もぐれ小田急線号外

 都市計画説明会版 2002年2月19日 小田急高架と街づくりを見直す会 会長 中本信幸

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ちょっと待て!・・・

違法高架と接続する都市計画案は違法だ!


2192021日の3日間、東京都・世田谷区・渋谷区・小田急電鉄の4者共催で小田急線複々線化連続立体交差化事業の梅ヶ丘から代々木上原までの都市計画案および環境アセスの説明会が行われようとしていますが、これはこの前提となる都市計画案の縦覧を含め、違法な行為といわなければなりません。なぜならば、212日から縦覧されている都市計画案は、昨年10月3日東京地方裁判所の判決(平成6年行ウ第208号)で国の認可が違法とされた連立事業に隣接し直結した都市計画事業であるからです。
 今回示された区間の鉄道計画が地下方式であるとしても、たった2・2キロのみを地下式とする今回の計画案は違法な梅ヶ丘以西の高架および、代々木上原駅の高架駅温存を前提としているために、工法的にはシールド方式を一部にしか採用できず、昔ながらの開削工法を多用せざるを得ないという無理があります。鉄道工事費に1300億円という莫大な費用をかけるにかかわらず、立ち退きも生じ、しかもこの区間の完成のみで平成25年度までかかるというおかしな事業計画になっています。東京地裁判決が住民原告側の提示した新宿・成城間一体地下方式の代替案を支持した上で出されている以上、計画の抜本的見直しこそが求められています。判決がなかったかのごとく、判決前の既存計画案をがむしゃらにおしすすめることは、法治国家を無視した役人の横暴といわなければなりません。

国が控訴したといっても、国側が逆転勝訴しないかぎり、これらの都市計画案をいま縦覧し、説明会を行う行政的価値は全くありません。私たちの税金のむだづかいになるだけです。東京都は、これらの都市計画案の縦覧を中止し、都市計画案の抜本的見直しのために住民との話し合いを行うべきです。今回の説明会は、住民との対話集会にただちに切り替えるべきです。



裁判所支持の緑のコリドー(回廊)代替案を実現しよう!

新宿・成城一体地下案は、早く、立ち退きもなく、環境にやさしい!


 


2001年10月3日、東京地裁は小田急線高架事業の国の認可を取り消しました。原告住民側の歴史的勝利です。藤山雅行裁判長は、半ば進んでいる公共事業に関しては、例え違法と認定しても訴えを棄却してよいとする、いわゆる事情判決(行政事件訴訟法31条の1)を適用しませんでした。あえて事業認可の取消し命令を下したその背景には、被告が違法騒音を無視し、故意に地下式を考慮の外に置いた違法都市計画を看過したなどの深刻な違法事由に加えて、原告側が2000年10月に提起した代替案(オルタナティブ;次ページ参照 *注 印刷物としての号外では須田大春氏の▲「小田急線高架事業に見る「悪しき公共事業」を見直す方法」を2・3ページに掲載しています。)の存在があります。
 この代替案は現在の工事区間が本来の複々線化事業の一部に過ぎないことをふまえ、新宿から成城学園までの全線を2線2層のシールド工法で一挙に地下鉄化を行うことを提唱しています。工事中は既に立ち上がった高架橋を仮線とし、新宿・成城間の全線地下化完成後は、在来線跡地とこの高架橋遺物を生態系回復のための2層の「緑のコリドー( 回廊 )」として転用することを提起したものです。

こうすれば、騒音をばら撒く違法事業を都市再生の環境共生型事業に変え、現行計画(代々木上原まで平成25年度)よりも速やかに地下方式による複々線事業が完成(新宿まで平成20年度)することになります。しかもシールド工法はモグラのように掘り進むため、地上部の立ち退きの必要は生じません。

裁判所はこれを評価し、住民側代替案を基に話し合ってみたらどうかと和解勧告を行いました。この和解勧告を被告国が蹴ったことで、認可違法の判決は下され、判決では違法事業を推進した官僚等の刑事責任さえ示唆されました。
環境の世紀の幕開けにふさわしい2001年10月3日の裁判勝利は、市民による緑のオルタナティブが勝利した第一歩なのです。



つなごう緑のコリドー( 回廊 )を!

