携帯ビデオプレイヤー/レコーダーBW3100の 自動撮影装置化 市場にあふれるさまざまな機材を組み合わせて、廉価版自動ビデオ撮影装置の製作を試みた。 材料は小型のビデオプレーヤー兼レコーダーを記憶媒体として、市販の自作、工作キットなどを組み合 わせました。コンパクトデジタルカメラと同様、焦電センサーでバックグラウンド熱変動をとらえてビ デオレコーダーを動作させました。 ○ ビデオレコーダ BW3100 今回使用したものは、ブルウィル株式会社BW3100。これは記憶媒体がテープではなくコンパクトフラッ シュを記憶素子として利用したもの。本機種はマイクロディスクのようなハードディスクを利用するこ ともできる。スペックなど詳細はアストップケーヨーなどのHP、www.bullwill.com.tw などを参照され るのが望ましい。 最大の特徴は、カメラからのビデオ映像信号を検知すると自動的に録画モードになるというてん。こ れは、ボードカメラほかビデオカメラ自体の電源を何らかの方法、例えばセンサーでタイマーを作動さ せて一定時間電流をカメラに流し映像信号を送るだけで録画のコントロールができるため、普通のビデ オカメラで必須な電源投入から録画スイッチ操作などの多段階の手間を大幅に省くことができるという ことです。 また、小型で軽量なので野外調査に必要な耐候性筐体や保護材料や手間が少なくてすみそうな点があげ られます。価格も比較的やすいようです。 映像はMPEG4で圧縮、記録されます。CFカードの容量に応じて記録時間は変わりますが、データはパソ コンでも見られます。時計機能で予約録画などもできるのですが、記録画面にはラップや時刻は表示さ れませんし映像としては記録されません。が、パソコンでリストの詳細表示すれば撮影時刻は確認でき ますし、XP以降ならばファイル容量のほかに再生時間が表示されるはずです。次に紹介するセンサー/ タイマーの設定時間と実際の記録時間から、撮影されたイベントの時間的データは読み取れると思いま す。 欠点としては、画像解像度がやや低く、精密な画像処理に向かない、あまり拡大できないなどの点があ げられそうです。画像や映像を利用した調査では、目的や期待しうるゴールのあり方で必要とするレゾ リューションは変わるので、あまり高望みはできないという点は最初に明らかにしておく必要があるで しょう。 また、サイズが小さいと言うことは内蔵バッテリーの容量もしれているということ。野外に設置するこ と、1週間や2週間はほったらかしにできなければ困るのでそれなりの体力が必要でしょう。その点に ついてはまだまだ工夫が必要です。現状、カメラ、レコーダーは小型化できたうえ、画像記録の即応性 は期待できるものの、それらを支える電源がそれらの何倍かのサイズと重量を占めざるを得ないと言う 点、釈然としない思いを感じるであろうことは間違いありません。が、それが技術的な限界であったり、 現状はそんなものなのです。 ○ センサー PU−2201回路面 PU−2201センサー面 今回使用したのは株式会社イーケイジャパン人体感知センサモジュールPU−2201。このセンサー は体温によるバックグラウンドの熱変動を検出する焦電センサーのほかに、周囲の明るさを測る明るさ センサーを組み込んでいます。また、先に紹介したPU−2203とは異なり、リレーとタイマー回路 を内蔵し、変動検出の後約2-30秒間リレーの動きを持続します。ただし、カウントは正確な時計ではな く温度や電圧変動の影響をうけるのでおおむねの目安ということになります。これも、詳細情報は製造 元のHPを参照してください。 とうことで、センサーが熱変動を検知すると一定時間リレーの動作を保持し、ビデオカメラに電力をお くるということです。あとは、カメラの映像信号がレコーダーを録画状態にするので、改造というので はなく適当な組合せということだけです。特別な回路を別途製作することもなく、PU−2201と電 源線などの接続は小型のネジではさむだけの簡単設計なので、はんだも接点となるリード線のはんだメ ッキぐらいに使うのみです。 あとは、説明書に沿って、センサー感度、明るさセンサーの調整の後、リレーの開閉保持時間の設定、 今回は約15秒などとすればよい。このように、リレーが作動して撮影開始、終了までがひとつのファイ ルとして記録されてゆきます。