第188回  DREAMS ARE NUTHIN' MORE THAN WISHES / DAVID CASSIDY

1.OPENNING THEME / 2.DAYDREAM / 3.SING ME / 4.BALI HA'I / 5.MAE / 6.FEVER / 7.SUMMER DAYS / 8.THE PUPPY SOMG / 9.DAYDREAMER / 10.SOME OLD WOMAN / 11.CAN'T GO HOME AGAIN / 12.PREYIN' ON MY MIND / 13.HOLD ON ME

 さて、今回紹介するのは、デヴィッド・キャシディの3枚目のソロ・アルバムです。ファーストとセカンドはアメリカでリマスター盤がでていたので、このアルバムの発売を待ちこがれていたら、なんと、先に日本盤が出てしまいました。(^^;

デヴィッド・キャシディは、アメリカのTV番組「人気家族パートリッジ」でブレイクし、あっという間にトップ・スターになった人です。彼は、(彼が望んだわけではないのだけど、)その甘いマスクと歌声で70年代初期の女の子たちを夢中にさせました。

番組では、母親(デヴィッド義母にあたるシャーリー・ジョーンズ)と5人の兄弟たちの6人組のバンドという設定でしたが、レコードで実際に唄っていたのはリード・ヴォーカルのデヴィッドと、コーラスのひとりのシャーリ・ジョーンズだけで、あとのメンバーはレコードには関わっていませんでしたけどね。

でも、パートリッジ・ファミリーのレコードには、実にいろんな人たちが関わっていたのです。演奏陣に目を向けると、ラリー・カールトンとかラリー・ネクテルとかの名前が見えます。楽曲では特に後半には)有名曲のカバーも多いのですが、トニー・ロメオとかアダム・ミラーとかの素敵なライターの存在を教えてくれたのもパートリッジ・ファミリーのレコードでした。

デヴィッドは、ベル・レコードの時代に4枚のソロ・アルバムを残しています。人気絶頂時の「チェリッシュ」と「ロック・ミー・ベイビー」、TV人気が収まって来てからのこのアルバムに、ベル時代最後になるロック寄りのライヴ盤です。その中で、「ファンタスティックでキュートなファースト」、「選曲に唸らされるセカンド」、そして「ロックっぽくてカッコいいライヴ盤」に挟まれたこのアルバムは、本当に地味な存在のアルバムと言えます。

実際、楽曲的にもポップさを押さえじっくりと聴かせてやろうという意図の見える(ある意味「大人」の)選曲となっています。参加ミュージシャンも多様で、先述のラリー・ネクテルの他にも、マイケル・オマーティアンやジェイムズ・バートンたちも参加しています。そして、(楽曲も提供していますが)若き日のマイケル・マクドナルドの名前も見えます。

楽曲面でも、共作ながら自作曲も入っていますし、デヴィッドの「脱アイドル」宣言のアルバムと言えるだろうと思います。中でも(パートリッジ・ファミリーとソロを合わせても)僕の一番のお気に入りのM11は、せつなくて甘酸っぱくて、本当に「地味だけどいい曲」なのです。日本ではシングルのM2のB面に収められていましたが、僕はあのシングルは1:9位の割合でB面を聴いていましたね。(^^;

では、いくつかの曲について一言をば。(^^)

M1は、実はM13のリプライズにあたります。CDでリピートでかけると、M13が終わってM1が始まるので、何の違和感もなくまた最初に戻るという感覚になります。レコードの時には気づかなかったのだけど、そういう狙いもあるのかもしれませんね。M1から切れ目なしに続くM2は、ラヴィン・スプーンフルの曲です。シングルにも選ばれただけあって、良くできたカバー・ヴァージョンだと思います。M3は、トニー・ロメオの書いた素敵なバラードですね。

M6は、超有名なスタンダード・ナンバーです。さすがにこれくらい有名な曲になると、バックのサウンド(最高です!)にデヴィッドの歌唱力がついていけていない部分がわかってきます。ちょっと残念!(^^; 

M7は、パートリッジ・ファミリーのサードに収められていた曲です。もともとはソロ用の曲だったとのことですけどね。パートリッジ・ファミリーでは煌びやかでポップなアレンジだったのですが、今回のちょっぴり渋いアレンジも最高にイカシてます。(^^)そう言えば、これもトニー・ロメオの曲ですね。

M8はハリー・ニルソンの曲です。アルバムタイトルは、この曲の歌詞からとられています。ミュージカル調の楽しい曲です。M9は、イギリスではナンバー・ワン・ヒットになった曲です。渋いけど美しいバラードですね。アメリカでは、最初はM8のB面でシングル・リリースされ、後にA面になりましたが、ヒットはしなかったそうです。とても残念!(^^;

M11は、さっきも書いたけど、僕の一番のお気に入りの曲です。デヴィッドがキム・カーンズらと共作した作品です。サウンドもメロディーも歌詞も、哀愁味たっぷりで、本当にいい曲です。この曲が入っていなかったら、このアルバムをこのコーナーでとりあげなかったでしょう。多くの人に聴いてもらいたい隠れた名曲です。ちなみに、次のM12も、M11と同じメンバーで書かれた曲です。

M13は、マイケル・マクドナルドの曲で、彼は演奏にも参加しています。地味だけど、味わい深い曲ですね。

ということで、アイドル然としたアルバムを嫌ったデヴィッドの意向が反映された、渋いアルバムになっています。楽曲やサウンドにはスタンダード・ナンバーやジャズ・ヴォーカルやミュージカルの雰囲気を感じる部分もあり、ずいぶん後になってからの彼がミュージカルの場で活躍していることを考えると、なかなか興味深くもあり、頷けるものもあります。

「ポップ」という面だけで考えるとセカンドのほうを選びますが、デヴィッドが(結果的に成功とは直結しなかったけれど)真のアーティストとしての第一歩を踏み出したアルバムとして、聴いてみてもらいたい1枚です。

< DREAMS ARE NUTHIN' MORE THAN WISHES / DAVID CASSIDY / BMG / JPN / BVCM-37568 >


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