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第4回口頭弁論


 10月1日の日の法廷で住民側弁護団は101名となりました。そのうち25名が法廷弁護団席に着席。100名入る傍聴席も満杯に埋めて法廷が開かれました。

 この日の法廷でのハイライトは、住民側弁護団が連続立交に関する新聞公告の拡大コピーのパネルを示し、国側の論理の破綻を厳しく迫ったところにありました。この新聞広告は、都道府県や地方自治体が参加する国交省(旧建設省)の外郭団体である「全国道路連続立体交差事業促進期成会」等が7月26日に日経新聞紙上に掲載したものです。

 前回の7月23日の法廷でも国は連続立体交差事業は都市計画に係る概念ではないと言い張っていただけに、主張と正反対の身内の広告を見せ付けられて、国側弁護団は顔面蒼白となり、弁解の言葉さえ発することができませんでした。

 控訴理由書で、国側は、小田急線は昭和39年に基本的に高架で決定されており、平成5年都市計画決定は成城地区平面部分を地下化する等の一部変更に過ぎないという第一審で主張した論理を頑迷に主張。平成5年の都市計画決定を事業認可するにあたり考慮すべきは部分変更部分のみであって、高架・地下の全面検討ではないとしてきました。

 これに対して、住民側弁護団は、控訴審冒頭から本件都市計画事業は線増連続立体交差事業(以下、連立事業)という、都市再開発を目的とした道路と鉄道の複合都市施設をつくる事業であり、財源の基本は道路特定財源であって、単なる鉄道事業ではないことを繰り返し述べ、国があたかもこのような事業が存在せず、本件都市計画事業が単なる鉄道事業であるかのように事実の根本をすりかえていることは、アンフェアも極まる評しがたいものであると厳しく指摘してきました。
 特に、被控訴人準備書面・第3の1において、「存在するものを存在しないとする強弁」においてこれを明確にし、控訴人のこのような主張は撤回すべきであると断じてきました。

 昭和44年に成立した建運協定では連立事業が道路事業として位置付けられ、同事業はガソリン税等の道路特定財源でまかなわれることになり、都市の再開発のあり方を考慮に入れた事業計画を立案することを国自身が自治体に義務づけ、国庫補助調査まで実施することとなっています。「存在するものを存在しないとする強弁」とは、国が自ら定立した昭和44年の建運協定による連立事業の成立を全く無視していることをさします。

 ところが、7月の裁判期日の直後の7月26日、国交省の外郭団体の連続立体交差化協議会がスポンサーになって日経新聞紙上に大々的に展開されたこの連立事業の宣伝は、きしくも、まさに国の主張を全面否定するものとなってしまったのです。

 「線路が邪魔だと思ったことはありませんか」として、連立事業と道路・都市再開発の同時施工の効用を宣伝した背景には小泉構造改革で道路特定財源がやりだまに挙げられていることへの、国交省側の反論という意味合いがあります。つまり、連立事業は鉄道事業に対して道路特定財源をあて都市再開発事業までを行う総合事業であり、このことを明らかにし、宣伝することは道路特定財源を一般財源化するまでもなく、すでに総合的な公共事業に充当されているのだという発信を道路族側が行いたかったからに他なりません。

 例証として建運協定で確立された連立事業をあげることはまさに「正しい」ことなのですが、建運協定のよる連立事業の存在すら否定する裁判での国の対応に真っ向から相反する主張となってしまったわけです。


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