青山・表参道から神宮の杜を抜けてシモキタヘ、シモキタから羽根木公園を抜けて経堂・成城へ、国分寺崖線から多摩川へ

シモキタを「環境共生の繁華街」にしよう


小田急の成城・梅ヶ丘間の高架違法事業を改める代替案として提起された緑のコリドープランは、都市の緑をラインでつなぐことにより都市に生態系を回復し、ヒートアイランドから都市を開放すること。そしてなによりも、都市に人間性をも回復する運動として捉えています。梅ヶ丘以東、下北沢地域から代々木上原にかけての鉄道の複々線化連続立体化と「街づくり」を考えるときにもこの視点はきわめて有効です。

下北沢地域は緑が失われてしまった地域ですが、かつては沢地として緑に恵まれた地域でした。鉄道の地下化と合わせて、下北沢のまちの中心となる在来線跡地に緑を復興させることはとても重要なことです。この緑を新宿方向と成城方向に緑の回廊(コリドー)、遊歩道として延ばせば、都心・皇居に連なる青山・表参道にかけての緑のラインが神宮の杜を抜けてシモキタへ、シモキタから羽根木公園を抜けて経堂・成城へ、そして国分寺崖線を経て多摩川へと緑のラインでつなぐことができます。実現できれば、どんなにすばらしいでしょう。

今回の都市計画案では下北沢地域のみの小田急線が地下鉄化されることになりますが、当局や小田急が考えていることは、補助54号線や補助26号線の整備とそれらの道路や下北沢駅前広場で可能となる高層化再開発に他なりません。これでは、シモキタと呼ばれ親しまれてきたこの街をミニ新宿に変貌させてしまいます。

下北沢地域は井の頭線と小田急線が交差するという公共交通に恵まれているがゆえに、車にさほど依存しなくても存立できてきた珍しい繁華街です。車を使わなくても歩いて楽しめる街というのは貴重なものです。この性向を最大限に生かしてこそ、シモキタの復興はあると信じます。シモキタを道路と車の中に埋没させてはなりません。緑の遊歩道で他地域とつなぐ緑のコリドープランが実現すれば、その中心に、「環境共生の繁華街」としてのシモキタとその文化が位置することになるでしょう。

コリドー計画を実現するためには、今回の都市計画案ではなく、新宿から成城までのシールド工法による地下鉄化がなによりも必要です。モグラのように掘り進むシールド工法は立ち退きが最小限で済み、しかも事業完成はむしろ早くなります。より合理的な地下鉄実現と道路計画の見直しを求め、都市計画案の転換を当局に迫りましょう。


 

「小田急線に緑のコリドー!監査請求」にご参加を!


 


市民は小田急訴訟に勝ちました。緑のコリドー(回廊)代替案が違法事業を転換する道筋として評価され、裁判所は工事半ばの小田急高架事業の認可を取り消しました。 ところが、政府は控訴を理由に違法事業の中止を事業主体となっている東京都や小田急に求めないばかりか、東京都は違法事業の予算を計上しています。法治を無視した官僚の専横ここに極まれリというべきです。
 そこで、14年度からの東京都の小田急事業費予算の差し止めを求めて監査請求を行います。
控訴したからといって、一審の違法判決が覆されたわけではありません。
 事業が違法である以上、予算を計上し、執行することも違法のはずです。2月中に監査請求参加者を募り、3月上旬に提出します。趣旨に賛同される多くの東京都民の参加をお願いします。
 監査請求運動を支え、都市に生態系を回復する緑のコリドーを実現するために、監査請求会員(年会費1万円)と「緑のコリドー・サポーター」(年会費3千円)を募集します。是非ご参加ください。

 

緑のコリドー!監査請求運動は次の方々に呼びかけられています。

呼びかけ人 銀林浩(明大名誉教授・数学者)中村敦夫(参議院議員)西丸震哉(食生態学研究所長)

羽田澄子(記録映画作家)三田誠広(作家)

              敬称略・五十音順

小田急高架と街づくりを見直す会

小田急線に緑のコリドー!監査請求実行委員会

会長 中本信幸

事務局 〒156-0051 世田谷区宮坂1-44-34-207

3439-9868 E-mail; fk1125@aqu.bekkoame.ne.jp

 


 

詳細情報はインターネット「もぐれ小田急線」で読めます。http://www.bekkoame.ne.jp/~fk1125