糞はツキノワグマの生態を知る上で最も重要な痕跡です。糞の内容物を調べることによって
餌となった動植物の種類がわかります。これを季節ごとに追跡して行くと年間を通じて多様な
動植物を餌として利用していることが垣間見られます。
 ここに紹介した事例は、これら多様な餌資源のごく一部に過ぎません。また、地域によって
植生などの環境が変われば利用している餌の種類が異なってくることも予想されます。より多
くの事例を集めることが必要です。
 ツキノワグマの糞の大きさは、ほぼ人間のものと同じぐらいか、やや大きいと考えて良いと
思います。色や臭いは食べた餌の影響を強く受けます。排泄直後は餌によってさまざまな色を
していますが、時間が経過すると内容物に関係なく黒変して行く傾向があります。また、臭い
はいわゆる糞便臭さが弱く、一例を挙げれば、リンゴやカキを食べたクマの糞はそれらの臭い
がします。このことは、見つけた糞がツキノワグマのものかそれ以外の動物のものか区別する
際の目安になる場合があります。
 糞の粒子は粗く、すりつぶされないのでシカやイノシシの糞に比べ内容物の種類は同定しや
すい場合もあります。ツキノワグマは一度に同じものだけを大量に食べる傾向にあるため内容
物の種類は単調です。ササの柔らかい時期はほとんどササのみ、ミズキや堅果類が豊富なとき
はそれらだけといった具合です。
01-01 ササを含有する糞。
01-02 ササを含有する糞。
01-03 モミジイチゴの一種を含有する糞。発見状況。
01-04 モミジイチゴの一種を含有する糞。
01-05 オオスズメバチ(成虫)を含有する糞。
01-06 カマドウマの一種を含有する糞。
01-07 アオハダ(モチノキ科)の果実を含有する糞。
01-08 ミズナラ種子を含有する糞。
01-09 ミズキ果実を含有する糞。
01-10 クリ種子を含有する糞。
01-11 エゾエノキ果実を含有する糞。
01-12 ブナ種子を含有する糞。
01-13 糞から検出されたブナの新葉。
01-14 糞から検出されたイノシシの蹄。
01-15 民家直前、路上に残された糞。
01-16 民家直前、路上に残された糞。内容はカキ
01-17 路上に残された糞1。内容はササ6月
01-18 路上に残された糞1。内容はササ6月
01-19 路上に残された糞。走りながら脱糞していった?
01-20 サルナシ種子を含有する糞1
01-21 サルナシ種子を含有する糞2
01-22 ブナと堅果類(ミズナラ)を含有する糞1 殻斗が含有
01-23 ブナと堅果類(ミズナラ)を含有する糞2 殻斗が含有
01-24 イネを含有する糞から分離1 水洗した結果検出されたもの
01-25 イネを含有する糞から分離2 拡大
01-26 ヤマブドウを含有する糞から分離 種子拡大
01-27a 糞中ブナ?の芽鱗 2010年5月岩手県岩泉
01-27b 糞中ブナ?の芽鱗 2010年5月岩手県岩泉 拡大
01-28a フキ 2010年7月岩手県岩泉
01-29a イチゴ類 2010年7月岩手県岩泉 路上
01-29b イチゴ類 22010年7月岩手県岩泉 拡大
01-30a イチゴ類とクワ混在 2010年7月岩手県岩泉
01-30b イチゴ類とクワ混在 2010年7月岩手県岩泉 拡大
01-31a ヤマザクラ類種子 2010年6月岩手県岩泉
01-31b ヤマザクラ類種子 2010年6月岩手県岩泉 拡大
01-32a ウワミズザクラ種子 2010年8月岩手県岩泉 拡大
01-32b ウワミズザクラ種子 2010年8月岩手県岩泉 拡大
01-60 比較参考。イノシシの糞。
01-61 比較参考。タヌキの糞。
01-62 比較参考。カモシカの糞。群馬県水上村。
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