有害駆除
 野生動物と人との接点というのは、残念ながら好ましくない状況の事例のほうが多いよ
うに思えます。とくに人身被害や農林業被害は最も悲劇的な関係といえるでしょう。
 有害駆除は「鳥獣の保護ならびに狩猟に関する法律」に基づき適正な保護管理計画を設
けて行われることが必要です。この基準に照らし合わせ殺処分する場合と放獣する場合が
あります。ここでは、一般に奥山放獣、奥地放獣、移動放獣などと呼ばれていますが、人
の生活圏に忌避的な学習効果を期待するという点で基本的には同じコンセプトによるもの
なので学習化放獣といったほうがわかりやすいと思います。
09-01 戸河内方式有害駆除用捕獲檻。
09-02 学習化放獣。麻酔作業。
09-03 学習化放獣。麻酔作業。
09-04 学習化放獣。計測。
09-05 学習化放獣。放獣。
09-06 学習化放獣。忌避学習化、クマスプレーの噴霧。
09-07 学習化放獣。放獣。
09-08 有害駆除。捕獲檻に入ったコグマ。
       度重なる水稲〈家畜飼料用)への被害対策として罠を設置したところ、3頭
       の個体が罠近辺に現れた。まず2頭のコグマが罠の中に入ったがその時点で
       捕獲装置は作動しなかったが、後それらの母グマが入り3頭捕獲された。
09-09 有害駆除。捕獲檻に掛かった親子グマ。 コグマたちの盾になる母グマ。
09-10 処分された母グマに覆い被さるコグマ達。
09-11 2頭のコグマは放獣されることになったが・・・。 計測などの為に麻酔。
09-12 放獣されたコグマ。 耳にマーキング。
       当年歳児のコグマ達。親無しで越冬の可能性は不明。餓死、凍死またはタヌキ
       等に襲われて死亡する可能性のほうが高いかも。それは3頭処分したのと変わ
       りはない。このような場合、3頭とも処分か3頭そろって放獣以外の選択肢は
       ないはずである。とりあえず目の前から”消えてもらう”という意味の放獣は
       正当な保護管理−個体数維持と管理−とはいえない。または、かわいそうだ
       からという動機のみで放獣を行うべきではない。保護管理計画における個体数
       管理手法のひとつのオプションでしかない放獣という選択肢の意味、誤解や考
       え違いはないでしょうか?よく考えてほしいです。極論、個体群維持という観
       点でいえば、すぐに繁殖できないのみならず、途中で死亡する確率の高いコグ
       マを放獣するよりは、翌年すぐに繁殖の核となれる成獣メスを放獣したほうが
       個体数維持には有利だともいえるのです。昨年殺しすぎたから来年度は放獣中
       心で、ぐらいにしか考えてないところがあるとすれば、これをひとつのケース
       スタディーとして個体群管理と放獣の意味論から論議し直してほしいと思いま
       す。
09-13 有害駆除。栗園で捕獲檻にかかった個体。その1。
09-14 有害駆除。栗園で捕獲檻にかかった個体。その2。
       普通、脱出を試みる個体は地面を掘ろうとする。捕獲罠下面が目の大きい格子
       だったので掘り返しあとが顕著であった。底板が平板やパンチングメタル板の
       場合、爪の損耗が激しいが健康上、行動の障害にはならない。
09-15 死亡個体の痕跡1。 残存した体毛。
09-16 死亡個体の痕跡2。 発見された発信機。見ずらい写真。
       09-15、09-16は2004年に親子2頭で錯誤捕獲、のちコグマに耳標発信機を装着し
       てどちらも放獣。年も押し迫ってコグマだけ再捕獲。再放獣された。当年生ま
       れとのこと。直接の管理責任のない個体だったのでそれまでのいきさつは不明。
       親にはぐれたか、子捨てかわからないが、単独になり越冬できなかった模様。
09-ex 殺処分が必要な場合。
09-ex2 殺処分個体。体重測定。
09-ex3 殺処分個体。過去にくくり罠で前肢指を失った個体
09-ex4 殺処分個体。このような事例が一日も早くなくなることを・・・・
09-ex5 殺処分の瞬間。 2004年ごろの古い写真。
09-ex6 殺処分の瞬間。 続き
       フィルム式のコンパクトカメラは撮影反応が早かった。

       捕獲直前 09-09〜09-12と同じコグマ

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