別冊


 ギネスブックに掲載されていない世界一の記録をお届けします。



 世界で一番 慎重なサラリーマン


 千葉県に住む北原伸吾さん(54)は、都内の商社に勤めて30年。これまでに送ったファックスは7053枚を数えるが、今までに一度も送信面のオモテとウラを間違えたことがない。

 ファックスの送信面がオモテかウラか統一されていない現代社会で、このような大記録が生まれたのは、まさに奇跡と言ってよいだろう。現に北原さんの勤める商社には70台のファックスが常設されているが、このうち送信面をオモテにするものが43台、それ以外は送信面をウラにするもの。北原さんが社内を異動するに伴い、記録が途絶えるリスクを常にはらんでいたのだ。そんな劣悪な環境の中で打ち立てられたこの大記録に対して、世界各国企業から賞賛の声が上がっているのは言うまでもない。



 世界で一番 狭い自動改札


 長野県を南北に走る信州本線・倉町駅の自動改札は、通路の幅がわずか25cmしかない。大人はもちろんのこと、ちょっと太った子供もこの自動改札を通るのに悪戦苦闘している。

 このような記録が生まれたのは、1992年に駅南口の整備事業を行った際、工事担当者が改札口全体の幅の計算を誤り、発注する自動改札の台数が多すぎたことが原因。このため機械を詰めに詰め、世界一の記録を塗り替えるに至った。因果関係は定かでないが、倉町駅の利用客の7割が痩せ始めているという。ちなみに世界で一番広い自動改札は、フランス・リヨンのシャンボヌ駅で、通路の幅2m40cm。



 世界で一番 人が死んだテレビドラマ


 昭和35年から現在も放送中の「遅刻刑事トレモロ」。第1話で主人公のトレモロが死んだのを皮切りに、毎回繰り広げられる市街地の銃撃戦、遊園地の大爆破、突然の食中毒など、これまでに4億7200万人が死亡した計算になる。

 プロデューサーの中島清彦氏は「人を殺し続けることで命の大切さを訴えたい、などとは考えたこともない」と語る。刑事たちが遅刻さえしなければ一般市民はもっと助かるのに、との指摘にも「初期の頃に比べると、最近は遅刻の理由も多岐に渡り複雑だ。刑事たちがなぜ遅れてしまったのか、そこに注目してほしい。遅刻は壮大な人間ドラマだ」と涼しい顔。ちなみに世界で一番人が死なないテレビドラマは、昭和57年から6年間放送された「ゾンビ学園」の0人。



 世界で一番 当たりが出ない宝くじ売場


 N県某市の東正百貨店にある「トーセイ百貨店チャンスセンター」。昭和40年の開設から現在に至るまで、10万円以上の当たりくじを販売したことがない。

 「いいかげん当たるだろ」と期待して窓口に並ぶ人々を、あっさり裏切り続けて30年以上が経過。噂を聞きつけ全国から愛好家が集まるが、一人として当たらない。当選番号発表の翌日には「この売り場から、また1等出ませんでした」とわざわざ掲示するほどだ。
 1番窓口で買い続けてもう15年になるというRさんは「よそで買った時に、もしここから高額当選が出たら悔しいので…」と苦笑い。東正百貨店の奥田義一郎社長は「売り場はすっかり地元の名所として定着しており、店の集客にも貢献している。とはいえ、はずれた方々が腹いせに店のショーウインドウをガンガン蹴ったり、壁に『死ね』と落書きしたりするので、早く当たりが出てほしいような気もしています」とこちらも苦笑い。







表紙


 発行/カクシゴト 編集長/かくたかひろ
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