記者 いったい何ですか。
所長 いろんな霊が。
記者 うわ。
所長 つまり心霊写真だね。
記者 恐いです。
所長 中にはそういう写真を撮ろうと、わざわざ心霊スポットに出かける人もいるらしいけど。
記者 いやな趣味だなあ。
所長 このカメラがあれば、もうそんな苦労はしなくていいよ。
記者 どうして?
所長 最初から、カメラの方に呪いをかけてある。
記者 ひえええ。
所長 いろんなのがあるよ。借金苦で無理心中した人の呪いなんかどう?
記者 いえ、いいです。
所長 不倫の果てに無理心中ってタイプもあるけど。
記者 心中ばっかりじゃないですか。
所長 もう心霊写真のオンパレードだ。
記者 気味が悪いです。
所長 心霊かと思ってたら、樹木希林だったりして。
記者 そういえば、懐かしいCMが復活しましたね。
所長 心霊もそれなりに写ります。
記者 なるべくボンヤリとお願いします。








表紙


 発行/カクシゴト 編集長/かくたかひろ
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