先にも述べた通り、パソコンで記録時間などはチェックできるので、こ れをもとに動物の活動頻度などの検討にも応用が利くことでしょう。 注意点として、このセンサーは熱変動を検出の後リレーが作動(例えばスイッチが入る)し、バックグ ラウンドの揺らぎが落ち着いてから15秒、など設定時間経過の後リレーが切れる(スイッチを切る)と いう動作をします。熱変動があるうちはいつまでもリレーは動作状態(スイッチが入ったまま)になり ます。要は、例えばイノシシがセンサーのまえで動き回りながら1時間いたとするならば、設定時間た とえば15秒を超えて録画状態が維持される点です。これを利点とするか、問題点とするか、しかたがな いとするか考え方もいろいろでしょうが、現状あまり考えないことにしています。 ○ ボードカメラ MK-0323E 秋月電子通商の赤外線投光器付CCD白黒カメラ、MK-0323Eを使用しました。カラーカメラもあります。今 回白黒カメラにしたのは赤外線投光器がボード上に組みこんであり、暗くなると自動的に点灯する機能を 持っているためです。画像の精細さはかけますが夜間中心の撮影などではむしろ不可視光照明がはじめか らついているボードカメラのほうが便利な場合もあるものと思われます。今回は実験的な要素も多く、 安い方、という選択だったというのもおおむね正しい。 カラーカメラを使う場合は別途照明などのコントロールが必要になるので、上記センサーに付与されるタ イマーなどだけでは追加機材の制御などには対応しきれないところが出てくるでしょう。その場合は複数 のチャンネルを別個にプログラムできるシークエンサーなどを組み込んでカメラと照明、ほか、映像を飛 ばしたければビデオトランスミッターなどを制御するなど、また違った工夫が必要になります。 ○ 組合せ まず価格。 BW3100 29800− PU−2201 4000−ぐらい MK-0323E 3600− カラーカメラは5600−ただし赤外線なし。どちらもマイクは内臓しないので、録音もしたい人はスネーク カメラなど。20000−くらいからありますが、それに付随する小細工も増える場合があります。 あとは電池ホルダーやら電池など必要なだけ。 映像品質、信頼性、機能など比べることはできませんが、市販品とくべるとかなり安価にできるのではな いかと考えられます。 コンポーネントを全部並べると つないでみたらごちゃごちゃ センサー、カメラ部分の拡大 電源は単一8本12Vで、センサーとカメラ両方に給電しています。どちらも作動電圧が12Vなので特に調整は 行わず並列接続しています。短期間であればこの様なばかでかい電池でなくてもいけそうです。が、長期間 運用とかいう場合は、逆に角型6V、2個とか車のバッテリーも使うつもりでいたほうがよさそうです。センサ ーのタイマーは電圧変動で相当狂いますし、赤外線投光器などを増設するような場合はなるべく容量の大き な電源から、安定化回路を介して給電するように工夫する必要があることでしょう。 あとは、どのくらいの電池寿命か、どのくらい撮影可能かなどまだ実地テストはしていないので、メーカー や販売店の情報を参照したほうがよいでしょう。ここではとりあえず、そこいらで売っているものだけでも ビデオ自動撮影装置はできちゃいますよ、という紹介のみにとどめておこうとおもいます。 各メーカー、販売店情報は、例えば”情報源情報”の頁から各社のトップページへ。そこから商品検索して ください。 あとは、デジタルカメラでもそうだと思いますが、実際に何が撮れてんだよ、という点。室内実験ベースで はさくさく動作しているにしても、実地は実地で問題は発生するものです。 というか、まずはこんな失敗しでかしました、という報告のほうが先になることでしょう。それはそれでお 楽しみなんでしょうね。 (2007/05/2) 不親切具合がたかまっています。が、説明なんてそれほど要るものとは感じていません。 自分でやりたい研究者ならばすでになにかアクション起こして良いもの造っているだろうし、その気のない 研究者は製品買ってそれでもなお、つかえねぇ〜とか、何で俺が思った通りのものがないんだとか、あちこ ちに文句をいいながらも使っていることでしょう。 まぁ結局、そんなことはどうでもいいことなんですけどねぇ。本当のところ、私には。
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