-「ソリトン」潜入記1-


 10月某日、サエキけんぞう氏が司会を勤めるNHK総合土曜深夜に放映されている「ソリトン」の公開録画に潜入できることになる。今回は「ムーンライダーズ結成20周年ライブ」。ムーンライダーズは、リーダーの鈴木慶一氏がサエキ氏のデビューバンド、ハルメンズのプロジュースをしていたり、バイオリンの岡田徹氏がパール兄弟のファーストとセカンドアルバムのプロジュースをしたりと、パール兄弟とは非常に関係深いバンドでもある、と言うか日本の音楽界と深く大きく関わっているバンドなのだ。

  夕方6時頃、地下鉄に乗って「渋谷駅」に降り立つ。井の頭通りを通って、6時半少し前にNHKに到着。
入り口を入るとすぐの所に「ソリトン」収録の案内板が出ていて、スタッフの人が立っていたので、そこで受付をしてもらう。
 受付をすませて、控室に案内され、そこで備え付けの給湯機でお茶を飲んでいると名前を呼ばれ、今度はスタジオ横のロビーへ。
ロビーでは、あがた森魚氏、PANTA氏、糸井重里氏、高野寛氏、岩井俊二氏、等、今日のゲストの人達が椅子に座ってくつろいでいる。その間をスタッフが慌ただしく走り回り、アシスタントの浜家優子嬢も、前髪に大きなカーラーを付けたまま走って通り過ぎたりなんかしてなかなか楽しい。サエキ氏は残念ながら打ち合わせ中なのか見当たらない。
7時半の収録開始予定が少し遅れているみたいで、スタジオ中に入れない、しかたがないのでロビーで壁にもたれ、ボーとしながらこれらの様子を見ている。

 予定より15分ほど遅れてスタジオに入る。ステージの上には幕が張られ、大きな風船が何個か浮かんでいる。幕の下には楽器が所狭しと置かれ、なにか次の興行地に行くため荷作りを終えたサーカスのテント小屋、といった感じ。
客席は、大きく3つのブロックに分けられていて、ステージに向かって左側には「ムーンライダースと私」という論文を書いて選ばれた一般募集の人達が50人ほど、真ん中のブロックには今回のゲストが、そして自分は右側のブロック、その他の人達の席というところに座る。
カメラは、左右と真ん中に1台ずつ、その他クレーンと客席の様子を撮るハンディイカメラの計5台。
収録開始前に番組ディレクターから収録時の注意がある。このデレクター、ムーンライダースの大ファンで今回の企画の首謀者とのこと。なるほど、こころなしかはしゃいでいる様に見える。
そう言えば1週間ほど前行なわれたロフトプラスワンの「サエキけんぞうのコアトーク」で、鈴木慶一氏がゲストで出演した時もこのデレクターが見に来ていた。
 そしていよいよわれらのサエキけんぞう氏が浜家優子嬢と登場。今日のサエキ氏の服装はキルティングが入って襟が詰まった白いジャケットを、ベルトでウエストをマークし、それに細かいストライプが入った細みのパンツに合わせる、といったちょっと70年代風のスタイル。手には今日の資料や台本らしき紙束と、それとなぜか頭にドラえもんが付いたシャーペンを持っている。客席の左ブロックの一番前、自分の2列前の席に座ったサエキ氏、はしばらくそのドラえもん付きシャーペンを手で持て余していたけど、結局は1つ後ろの席の人に頼んで預かってもらうことにしたようで、振り向いて手渡していた。


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