被害
 人の生活圏とツキノワグマの生息地が接するもしくは重複する地域では、人身被害や農
林業被害がもっとも顕著な生息状況を示す痕跡となって現れます。また、これによって初
めてツキノワグマの生息を実感させられ、極端な拒否反応を引き起こす原因となっていま
す。そのため、ツキノワグマの個体群保護は被害軽減や被害対策と同じレベルで考えなけ
ればなりません。
 ここでは養蜂被害を主に紹介しましたが、実際には多種多様な被害例が報告されていま
す。また、ツキノワグマによる被害ではないかと相談を受けたなかには、その他の動物に
よるものもありました。クマの生息地ではなかったが、近隣でクマの目撃や被害情報が増
えてくるとそのような例が増えてきます。このような場合は、分布の傾向や、痕跡の特徴
などなるべく詳しい情報を提供して事実関係を明確にするべきでしょう。
 生ゴミ処理容器内の生ゴミが食害される例が報告されていますが、ここに紹介した観察
例では、新鮮な生ゴミや食品はほとんど認められず切花の腐敗物が主でした。内面はノミ
バエの幼虫と蛹が多数認められ、クマは容器の内面を前肢でこそぎとって食べていたと思
われました。このことからクマがコンポスト容器を狙うということには、生ゴミそのもの
を狙った場合と、2時的に発生したハエ等の昆虫を目的にした場合等、複数の原因がある
ものと考えられます。
 今後もなるべく多くの事例が紹介できるように心がけたいと考えています。
08-01  養蜂被害の実態。自動撮影1
08-01a 養蜂被害の実態。自動撮影2
08-01b 養蜂被害の実態。自動撮影3
08-02 養蜂被害
08-03 養蜂被害
08-04 養蜂被害 近傍の足跡
08-05 養蜂被害 有害鳥獣駆除序罠設置
08-06 生ゴミ処理容器
08-07 生ゴミ処理容器
08-08 生ゴミ処理容器
08-09 生ゴミ処理容器 被害地に続く通路
08-10 貯蔵米被害 簡易貯蔵庫扉についた足跡
08-11 貯蔵米被害 簡易貯蔵庫扉内側の爪痕
08-12 貯蔵米被害 米袋を引きずっていったものと思われた
08-13 養鶏被害 被害の遭った鶏舎
08-14 肥料袋を齧った跡
08-15 冷蔵庫1扉についた足跡
       少量の酒粕が入っていただけの冷蔵庫
08-16 冷蔵庫2コンプレッサー覆い部分破壊痕
       僅かに漏れ出るアルコールと有機酸に誘引された可能性。
       H16年秋は特に餌不足で出没が多かった。
08-17 水稲被害。
08-18 水稲被害。
       このような水稲被害があった地域では、最初早稲のもち米、次にうるち米が被害
       が発生し、最後に晩生の家畜飼料用のコメが食害される。通常、11月頃まで飼
       料米は田にあるが、それらが食害されたことはめったになかった。が、平成16
       年は重篤は被害が出た。また、この年はギンナンが胃内容に含まれたり、家畜の
       糞に消化不完全で排出された飼料用トウモロコシを掘り返して食べていたクマが
       いたなどの目撃例があった。
08-19 養蜂被害匹見町1(2009年) 斜面の防御はかなり難しい。
08-20 養蜂被害匹見町2(2009年) くぐりやすくなります。
08-21 養蜂被害匹見町3(2009年) 斜面の防御はかなり難しい


08-20 比較参考:テンもしくはイタチ烏骨鶏被害
08-21 比較参考:テンもしくはイタチ烏骨鶏被害
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