ヘアトラップ検体採取作業の介助用品?

 調査精度を高くするためには採取される検体の質も大きく関わる。そもそもヘアトラップ調査を
実施する時期や、体毛が有刺鉄線にかかった後の気候や暴露期間の方が検体の劣化や分析成功率に
与える影響は大きい。としても現場での検体、試料の取りこぼしなどはあってはならない。
 このような調査を実施するに当たって、現場における検体採集の精度は、後に続く分析と解析に
大きく影響を与える要因であろう。このことを理解してもらうため現場作業員への調査の意義と適
した作業手順を確認する講習は必須である。
 ここで念を押さなくても通常は素人、熟練者を問わず調査の目的とゴールや作業手順についての
ブリーフィングは普通に行われているはずなので、指導のあり方については触れるつもりはないの
でそれぞれの機関毎の慣例に従えばよかろう。
 っていうか、今後、ヘアトラップ法がクマほか鳥獣の個体数推定を実施したい自治体などに、捕
獲に代わる調査手法として普及してくるかもしれない。いつでも健康な若者や専門に近い分野の学
生が動員できれば、ほぼ問題にはならないことではある。
 が、実際には調査の発注先によっては、現場作業者に第一線を退かれた人材を活用したり、緊急
雇用対策など公的な雇用システムを利用して充当したり、従事者が必ずしも専門家や熟練者という
わけにはいかないことも大いにありうる。
 現場は林内の薄暗い環境ということも多く、有刺鉄線にかかった動物の体毛を検体を亡失するこ
となく、残さず採集しなければならないとなると、正常な視力と注意力が必要となり、加齢する
とどうしてもこの点で不利になる。
 端からフィルタリングして人材を当てるというのも手ではあるが、作業員に何らかの弱点(視力
など)がありそうな場合、もしくは自身がそれを自覚している場合は、何らかの補助的手段を講じ
て必要な精度を確保するように配慮や準備が必要ではないかと考える。
 高齢者などをこのような仕事から差別するつもりはまったくない。実際には自分自身がすでに50
を過ぎて、この業務に参加していて、かつ、老眼と左目の障害(網膜静脈閉塞症)のため十分な視
力が維持できてなかった。若者と比べれば作業効率的なハンディに自覚を持ったのは当然であろう。
 ということで、もっともらしいことを並べては見たが、自分自身の問題としてかなり深刻だった
こともあり、ヘアトラップ調査検体採集作業における個人用介助用品をいくつか用意してみた。

 っていうか、単に忘れず矯正用具(老眼鏡など)やライトは持参しろ、ってことだが。

 以下、ヘルメットのつけた小型ビデオカメラ映像からの切り出し画像も含まれるので不鮮明。

 LEDライトつきルーペ 普通にホームセンターや家電量販店で購入できる。
 LEDライトつきルーペで照らした様子1 検体の様子は飛んでますな。
 小型携帯LEDライトを使う場合
 LEDライトつきルーペにしても結局両手がふさがってしまうわけだが。LEDを使った製品の光は強
いのでコントラストはよい。
 ヘッドランプという選択肢、個人的にはない。このような作業を行ってみて、検体の視認性とい
う点では光源の光軸と視線方向がなるべく近いほうが見やすかったためで、ヘッドランプの光の方
向が頭にずれていることによるの影の出方が好みではなかった。中には平気な人もいると思うので
お好きなほうで、ってことではある。。

 ワンダーキット切れるEL(白色)+インバーターセット ELパネル組み立てキット。
 ELパネルを利用した面照明1
 ELパネルを利用した面照明2点灯の様子
 ELパネルを利用した面照明3消灯の様子 現場で使ってみた
 ELパネルを利用した面照明4点灯の様子 が、映像では違いがなんだかわからない。
 バックライトで検体を見る、という選択肢。好みは大きく分かれるに違いないが、やわらかい面
照明なので目への負担は少なく、明るい背景に付着した体毛がよく見えた。照明の感じは決して嫌
いではない。が、パネルの大きさ、装置の筐体、スイッチ方法は改良が必要。
 こういうことをやってみたがるのは単なる個人的性癖、ではある。

 ベニヤ製の白色化粧板 180mm×180mm位の大きさに切ったもの。
 まったくの暗闇でなければ補助光なしでも視認性は良い。できれば塗装面がつや消し塗装された
ものが良い。手軽で安価。白紙をパウチしたものよりも表面の照かりがないので見やすい。
 また、これを有刺鉄線上の体毛の背景になるように地面に置く(必要ならば2−3枚)と、検体が
見やすくなる上、両手の自由を確保できるので作業しやすい。

 結局、最後まで使ったのはベニヤ製の白色化粧板だった、というオチ。

(2012/04/26)

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