捕獲個体
 野生動物の生態調査において鳥獣保護法に基づいて学術捕獲をすることがあります。こ
れによって捕獲個体から血液などの試料や各種計測データが得られ、野生動物がどのよう
な状態にあるのかわかります。
 捕獲個体は必要なデータを取得した後、直ちに開放しますが、その際にタグ、マイクロ
チップ、発信機などでマーキングします。このことによって、個体追跡が容易になり、ど
こかで再捕獲されたり、発信機の電波を追跡することなどによってその個体の行動調査も
可能となります。
 また、捕獲して標識することを長期間継続すると、標識個体の再捕獲率から個体数の推
定も可能となります。これは記号放逐法や捕獲ー再捕獲法などと呼ばれ、野生動物の保護
管理において重要な調査方法です。
12-01 学術捕獲個体。ラジオテレメトリー用首輪型発信機の装着。
12-02 学術捕獲個体。イアータグ(DALTON社ROTOTAG)による個体識別。
12-03 学術捕獲個体。ラジオテレメトリー用イアータグ型発信機の装着。
12-04 学術捕獲個体。ドラム缶とラップに捕獲された個体。
12-05 学術捕獲個体。体重測定。
12-06 犬歯が磨り減ったり折れた個体も見られる(この場合は人為的な原因ではない)
12-07 学術捕獲用ドラム缶罠の運搬。
12-07a 学術捕獲用ドラム缶罠の運搬。 短距離ならばこれが楽です。
12-08 学術捕獲個体。マイクロチップ(TROVAN社MODEL-ID100)の埋設。
       西中国山地地域で行われたツキノワグマ生息状況調査では、捕獲個体の後
       頭部から首筋に埋設してあります。
12-09 学術捕獲個体。マイクロチップリーダー(TROVAN社ARE-H5)による読み取り
       埋設の後マイクロチップリーダーで確認します。
12-10 学術捕獲個体。耳標装着(DALTON社ROTOTAG)の耳介への装着。
       同じに耳に耳標を装着します。耳標は脱落する可能性もゼロではないので、
       マイクロチップと2重標識します。
12-11 学術捕獲個体。耳標装着(DALTON社ROTOTAG)の耳介への装着。
       クマの耳介は厚く軟骨も大きいので、事前に2mmぐらいの針で穿孔して
       おく必要もあります。装着具、耳標、そのほか取付けに必要な器具は事前
       に消毒用アルコールに浸漬し清浄に保つ必要があります。
12-12 罠設置環境の例。
12-13 捕獲失敗の例。
       左側罠の蓋(鉄板)の位置に注意。上:罠に近づいてきたところ、次のカ
       ットで、下:蓋が落ちていた。ほぼ同じ姿勢で撮影されたが、時刻が写り
       こんでないので時間的間隔がわからなかった。
       中古カメラを改造する場合、故障状態チェックは十分に。そんな程度です
       から手作りはやめて市販品買ったらいいです。
12-14 変形耳標の例。
       1999年捕獲、2005年再捕獲個体。プラスチック製は長期的に変形、脱落・
       亡失の危険性が高い。マイクロチップなど2重の標識システムは必需。ただ
       し、外観だけでわからないと、捕獲履歴などが照合できずにそのまま処分、
       2重標識などのトラブルが発生する可能性が高い。資材選択にひとつの反省
       点を与えることになった。
12-15 2頭同時捕獲。麻酔終了と思ったら奥にもう一頭
12-16 コグマにも麻酔をかけて確認、親子グマ。
12-17 コグマの犬歯。乳歯かも
12-18 親の犬歯。
12-19 スパイク痕。 勝手にスパイク痕と呼んでいる傷。
       1999年に捕獲標識された個体9歳オス。背中に真新しい円形、鋭い物でつい
       たような傷。若い個体、壮年個体観察される年齢もいろいろ。原因は不明で
       あるが、他の個体との相互関係(闘争?など)が関係しているのかもしれな
       い。あくまでも仮説。ときどき観察されていた。
12-20 発情メス? 外陰部、膣口開口ならびに肥厚が見られたため。が、わかりにくい写真。
12-21 再捕獲個体首輪つき1 2004年に発信器を装着し2009年に再捕獲された個体。
12-22 再捕獲個体首輪の跡が褥創に とりあえずイソジン外用で洗浄しましたが。
12-23 捕獲個体の忌避的学習化1 ドラム缶一個分の移送装置 ふたに条件付けほか処置用
       の穴をつけた
12-24a 捕獲個体の放獣1 ふたは横引きにすると操作しやすい
12-24b 捕獲個体の放獣2 移送装置から出た瞬間は撮影できなかった
12-24c 捕獲個体の放獣3 別の現場 移送装置から出たところ
12-24d 移動用ドラム缶1 12-24aの移動用ドラム缶を軽バンに載せる場合、通常ではやらない
12-24e 移動用ドラム缶2 12-24aの移動用ドラム缶を軽バンに載せる場合
12-25a 計測・標識化して放獣1 コグマとはいえ、危険なのでこの位置から操作しない
12-25b 計測・標識化して放獣2 耳標のみ装着
12-26a 右前足 2008年安曇野
12-26b 右後足 2008年安曇野

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