食痕
 ツキノワグマが原因と考えられる食痕は、樹木であればクマだなや枝折り、爪痕などの
顕著な痕跡とともに観察されるため比較的はっきりと断定できますが、草本類となるとか
なり難しくなります。ツキノワグマの採餌行動を直接観察して、その後どのような痕跡を
残したか確認しなければなりません。しかし現実にはそのようなケースに出会うことはま
れです。今回紹介した写真で、シシウドの食痕、アリの巣の食痕、クリ堅果の食痕は直接
観察した個体のいた場所を後から調査して発見した痕跡です。
 クロモジの食痕としたものは、ラジオテレメトリー法で追跡中の個体が長期間とどまっ
ていた場所に、枝が不自然な屈曲をしていた株が多数見つかったこと、この樹木の種子を
多数含んだ糞を観察したからでした。直接目撃して観察してはいないので説得力は弱いで
すが、クマは地面に座り込んで周囲のクロモジの株から枝を手繰り寄せてその果実を食べ
ているようです。
 しかし、これらの食痕の中でタケ(タケノコ)、ササの食痕の形態については原因動物
に異論があるかもしれません。また、クリ堅果の食痕は直接観察の結果得られた痕跡です
が、実はイノシシもほとんど区別のつかない食痕残すことが観察されています。クマとイ
ノシシが混在する地域では注意が必要です。
 また、アカマツ朽木の食痕はアカマツ自体を食べているのではなく、その中にいる昆虫
類(幼虫やアリ)を狙ったものと考えられますが、現在のところどのような種類の昆虫が
アカマツの朽木に観察されるのか確認できていません。
03-01 タケの食痕 
03-02 タケの食痕 
03-03 ササの食痕 
03-04 ササの食痕 
03-05 シシウドの食痕 
03-06 アオミズの食痕 
03-07 アカマツ朽木の食痕 
03-08 アカマツ朽木の食痕 
03-08a スギ?朽木の食痕 
03-09 クロモジの食痕 
03-10 アリの巣の食痕 
03-11 ミズナラ堅果の食痕 
03-12 クリ堅果の食痕 
03-13 カキの食痕 
03-14 カキの食痕木下にあった糞 
03-15 マルハナバチの巣を掘り返したものと考えられる 
03-16 ササの食痕2005年 
03-17 タケの食痕2005年  クマによるものかと思うのですうが・・・・
03-18 フキの食痕 8月
03-19 アザミの食痕 8月
03-20 朽木の食痕 8月 中のシロアリ?を狙ったもののようでした 
03-21 クワの木折損 採餌痕 2010年7月 岩手県宮古市川井
03-22a フキ 採餌痕 2010年6月 岩手県岩泉
03-22b フキ 採餌痕 2010年6月 岩手県岩泉
03-22c フキ 採餌痕 2010年6月 岩手県岩泉 拡大
03-23 セリ科 採餌痕 2010年6月 岩手県岩泉
03-24 ニワトコ 採餌痕 2010年7月 岩手県岩泉 わかりずらいが・・
03-25 ヤマザクラ類枝折・落枝 採餌痕 2010年7月 岩手県岩泉
03-26 朽木採餌痕 アリ類か 2010年7月 岩手県岩泉
03-27 朽木採餌痕 アリ類か 2010年7月 岩手県岩泉
03-28 朽木採餌痕 カミキリムシ類か 2010年7月 岩手県岩泉
03-29 朽木採餌痕対象不明 2010年7月 岩手県岩泉
03-30a 朽木(カラマツ)採餌痕対象不明 2010年6月 岩手県岩泉
03-30b 朽木(カラマツ)採餌痕対象不明 2010年6月 岩手県岩泉 樹洞化
03-60 比較参考 イノシシによるタケノコの食痕 
03-61 比較参考 イノシシによるタケノコの食痕。

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