第273回   マリアンヌの憂鬱 / キノコホテル

1.静かな森で / 2.真っ赤なゼリー / 3.もえつきたいの / 4.還らざる海 / 5.ネオンの泪 / 6.あたしのスナイパー / 7.夕焼けがしっている / 8.キノコホテル唱歌

 さて、久々の更新ですね。(いっぱい宿題がたまっているのですが、それはおいおいやっていきます。)今回紹介するのは、このコーナーとしては異色かもしれませんが、キノコホテルのファースト・アルバムです。

キノコホテルは女の子4人組のバンドで、そのルックスやキャラクター、そしてツボを押さえたカルトGSサウンドで、ちょっと話題のバンドなんです。(彼女たちの人気ぶりを示す例として、つい先日、彼女たちの初期のライヴ音源CDがヤフオクで5万円を超えて落札されたということをあげておきましょうか。)

彼女たちは2007年の結成(現在とはメンバーが異なっていたそうですが)以来ライヴ活動「実演会」を積極的にこなし、ライヴのCDやDVDも会場等で販売してきていたのですが、今回、待望のメジャー・デビューとなったということです。実は、今回のCDは2月3日のリリースなんですが、iTunesでは1ヶ月ほど先行配信販売していますので、待ちきれずにゲットしてしまいましたけどね。(ちなみに、disk Unionでは、今日までのCD予約分には直筆サイン入りのポスターがつくことになっていました。)

さっき「カルトGS」と書きましたが、彼女たちのサウンドはモロに60年代末のGSやGS歌謡なんです。しかも、GSの中でも所謂「カルトGS」的なサウンドが大爆発しています。そんなわけで、YouTubeで(最初に彼女たちのミニスカ・ミリタリーの衣装を見たときには、正直言って「キワものか?」と思ったんですが、)彼女たちの音を聴いた途端、GSフリークの僕としては、完璧にはまってしまったというわけです。

M1は、ライヴ盤ではアップテンポの(モンキー・ダンスにぴったりの)ナンバーだったんですが、ここではミッドテンポに落とされて演奏されています。そのため、ライヴに比べるとずいぶんとニュー・ロック風に聞こえてきますね。M2は、伝説のデビュー・シングルになったナンバーです。アップテンポのカルトGS風ナンバーですが、サビがずいぶんと歌謡曲っぽくてキャッチーですね。キーボード・ソロからギター・ソロへと続く流れは最高です。

M3は、一応、このアルバムでの中心的なナンバーとなるようで、PVも作られています。印象的なベースのイントロから、冷たく燃えるオルガンの音と、ファズの音圧が心地よいギターで彩られ、独特のトーンの中低音ヴォーカルでカッコよくキメられています。ここでもサビはキャッチーで、歌謡曲っぽくていいですね。この曲でもオルガンとギターのソロの流れが最高です。カルトGSチックな楽曲のクオリティもM2以上だと思いますし、文句なしの1曲ですね。(^^)

M4は、GS歌謡曲の極致と言える楽曲です。聞き覚えのあるようなマイナー調ヨーロッパ風メロディーと、異国を上手く活かした歌詞は、限りなく60年代チックです。下手にストリングスなど使わずにバンド・サウンドでまとめたところもいいんじゃないでしょうか。個人的には、二番目のお気に入りの曲ですね。M5は、カルトGSの王道サウンドのインスト・チューンです。弾けるビートに暴れ回るオルガン、効果音ではなくて自分たちの声で入れるSE、ファズの効きまくったギター、まさに60年代のジャズ喫茶の雰囲気ですね。

M6は、M3同様にクオリティの高い楽曲です。スパイ映画をめいっぱい意識したようなリフもカッコいいですし、跳ね回るベースラインがそれ以上にカッコいいです。極めつけは、(どこまで意識しているのかはわかりませんが、)ジュリーの「恋は邪魔者」を彷彿させるサビのメロディーですね。(実は、ジュリーの曲の中では僕が一番好きな曲だったので、素直に喜びましたよ。)オルガンソロもいい出来ですし、文句なしのイチオシ曲です。

M7は、再びGS歌謡ですね。語りの部分も60年代っぽいですが、シャッフルを基調としたベースラインとギターのリフがGS歌謡の極致ですね。また、歌の最後の「VIm-II-VIm」のコード・カッティングもお約束ではありますが、嬉しいところですね。ラストのM8は、モンキー・ダンスを踊りたくなりそうなアップテンポのリフがカッコいいですね。歌詞の面では、そんなに深みを感じられないのですが、チープな感じも、また60年代っぽいと思います。

彼女たちを語るときに、最初にとりあげられるのはリード・ヴォーカルとオルガン担当のマリアンヌ東雲(支配人)のキャラクターでしょう。でも、彼女の弾くオルガンの爽快な響きは、彼女たちのカルトGSサウンドの要となっています。それをエマニュエル小湊(秘書)のベースとファビエンヌ猪苗代のドラムがしっかり支え、カッティングは小気味よくソロはカルトに歪ませるイザベル=ケメ鴨川のギターが絡んで、本当にカッコよく仕上がっていますよ。欲を言うならば、ヴォーカルに平山三紀や奥村チヨばりの色気があったなら、完璧だったと思いますけどね。(まあ、ちょっぴり下世話なところやチープなところも「60年代風」ということなのでしょうけれどね。(笑))

もしかしたら、彼女たちのルックスが災いして、一般的な音楽ファンには「キワもの」視点で扱われてしまうことになるのかもしれませんが、GSファンならば、特にカルトGSのファンならば、ぜひ聴いてみてくださいね。

では、また次回に!

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