剥皮
 ツキノワグマによる痕跡の中で剥皮は、スギ、ヒノキなどの有用樹木を育成する林業に
とっては大きな問題となっています。ツキノワグマが剥皮をする理由は完全に解明されて
いるわけではありませんが、多くの場合、表皮下部の組織を食べていることが観察されま
す。剥皮が発生するのは、春4月ごろから初夏7月ごろで樹種にかかわらずほぼこの時期に
集中しています。
 スギ、ヒノキなどの人工林では樹種が単調なこともあり大規模な剥皮被害として現れま
すが、これらの樹木以外にも剥皮される樹木は数種類確認されています。いずれも、樹皮
を剥いだ後に噛み跡などの食痕が見られます。西中国山地で古くから林業に携わってきた
古老からは、現在のような拡大造林でスギ、ヒノキ一色になる前はホウノキぐらいにしか
剥皮は見られなかったと聞いたことがあります。
 剥皮を誘起する原因は不明な点が多いですが、樹液に含有される揮発成分などに対する
ツキノワグマの嗜好性など興味深い問題も含んでいます。
 爪や牙で樹皮を剥いだ後、背擦りをするケースも見られます。また、背擦り自体は生木
だけに限らず、木製の縦看板など人工構造物でも散見されますが、この事例は7.そのほか
の痕跡、に紹介したいと思います。
04-01 スギの剥皮。
04-02 スギの剥皮。
04-03 ヒノキの剥皮。
04-04 ヒノキの剥皮。
04-05 ハリギリ剥皮。
04-06 ホウノキ剥皮。
04-07 イヌガヤの剥皮。
04-08 アカマツの剥皮。
04-09 ミズナラの剥皮。
04-10 カラマツの剥皮(古い)。
04-11a カラマツの剥皮 背擦り痕跡あり。2010年7月 岩手県岩泉
04-11b カラマツの剥皮 背擦り痕跡あり。2010年7月 岩手県岩泉 拡大 体毛付着
04-50 比較参考シカによるヒノキの剥皮(小豆島)。
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