Acorn Ltl 5210A 防湿対策 テミッシュ実装

 Acoorn Ltl 5210A、あまり高価ではないという点、最近流行のカメラだが筐体の下蓋、
バックパック式電池ケースと本体の接合部などの防水シールがやや怪しい。そのまま野
外に設置するのは少し不安が残るため、何らかの防滴カバーを工夫して使う人も多いの
ではないだろうか。

 タッパーウエアなどの容器を利用するほか、簡単で安価なのは1リットルの四角いタイ
プのペットボトルに適当な切れ込み(レンズとセンサーの視野確保)入れたものをかぶ
せること。カメラ本体に直接雨水などがあたらないようにするのが肝要なので、ペット
ボトルは重宝する。とにかく裸でおいておくよりは相当まし、いや、それなりに効果は
期待できるであろう。
 それでも相対湿度の高いときは、赤外線投光器の窓内側に結露が見られる個体も少な
くないので、早々安心もしていられない。

 浸水などで使えなくなた機体を分解。が、素直に分解できない−復元が難しい−こと
に気が付いた。一部鉤爪で羽目合わせになっているが、これが折れたり構造自体にひび
が入ったり割れたりする。コンパクト化の影響か、一種のトラップなのかわからないが
めんどくさいと思った。
 基板そのものはきれいで余剰なフラックスなどは見られない。基板保護のオーバーコ
ートがしてあったかどうかはわからないが。
 ということで、分解しにくい、復元困難なため、自前で基板自体の防水性強化オーバ
ーコートは難しいと感じた。

 ということで、Acoorn Ltl 5210Aに対しては、ペットボトル方式の防滴ケースはすで
に多用されているが、分解復元がめんどくさくて基板のオーバーコート処理はできない
ので、テミッシュだけ取り付けてみた。ただし、ブッシュネルやKeepGuardのように都合
の良い穴がないので筐体のどこかに穿孔しないとならない。ということで、

 こんな感じでやってみた

 もともと防水シールが不良のようなので、どれだけ効果が期待でいるか不明だが、新
規で購入した20台に処理。今回は保障ナシで安く販売しているところからの購入だった
ので、処々もろもろのことは気にせず(本当はそういうわけにはいかないけど)に処理。

 どのメーカーの機種でも程度の差はあれ、何かしら問題を抱えていると思うので、不
具合の原因らしきことがうまく抽出できればそのつどそれに合った対策を考えていくし
かないのだろう。
 今のところ対処例はまだまだすくないのだが、市販品自動撮影カメラの防水性強化に
ついて大雑把に言えば、

  @別途防水ケース・カバーを上乗せする
  A基板そのものの耐水性を高める
  B筐体内外の圧力調整で結露を予防

とか、いうことになるだろう。可能ならば全部、できなければこれらのうち二つくらい
の処理はしたほうが良いのではないかと思っている。

 もちろん、そもそも根拠の乏しい耐久性強化らしき改造やら、延命処置の必要性に疑
問があるとか、興味本位の稚拙な工作に意味を感じられないとか、そんな意見もあるこ
とでしょう。

蛇足
 Acoorn Ltl 5210Aは筐体の下面開閉蓋に三脚穴があるが、これは飾りとおもった方が
良い、言っちゃ悪いが。
 そんなの使用者の責任だ、と主張されることだろうが三脚にねじ止めしたときに、蓋
のストッパーをかけ忘れると何かの弾みで本体が倒れて蓋のヒンジが破損して落下した
りする。基本本機種はベルトで樹木や柱に縛り付けて使用する、というのが設計思想に
あるのだろう。
 三脚を取り付けるところは基本的に筐体の中でももっとも堅牢製が確保されなければ
ならないはずだが、ねじ穴の深さも一定ではないようなので、三脚や雲台に固定するこ
とは、想定されてない?か重視してないかのように思われる。
 
参考
 KeepGuardはブッシュネルと同じように外部電源穴の内側にテミッシュが貼れる。って
いうか、製造元がわからないのだが、ブッシュネルのはこのOEMではないか。基板その
ものは部品の位置など見た目ほぼ同じ(2011年版との比較)。液晶表示の操作画面も色
が違うだけでまったく同じ。
 ただしKeepGuard筐体の金型加工に問題があるのかわざとなのかわからないが、あの筐
体のゆがみはなぜ?
 KeepGuardを使っている仲間がいるが、高湿度環境で使用しているため、しばらく使う
と筐体内部の結露で浸水状態になりやすかったそうだ。が、何台かにテミッシュ処理し
たら状況が改善、少なくとも筐体内部に水がたまる事態はなくなったみたいなことをい
ってた。

注意
 テミッシュのおかげで通気性が良くなり、圧力差によるもろもろの障害が回避しやす
くなったように思えるが、筐体内部の結露は完全になくなるけではない。
 水蒸気の大きさをみても、たとえば酸素の分子量が32に対して水は18なので単分子の
サイズでは水のほうが小さいので完全に”水”だけシャットアウトは無理。
 通常水蒸気は単分子といういうよりは、もっと巨大な液滴として宙を舞っているよう
なので、それらが機能性膜の穴サイズより大きいときは通過してこないということで。
 また、大気中に保持できる水蒸気量はその気温によって大体決まっている。保持でき
なければ露点温度に達したときに結露してくる。カメラ筐体内部にもガス化した水分は
入ってきているので、通気性能を超えるような急激な温度(圧力)・湿度の変化があれ
ば筐体内部での結露がおきても不思議ではない。とはいえ、野外に置いたカメラがいつ、
どこの環境で露点に達したかどうかなんてわかりようがない(気象の知識があればと思
うが、推測や予測というよりも単に心配事が増えるだけのことだろう)。
 それよりは(すべての市販自動撮影装置にいえると思う)筐体そのもののシール自体
が悪く”密閉構造”とはいえないわけで、そもそもそんな精密な話が展開できるはずは
ない。
 ただし、乾燥しやすい環境が保持できれば、基板に残存する水分も減るので障害も減
ると期待してもいいのかな、ということで。

(2014/09/21)

フレーム対応でないブラウザの場合こちらをクリック
メニュー画面に戻ります