対策
 ツキノワグマによる被害対策として電気柵の設置は、効果が高い方法のひとつです。そ
の他にも様々な防除方法が試されていますが、いずれも短期的な視点に立脚したものに過
ぎません。これらを過信することなく、生息環境整備や野生動物管理に従事できる人材育
成など長期的視点での対策をあわせた保護管理計画の策定が必要です。
 一部の地域ではツキノワグマも生息してはいますが、むしろイノシシの被害が甚大な地
域では、イノシシ用の電気柵が普及しています。物理的な強度に少々問題はあってもツキ
ノワグマの進入防止にも十分な威力を発揮します。保守点検の徹底やある程度の工夫を加
えて兼用することも不可能ではありません。10-03、-04、-05はイノシシ用電気柵ですが、
現在のところツキノワグマにも十分な進入防止効果が見られています(匹見町)。
 広島県は2001年6月にクマレンジャーという制度を発足させました。殺処分を中心とした
有害駆除だけではなく、出没情報に対応して山林周辺のパトロールや追い払い活動によっ
て人家周辺への出没や被害の抑制を期待するものです。しばらくは試行錯誤が続くものと
思われますが技術的ノウハウの蓄積や、施策としての醸成に期待したいと思います。
 ツキノワグマの生息する地方自治体などは野生動物の保護管理計画を策定し、保護と被
害対策に取り組むべきところは依存のないところですが、ここで紹介したようなごみの放
置など(10-11,10-15,10-16)、一般の無関心や環境保全意識の欠落はそれら保護計画や、
民間の保護運動のすべてを台無しにしてしまいます。実際の保護活動や被害対策は誰が支
えなければならないのか再考(自覚)するべきではないでしょうか。
 10-17について。多分ご本人もこれで被害防除になるとは思っていないことでしょう。
しかし私には獣害にさらされる人たちを取り巻く複雑な状況や思いも感じます。保護と管
理の狭間に合って、これらの人たちの本当の思いというものがどれほど理解できているの
でしょうか。笑って済ませてしまえば永久に理解できないことです。

10-01 電気柵 行動遮断型 ネットタイプ。
10-02 電気柵 行動遮断型 ワイヤータイプ。
10-03 電気柵 行動遮断型 水路沿いはアースが効きやすい。
10-04 電気柵 行動遮断型 沢など設置が困難な例。
10-05 電気柵 行動遮断型 イノシシ防護柵との併用。
10-06 電気柵 拠点防衛型 ワイヤータイプ、ニホンミツバチ養蜂場。
10-07 爆音器 養蜂場。
10-08 トタン板巻き クリの木。
10-09 ヒノキ造林地のテープ巻き。
10-10 広島県クマレンジャー。
10-11 観光客によるゴミ放置の現状。
10-12 クマの攻撃で破壊された強度不充分なゴミ箱。
10-13 電気柵?ワイヤーの代わりに建築用足場鉄パイプ。養蜂場。
10-14 電気柵?それでも余分な巣牌をその場に捨てては逆効果!養蜂場。
10-15 釣り餌の放置。
10-16 林内に引き込まれたゴミ。
10-17 笑えない現実。 案山子と怖い顔の絵。
10-18 樹上養蜂?ニホンミツバチ。
       鉄塔に養蜂箱を設置するという例はありますが、このような林木を利用した
       物ははじめてみました。樹木の下部はトタン板で囲いクマのつめがかからな
       いように工夫してありました。箱は滑車で上下するようです。
10-19 電気柵の応用 キャンプ施設周囲のツキノワグマ侵入対策。安芸太田市戸河内牛小屋高原エコロジーキャンプ場。
10-20 電気柵の応用 キャンプ施設周囲のツキノワグマ侵入対策。
10-21 電気柵の応用 キャンプ施設周囲のツキノワグマ侵入対策。
10-22 山林管理の例。
       集落背景の里山との接点は、下草がりとバッファーの設定。
       里山管理の基本、もしくは本来の姿といえるのではないでしょうか。廿日市市。
10-23 ネット型電気柵。 養蜂場周り、小規模。
10-24 電気柵周囲。掘り返し跡
       電気柵の効果を体験したクマによるもの。電撃は受けたものの、諦めず養蜂
       場に侵入を試みた跡。電気柵の下を掘り返そうとしている。一応、電気柵を
       ”壁”として認識しているらしい。
10-25 CEC の爆竹玉
10-26 不良電気柵 あたりまえですが、電気が流れていないとこのような事態に。
10-27 電気柵の電線の向き
       黒い碍子と青い碍子、イノシシ用ですが、一般的にどちらが正しい向きでしょ
       うか。支柱に対し電線は動物の接近方向、外側に配置したほうがよいと思いま
       す。同じ並びの水田でした。写真がわかりずらいですけど。
10-28 イノシシ対策電気柵(だとおもう)
       イノシシが高くジャンプすることを考慮して工夫されたもののようです。金網
       の上に電線が張ってありました。
10-29 電気柵、水位変動対策1 フルードゲートコントローラーを設置した例。牛小屋高原エコロジーキャンプ場。
10-30 電気柵、水位変動対策2 10−29と同じところ、チェーンが併用。
10-31 三生工機の特定省電力無線を利用した早期警戒装置。
10-32 爆竹用音響増幅装置 ただの金バケツ。2008年長野で使用。一斗缶を使うところもある。
       金属容器が振動・共鳴して音が大きくなるであろうことを期待したもの。爆竹
       の燃え殻が周囲に飛散しにくいように金網(ホームセンターにある)で蓋。

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