爪痕
 爪痕はクマだなと同様特徴的な痕跡です。特に大きさがほかの動物のものと比較してか
なり大きく、横幅が8cm以上、大きい場合で13cmぐらいのものも観察されます。
通常爪痕単独で観察される場合よりも、クマだなや食痕などともにに発見されることが多
いようです。木の幹につけられた爪痕は、ほとんどがその木を上り下りした結果つけられ
たものと考えられます。
 爪痕がいつ、どの時期につけられたものかを判断する目安としてつめの食い込み方、爪
痕から覗く組織の色、新鮮さ、樹液の滲出程度、カルスの出来具合は重要な観察項目です。
これらはツキノワグマの生息状況や活動を知る手がかりとなります。
 テンはツキノワグマと良く似た爪痕をつけますが、大きさやつめの食い込み程度が大き
く異なっています。つめ幅が5cm程度でハリで引っかいたような爪痕であればテンのものと
考えたほうがいいでしょう。一方ツキノワグマの場合は5寸くぎで引っ掻いたように見える
ので、だいぶ印象が違ってきます。
 一方足跡は泥濘地や新雪など限られた条件でしか残らないので、比較的観察しにくい痕
跡といえます。05-10の写真は中国自動車道路のアンダーパスで見つけた足跡です。中国山
地をとおる高速道路の一部は高架橋なので、ツキノワグマやそのほかの動物の通行を遮断
し個体群を分断させるほどの影響を与えているところばかりではないようです。構造や施
工方法に工夫を加えるなど、野生動物にもやさしい人工構造物となるよう配慮が必要です。
05-01 ブナの爪痕。
05-02 ウワミズザクラの爪痕。
05-03 ヤマザクラの爪痕。
05-04 ミズキの爪痕。
05-05 アオハダの爪痕。
05-06 アカマツ朽木の爪痕。
05-07 比較参考。テンの爪痕。
05-08 比較参考。キツツキの食痕。
05-09 足跡。タヌキとツキノワグマ。
05-10 足跡。高速道路のアンダーパスのコケについたもの。
05-11 足跡、爪痕。砂地についたもの。
05-12 あたり。 普通の剥皮や木登りの爪痕とは異なり、マーキングの一種と考えられています
05-13 ヤマザクラの爪痕 群馬県水上村。
05-14 雪上についた足跡 鳥取県八東町。
05-15 雪上についた足跡 鳥取県八東町。
05-16 泥濘地についた足跡(走行またはダッシュ?痕)。 冠山のクマ街道(頻繁に足跡が見つかるから)。
05-17 犬の足跡。 写真つき問い合わせ。これは大型犬のものでした。
      恒常的出没地域以外ではこのような誤認がおきやすいのでサポート体制の強化
      を図るべき。
05-18 スギの幹ついたツメ跡。
05-19 泥道にあった足跡。 左前足
05-20 土道にあった足跡 2010年7月 岩手県岩泉
05-21 泥道にあった足跡 2010年8月 岩手県岩泉
05-22 橋上の倒木についた足跡 2010年8月 岩手県岩泉
05-23 ヤマザクラ類倒木ついた爪あと 2010年8月 岩手県岩泉
05-24 ヤナギ類についた爪痕、滑り降りたとき後足で 2010年6月 岩手県岩泉
05-25 コグマ足跡 2011年8月 岩手県岩泉
05-26 ブナ幹の爪痕 2009年11月 岩手県岩泉
05-27 ブナ幹の爪痕スパイク状 2009年11月 岩手県岩泉
05-28 ブナ幹の爪痕幅120mm超(5本前足) 2009年11月 岩手県岩泉
05-29a 初雪?上足跡 前足と後ろ足が重なる 2009年11月 岩手県岩泉
05-29b 初雪?上足跡 獣道上の足跡 2009年11月 岩手県岩泉
05-30 初雪?上足跡 前足、左方向へ、形状としては不鮮明な例 2009年11月 岩手県岩泉
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