人体感知センサーモジュールPU−2203を使った
    デジタルカメラの自動撮影装置化

コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)が写真市場を席捲する中、自動撮影装置もデジタル化の要求が
強くなっています。市販品ではトレイル●スターやフィー●ドノート系列、ほか各種輸入品、国産品が
かなり出回っています。

そんな中きちっとした調査研究にはそれら市販品をつかうようにするとして、ちょいちょいとそこいら
にある部品でやすーく作れないものかと考えてみました。いまではそのような試みを紹介したHPも散
見されます。正しく作ろうとすれば電子技術的な詳しい知識が必要なので、ど素人が真似しておいそれ
と作り上げるのは無理ではないかと思われます。

ここでは、ちゃんとしたものは無理として、とりあえずできそうなことを試してみました。そのためか
なりいい加減なことをしているので、カメラの故障だけですめばいいですが、取り返しのつかない事故
などの原因となる可能性もあるので真似はしないほうがいいかもしれません。デジタルカメラの自動撮
影も仕組みは意外と簡単かもしれない、ということがわかれば上等だと思います。

○ センサー
一方でこれまでも秋月とかの高性能な焦電センサーやELキットのセンサーが活躍していました。いず
れもそれなりの大きさがあって、小型化するには少々難がありました。しかし、素人なりに作る楽しみ
が満足できていたのではないでしょうか。

活躍とはいいましたが、あくまでも私の活動範囲でです。動物屋の中で自作派の大多数は他のセンサで
す。これには全く関心ない(完成度は高いようですが調整ほか不具合と格闘する楽しみがない、つまら
ない機械)のでメーカーと機種は忘れました。

最近、センサーと制御回路が一体化した3cm角程度の焦電センサーが市場にでまわっており、価格も
2000円ちょいくらいで入手できます。またまたカメラ改造の楽しみネタが増えました。

株式会社イーケイジャパン
http://www.elekit.co.jp
人体感知センサモジュール
PU−2203

ご存知エレキットシリーズのひとつです。ほか同シリーズにPU-2201という少し大きめでリレー付セン
サもあります。

ここでは詳細は述べず概要のみ。HP(情報源情報にリンクあり)を参照するとか、添付説明書を読ん
だほうが正確ですからね。

このモジュールにはリレーはついていないので、カメラの電極への直付けはできません。センサーから
の信号をトランジスタを使った簡単なスイッチング回路を介してコンデジ回路を閉じてシャッターを動
作させなければなりません。が、リレーで発するような機械的な音はなくなり(*)、静粛性が改善するの
でよりデリケートな環境や対象を相手にできるようになることでしょう。

PU-2203の特徴は焦電センサーにバックグラウンドの赤外線放射に変動が現れると回路から信号が1秒間
出てきます。非常に短時間(1秒以内)に赤外線放射の変動が続くと信号を送りっぱなしになることに
注意が必要です。また、黒い筒などをセンサに取り付けると指向性を持たせることができます。

また、当然ですが銀塩フィルムのコンパクトカメラでシャッター機構が電子スイッチ化されている機種
では同様に接続可能です。

(*): リレーつきのセンサーも簡単な改造でオープンコレクタ出力に変えられそうなのですが、セン
サー自体のサイズがかなり小さいことはひとつの魅力です。

 センサの比較

左からPU-2203(実験的にカメラに取り付け)、PU-2201(完成品で市販、受光部は裏)、秋月のセンサ
(組み立てキット)。

○ カメラについて

カメラはソフマップで激安4900円ほどのCanon Power Shot S20、2000年頃のモデル。

デジタルカメラは電力を大量に食うので節電機能やオートパワーオフ機能があるため、改造のネックに
なっています。市販品では電力消費は少ないが、センサーの検知、カメラ電源オン、シャッター操作、
電源オフと順次操作するので感知から撮影まで3秒ほどの時間差があるもの、センサーと一体化した間
欠タイマーでパワーオフしないように信号をカメラに送る機能を持ち、即時的な撮影は可能だが大きな
外部電源を必要とするものなど、研究者の要求からするとかなり利便性にかけると称されるものも多い
ようです。

個人的な嗜好では、電源などはいくらでも外に繋げればいいだけのことなので、ある程度即時性を期待
するところです。とにかくオートパワーオフ機能が問題のひとつになります。間欠信号はカメラの撮影
機能や機材の故障に繋がるような回路に接続しないようにしなければなりませんが、電子工学は全くわ
からないので、私には回路分析は不可能ですが、にも係らずやるわけですね。

とにかく切れてしまう前に、操作パネルの何処かのボタンを一度でも押せばオフ状態に陥らないように
はできます。また機種によっては切れてしまうと電源再投入が必要なものと、シャッターなどを半押し
すれば復帰するものもあるので、機種ごとの特性を見極めた上どのような付属物をつけるか決めるよう
にするしかないようです。

