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2005年12月 8日 読売新聞37面記事

小田急高架化訴訟

スタートに立てた

闘い11年 原告実質審理に期待


 小田急線の高架化事業を巡る行政訴訟の最高裁大法廷判決は7日、一人も原告の資格(原告適格)を認めなかった東衰高裁の判断を覆し、ほとんどの住民を原告と認めた。「ようやくスタートできる」――11年余りの裁判で、土俵に上がることすら許されなかった人たちは、最高裁での実質審理に期待を膨らませた。
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 判決後、東東都千代田区で開かれた報告集会には、約100人の支援者が集まった。斉藤 弁護団長が「行政訴訟の質を転換させる大きな意義を持つ判決。市民が公共事業のあり方を問う際の支えになり、ダム建設や干拓事業などを巡る訴訟にも影響を与える可能性がある」と述べると、大きな拍手がわき起こった。

 初めて原告と認められた山田キヌ子さん(75)は「長い闘いだったが、ようやく門前払いされずにスタート地点に立てた。行政の監視に積極的な裁判所になってくれたことに、感動している」と語った。

 50年間、沿線に住んでいる山田さんの自宅は、世田谷区の梅ヶ丘駅のそばの高架に寄り添うように立っている。高架化で「開かずの踏切」が解消されたメリットはあるが、列車が通るたびに騒音が上の方から降ってくる。「事業を進める時は、周辺住民に説明会を開いたのだから、後から不服が言えないなんておかしい」。その疑問にかられ、長い裁判に取り組んできた。

 やはり原告適格を得た小林千香子さん(62)は、「最初から私たちの主張が認められていれば、今ごろ小田急線は地下鉄になっていたはず」と複雑な表情で話した。

 一方、国土交通省関東地方整備局は、「今後の審理では事業認可が適法だったことを主張していきたい」とのコメントを出した。


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