ヘアトラップ自動撮影装置設置までのあれこれ
 2009年から2011年まで、クマ類の個体数推定法の開発に関する研究プロジェクトで、ツキノ
ワグマがヘアトラップへの訪問状況を確認するために自動撮影装置の設置方法についても、若
干の検討を行った。正式な結果とマニュアルについては次のHPを参照。
 クマ類の個体数推定法の開発に関する研究

 2011年の最終年度の現場調査を前に以下のような実験などやってみた。撮影レンズの画角と
焦電センサレンズのカバーする範囲の検証のつもり。など、必要そうな現場テクニックと確認
事項のチェックのつもりだったが、あまりきっちりしたことは考えてなかったので結局は現場
あわせでいいことにした。

 ヘアトラップへのクマ訪問状況確認のためにカメラ設置方法について

 補足的実験 模擬設置

 補足実験をした理由は、ヘアトラップの設計を揃えるため正方形に換算して有刺鉄線長1辺
4m、合計16mを基準にしたいという意見があったためだが、今回のカメラでこの規模のヘアトラ
ップ全体を撮影し、体毛採取位置と実際の採取状況の比較をしようするとカメラとトラップの
距離が離れすぎ精細な映像取得がかなり難しかった。
 また、各ヘアトラップ有刺鉄線全長16m以上を堅持しようとすると、カメラの画角と光量から
実験のようなひしゃげた四辺形も想定しなければならない。これは正方形のヘアトラップを設
置するより非現実的。結果、現場ではなるべく正方形に近くなるようにして、カメラまでの距
離は5m前後、有刺鉄線全長8-12mを主流にしたと思う。
 要は有刺鉄線全長16m以上を堅持は良くないっていうか、今回の資機材の組み合わせでは無理
ではないかという実験となった。

 ちなみにカメラの焦電センサに被っているフレネルレンズの光軸は、カメラ筐体に対して垂
直ではなくやや俯角がついているようで、あまりカメラを下に向けるとセンサーの検知範囲が
狭くなる(遠方を検知しないかもしれない)のでほどほどに。
 実際にセンサーが感知している範囲は機種によって微妙に異なると思われるので、実地投入
前に模擬設置などで固有の特徴を把握しておくことを勧める。大体は頭で理解していることと、
または時として、取扱説明書のニュアンスとは異なっていることがあると思う。

(2013/04/15)