例えば、ズーム機能を持つものでは広角なら広角に画角を固定したつもりでその接点にタイマーのリレ
ーやスイッチング回路を接続してしまうなど、ほとんど無茶な荒業でもなんとかなります。また、シャ
ッター半押しで復帰するものはその機能が大いに役立ちます。とにかく、どうせ半端な知識しか持ち合
わせていないので、壊して、感電して、一喜一憂しながら、改造を楽しんでいるところです。

そのようにして手を加えたカメラは当然メーカーの保証は受けられませんし、場合によっては出火、感
電などによる重大な障害を引き起こす恐れは確実です。改造はあくまでも自己責任の範囲での話ですか
ら絶対にお勧めしません。フツーの人は市販品を使いこなすか専門技術者に製作を委託しましょう。

ところで、今回使ったPowerShotですが、半押し復帰型でした。本来半押し状態はオートフォーカス回
路を動かす接点として働いているようです。これに電流が流れてから次にシャッター接点に接続するよ
うな二段階スイッチの構造で、シャッター部分には4本の電極が確認できました。うち、レンズ側を外
に向けて左の2つ、レンズ側がフォーカス信号を、後ろ側がシャッター信号に関係していて、右側の後
ろ側の接点がどうやらグラウンドになっているようです。残りひとつはなぞです。

○ つなぎ方
まずセンサーにスイッチング回路を取り付けます。図に示したとおり非常に簡単な回路です。本当は厳
密に作ったほうがいろいろとカメラに負担がかからないのですが、例えば抵抗、シャッターが切れてカ
メラ本体が壊れない程度の値いの抵抗を試行錯誤のすえ、はめているだけです。本来は540kΩ位なん
でしょうけどね。

 カメラシャッター部分の模式図

 配線図概要のみ

センサーの駆動電源はカメラからとっています。このようなスイッチング回路を作るときは、本質的に
カメラとセンサーはひとつの回路として考えます。使用するセンサーによってはカメラ本体と駆動電圧
が異なる場合があるので、本当は適当な電源安定化回路をそれぞれに合わせて全体の整合を取らないと
なりません。

たまたまこのセンサーの駆動電圧が5〜12Vと広かったのでカメラの電池(2CR5、6V)から電源を
取るようにできました。当然余計な電力が必要なので電池寿命はそれなりに落ちます。長期的に使用す
るには積層電池や適当な外部電源を作ったほうがよさそうです。フラッシュなし、中程度画質で休みな
しで撮影させると100枚程度で電池切れになります。

現状カメラの電源を横流ししてセンサに供給しているので、電力が不安定になりがちです。感知距離が
意外に短いのはそのせいかもしれません。カメラ自体も新しい機種ならば多少は電力問題も改善してい
るだろうと想像はするものの、電源問題は直ぐに解決するとは思えませんので安定した外部電源化など
の工夫は不可欠です。

カメラのフォーカス接点とシャッター接点はあらかじめつないでしまってもシャッターが切れ、正常に
動作します。この機種は、無操作状態が約30分続くと本体電源が切れますが、上記のようにフォーカス
とシャッター接点をつないでしまうと、センサーから信号が与えられれば撮影状態に復帰します。ただ
し、復帰はしますがこの信号では撮影はされません。

動物屋の感覚ではこの信号の主がなにか特別な対象物だったり二度と得られない何かだったりしたら意
味がないやら何やら・・・・贅沢なことを言います。確かに無駄球的なのですが、市販品でもとりこぼしほ
か誤動作は付物ですし、間欠タイマーをつけてカメラを眠らせなければいいだけの話なので現実にはた
いしたことではありません。

市販品もそれぞれ、回路設計、感度、感知範囲、応答速度その他もろもろ、癖やら特性やらあるもので
なるべくそれらを理解して、感度調整やら撮影ステージの整備やら機械の特質(ある意味限界)が活か
せるような使い方を考えることのほうが先でしょうねえ。

本当ならば改造過程を写真で追っていけると親切なのでしょうが、まるで勧めているみたいになるので
良くわからない図のみとします。

写真は 実験用プロトタイプの外観

ということで、カメラ本体の改造だけならば、

中古カメラ 5000円 激安中古屋価格
センサー  2100円 秋葉原価格
間欠タイマ 1500円 必要な場合
ほか部品   500円 程度

カメラの状態と価格に左右されるものの、運がよければ10000円位でできないこともないわけですが、
市販品の価格は順当なものと信じましょう。

セールスマン口調で言えば、
”私たちの製品価格は、固有の技術力と経験に裏付けられた安心と安全、確実性を保証したものです!”

ってな具合なんでしょうね。

ということで、
ヨイコは道を踏み外してはいけません。が、
貧乏人は未知に踏み込まざるを得ませんね。

(2007/01/30)

年取ったな。
ひねくれ具合にキレがない。

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