第249回   Where You Are / Kyle Vincent

今回のレビューは、カイルのコーナーとのマルチポストです。カイルのコーナーで読んだ人はごめんなさいね。(こちらから読んでくださった人は、興味が湧けばカイルのコーナーも読んでみてくださいね。カイルのファン向けに少し踏み込んだところまで書いていますので。)

さて、2006年の来日以降、リリースの噂が出ては消えていたカイルのニュー・アルバムが、彼の誕生日の2月12日に無事にリリースされました!!(^^)

4年ぶりに届けられたアルバムは、当初の予定とは異なり「Where You Are」というタイトルになりました。カイルが「あまり沢山の曲が入ったアルバムは好きじゃない」ということで、ここには厳選された11曲が収められています。当然のことながら、11月の来日時にも演奏された曲が多いですね。もちろん、4年も経てば、カイルの書きためた曲も多くなっていまして、来日時に演奏された曲でも(アルバムのトータル・イメージに合わない等の理由で)今回は泣く泣く選曲から漏れた名曲もあります。

カイルはリリース前からオフィシャル・サイトでアルバムの断片を聞かせてくれていましたから、今回のアルバムがどれだけ充実しているのかは、そのダイジェストを聴いただけでも想像していただけるとは思います。でもね、改めてフルに聴いたアルバムの出来映えは、そんなものじゃなかったですよ、ホント。(笑)

まずはジャケットです。フロントは、カイルが日本公演の最終日を終えた後、帰りの電車の中で撮られた1枚です。また、裏ジャケは、終電を待つ駅のホームで撮られた1枚であり、どちらもシャッターを押したのは、この僕です。(^^) なお、環境問題にも関心のあるカイルらしく、ジャケの素材にも気を遣っているところがいいですね。

前置きはこれくらいにして、聴いていきましょうか。楽曲については、カイル自身がオフィシャル・サイトで(曲ができていく経緯も含めて)詳しく書いていますので、読んでみてくださいね。

1. It's Gonna Be A Great Day
来日公演でもオープニングを飾った曲です。デヴィッド・キャシディあたりにも通じるもののある70年代風ポップ・チューンです。カイルの曲としてはかなりゴージャスな部類になる曲だと思います。(笑)

2. In Another Life
来日公演では「カラオケ・カイル」の2曲目として演奏された曲です。シングルにしてもいいような、ゴキゲンなポップ・チューンです。もちろん、メロディーもコーラスもアレンジも極上ですよ。(^^)

3. The World Is Upside Down
これは日本公演では演奏されなかった曲です。カイルの渾身のバラード・ナンバーですね。メロディーも美しいのですが、サビのコーラスパートの哀愁は、たとえようのない程、心にしみてきます。カイルが吹いているサックスも、本当に素晴らしいですよ。

4. Where You Are
タイトル・ナンバーです。当然のごとく、来日公演でも演奏されています。ピアノのイントロから最初の歌が出てくるあたりまでは、弾き語りで唄われたライヴ・ヴァージョンを思い出させてくれますが、CDでは、サウンドがどんどん厚くなっていきます。厚みと広がりのあるサビのコーラスなんて、完全に別物の響きですね。実を言うと、この曲がタイトル・ナンバーになったと聞いた時には「えっ?」と思ったのですが、こうして聴いてみると、違和感は完全に消えてしまいました。

5. Emily Standing
盟友パーセノン・ハックスリーとの共作によるバラード・ナンバーです。来日時にカイルが「この曲が、きっとニュー・アルバムの中で君が一番好きな曲になるよ。新しいアリアンだ。」と言いながら断片を聴かせてくれたんですけど、メロディーもコーラス(パーセノンも唄ってます)も実に美しい名曲だと思います。アリアンのような聴く人の心を一瞬で掴んでしまうようなパワーはないかもしれませんが、本当にいい曲ですね。個人的には、アコースティック・ギターの響きが、どうしようもなく気に入っています。

6. It's A Lonely World
これも来日公演で唄ってくれた曲ですね。もしかしたら、アルバム中で一番地味な曲かもしれませんけどね。アレンジの一部に「It's Too Late」みたいなフィーリングを感じます。愛すべき小品(4分もあるので小品ではないけど、イメージ的にね。(笑))というべき存在かな?

7. Satellite
この曲も、来日時の「カラオケ・カイル」で唄われた曲です。練りに練ったアレンジで届けられた、カイル屈指の名バラードですね。イントロのピアノにエリック・カルメンを感じるのは僕だけでしょうか?この曲でも、カイルのサックスが素晴らしいですよ。アルバム中で1曲選べと言われたら、この曲を選ぶ人も多いんじゃないかな?

8. Goin' Down
アルバム中で唯一と言ってもいいかもしれない、ロックっぽい香りのするミッド・テンポの曲です。まあ、僕にはギルバート・オサリバンの香りを一番強く感じるんですけどね。アルバムの流れを考えたときにアクセントになる曲という存在でしょうか。

9. Sakura Lullaby
来日公演でも唄われた、日本のファンに捧げられたバラードです。極めつけに美しいメロディーと歌詞が、シンプルなサウンドに乗せて唄いあげられていきます。カイルの全作品中でも屈指の名曲だと思いますね。サウンド的には、ここでもずいぶんとエコーが効いていますよ。

10. On My Ride
再びカイル屈指の名曲の登場です。カイルのバラードの持つメロディーの魅力とポップなサウンドの魅力を併せ持つ曲ですね。この曲が日本公演で歌われなかったのは本当に残念ですが、ここでこうしてアルバムに収められたことを素直に感謝したいと思います。この曲を聴いて気に入らない人はいないんじゃないかな?と思わせてくれる曲ですから。僕がアルバム中のベスト・トラックを選べと言われたら、(迷ったあげくですが)この曲にするんじゃないかなって思います。

11. Petals Of Peace
最後に控えているのも、カイル屈指の名曲です。平和を願うカイルが広島に捧げて書いてくれた曲ですから、広島在住の僕には特に思い入れの深い曲です。実を言うと、このアルバムがもっと早くリリースされていたならば、この曲がタイトル・ナンバーになっていたはずなんです。実際、ジャケットの歌詞の扱いも、この曲だけが特別になっていますし、カイル自身にとっても特別な意味のある曲なんだなってことがわかります。ひとりでも多くの人に、カイルのこの曲の存在を知ってもらいたいと願って止みません。

ということで、あっという間にアルバムが終わってしまいました。本当に充実したアルバムだと思いますし、それは、僕のレビューの中に何回「屈指」とか「名曲」とかの言葉が出てきたかでも感じていただけるのではないでしょうか。(笑)

全体としては70年代ポップの遺伝子を強く感じる楽曲が多いように感じます。カイルが人生の一部として聴いてきた名曲たちのエッセンスを具象化したと言えば、ちと褒めすぎでしょうか?(個人的には、褒めすぎとは全く思いませんけどね。)文中にも出てきますが、僕が一番近いフィーリングを感じたのは、ポップな曲ではBELL時代のデヴィッド・キャシディの名曲たち、バラードではエリック・カルメンとギルバート・オサリバンなんですけどね。(^^)

あえて難点を言えば、ひとつだけ。ジャケのサイズがきっちりとしすぎていて、CDを取り出すときにきつくて難しいということでしょうか。僕はCDを不織布袋に入れて、ジャケに挟んでプラ袋に入れて保存していますけどね。(笑)

ということで、とにかく、ポップ・フリークならばマスト中のマスト・アイテムだと思いますので、ぜひともゲットしてくださいね。

では、また次回に。

< Where You Are / Kyle Vincent / US / songtree / STR-10-02 1209-2 >


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