ソンフィルトル 1st Live Tour BORDERLESS



『ソン・フィルトルの活動に注目!』 大森眸

 60年代熱狂の嵐がうずまいたグループサウンズブームだが、そのきっかけを作ったのが、ザ・ブルーコメッツとザ・スパイダースだった。近年単なるノスタルジアでなく、今聴いても、格好よく心が踊るビート・ミュージックとしてGSが再評価され、多くのCDが再発されている。そして当時夢中になった世代だけでなく、生まれてすらいなかった20歳前後の若い世代にもGSの魅力に惹かれ者がでてきている。また海外のガレージ・パンクファンからもGSは、日本のガレージ・パンクとして注目され、いろんなコンピレーションがリリースされているが、その中もスパイダースは、イギリスで、単独でCDがリリースされたほど高い評価を得ている。
 そんな中で、元スパイダースの堺正章、井上堯之、ムッシュかまやつが結成したソ
ン・フィルトルの活動に注目したい。サポート・メンバーを加え、60年代テイストにあふれた熱いステージを見せてくれる。懐古趣味でない現役バンドとして、あの往年のジャズ喫茶や日劇のウエスタンカーニバルの熱狂を体験できる貴重な存在が彼らだ。
現在レパートリーの中心になっているのは、60年代のブリティッシュ・ビートやR&Bのカヴァー。スパイダース時代からのおなじみのナンバーをステップを踏みながら歌う姿は、まさに30年前にタイム・スリップしたようだ。それどころか、当時は、好きだったけれど、通好みすぎてライブではやらなかったような曲まで披露してくれるというのだから、嬉しい限りだ。ダンスのステップ、楽しいおしゃべりも健在。
 今まで、六本木のスウィート・ベイジルを拠点として、何度かライブをやってきたが、これがいつも好評で、早くからチケットが売りきれてなかなか見られなかったのだが、ついに、3月の青山劇場を皮きりに、東京、名古屋、大阪とライブ・ツアーが決定!これを期にぜひ彼らの熱いステージに触れて欲しい。

『蘇るジャズ喫茶の興奮』  サエキけんぞう

 「ジャズ喫茶」という名称の、グループサウンズが出ていたライブハウスのようなところは、当時小学生のGSファンであった僕に取っては、ミステリアスかつ雲の上の桃源郷であった。もちろん小学生が出入りを許されるような場所ではなかったからだ。
現在、ガレージサウンド・バンドとしてのGSに、20代の若者が大きな関心を寄せているが、つきるところジャズ喫茶でのパフォーマンスへと、最終的にはその興味が集まっていくような気がする。なぜなら、GSの持つガレージ性は、ジャズ喫茶でこそ最大の効力を発揮するはずだからだ。
昨年目撃したソン・フィルトルのショウには、80年に再結成したスパイダースのウェスタンカーニバルの演奏などと比べても、ジャズ喫茶における演奏に近いのでは?と興奮させられた。
 その理由は何度か行われた再結成の時は、持ち時間が短く、かつヒット曲を多数演奏せざるを得ないのでノリは寸止めされていたからである。
 ジャズ喫茶はカバー演奏曲の宝庫。そして、今ソン・フィルトルは、往年のカバー曲と、当時、諸々の事情でカバーを断念していた曲をもレパートリーに加え、往年のスパイダースのジャズ喫茶における興奮を蘇らせるに至った。
 予約が常にいっぱいのスイートベイジル以外でのライブとしては、はっきりいって超貴重な一日がブッキングされた。
 くわしくは語らないが、この機会を逃すことなく、必ず目撃されることをオススメする。

-ソン・フィルトルについて-

ソン・フィルトル結成のきっかけは、99年の堺正章のバースデーに家族や仲間が本人には内緒で企画したパーティだった。思いがけなく集まった仲間たちと場が、盛りあがった中で井上、かまやつたちと自然にもう一度いっしょに音楽をやりたいという熱い思いがわきあがってできたのが、このバンド、ソンフィルトルだった。
名前の由来は、「両切り煙草」混ぜもののないストレートさは、バンドの心ざしを示している。
3人集まるとやりたい音楽は、やはり昔と同じ、ブリティッシュ・ビートやR&Bのカヴァー、そしてそれらの流れをくんだオリジナルにもとりくんでいる。


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