第162回 SPIL PHECTOR / SPRAGS

 1.COOKIN' / 2.FLY BY JUDY / 3.NOTHING'S WRONG / 4.BLUE VS. BLUES / 5.LIKE THE ROLLIN' STONES / 6.WALK IN THE MALL / 7.MADAME DUPLAIX / 8.NO, SAN FRANCISCO / 9.AMERICAN ORIGINAL / 10.SOMETHING TO DO / 11.THE VACUUM OF SPACE NEVER MAKES A SOUND / 12.CABBAGE & LEEKS / 13.THE BREATHING / 14.EVERYBODY'S WAITING TO SEE / 15.MY LOVELY JUNE

さて、今回紹介するスプラッグスですが、実は、ピルバグズの関連なんです。写真の左端のちょっとアブナそうな風貌の(失礼!(^^;)男は、ピルバグズのギタリストのマーク・マイケルです。彼は、このバンドではドラムスをやっているのですよ。

スプラッグスは、今までにも何枚かのアルバムを出しています。あのピルバグズ絡みというので、僕もしっかりチェック入れて2枚ほど聴いてはみたのですが、スプラッグスのこれまでのアルバムは、お世辞にも「いいアルバム」と言えるものではありませんでした。サウンドもショボいし、メロディーもイマイチだったし...。でも、最新作になるこのアルバムは、飛び抜けたできではないものの、なかなかのフォーク・ロック・アルバムと言える内容になっていたのです。そうそう、一目でわかると思いますが、タイトルとジャケは完全にフィル・スペクター(とビーチボーイズをはじめ60年代のバンドたち)へのオマージュですね。(そう思うと、思わずにやりのタイトルもありますよ。)

M1は、オープニングにふさわしいちょっぴりポップなロック・チューンです。歌は決して上手くないものの、コーラスの入り方やサビでのストリングスの使い方は、さすがにマークが参加しているだけのことはあります。アルバム中でも屈指の作品だと思います。

M2は、チープなサウンドのロックン・ロールです。60年代の香りがしますね。M3は、ビールトルズの「サン・キング」あたりを彷彿させるギターのカッティングが印象的な曲です。ヴォーカルはヘタウマですが、なかなか雰囲気のあるバラードですね。12ギターのフレーズがいいアクセントです。

M4は、エヴァリー・ブラザーズへのオマージュでしょうか。60年代風のメロディーが懐かしいコーラス・ワークで唄われていきます。M5はマークの曲で、リード・ヴォーカルもマークがとっているせいか、ほとんどピルバグズに聞こえます。(^^;バックを延々と流れるチープなオルガンの音が印象的です。スライドギターはどことなくジョージ・ハリスンですね。

M6は、12弦ギターのイントロ(モンキーズみたいですが)が耳に残りますね。サビの工夫が少し足りないかもしれませんが、軽快なロックンロール・ナンバーです。M7は、前曲よりももっと12弦ギターを前面に打ち出した曲です。おそらく、バースへのオマージュというところでしょうね。(^^)

M8は、3拍子のファンタスティックな曲です。これもピルバグズみたいな曲ですが、マークの曲ではありません。(^^; M9は、ロコモーションを彷彿させるイントロに導かれて始まる、典型的なロックン・ロール・ナンバーです。Aメロのストレートなロックン・ロールとサビでの哀愁のコーラスの対比が見事です。

M10は、「名前のない馬」風のアコギのカッティングが印象的ですが、楽曲自体はイマイチというところでしょうか。M11は、カントリー風味のナンバーです。メロディーとコーラスがもうひとつ抜けていないのが惜しいです。M12も、モロにカントリーの匂いがする曲です。どことなくパブ・ロック(初期のブリンズリー・シュウォルツ)みたいな印象も受けますね。

M13は、3拍子(6拍子か)のバラードです。リード・ヴォーカルがちょっと不安定ですが、コーラスは意外にかっちりとキメています。M14は、ちょっぴりルーズなリフから、ポップなロックンロールへとつながる展開がいいですね。間奏もいい感じです。(ブルージーなハーモニカあたりが入るともっといいと思いますけどね。)

ラストのM15は、のっけからコーラスワークが印象的な曲です。このあたりはビーチ・ボーイズへのオマージュなのでしょうか?コード進行がちょっぴり工夫された、ポップで美しい曲です。ストリングスも曲を引き立てていますね。

全体的に見ると、ヴォーカルの弱さやコーラスの粗さ(というかショボさ)も残っているものの、適度にポップで適度にロックで、いい感じに仕上がっていると思います。もしかしたら、ピルバグズのセカンドが選曲段階で「サイケデリック−プログレ」というプロットで編集された反動で、マークがこっちではストレートでポップな味付けをしてみたのかもしれませんけどね。

ピルバグズのところにも書いたバックステージ・レコードで扱っていますので、興味があれば訊いてみてください。

では、また次回に。

< SPIL PHECTOR / SPRAGS / US/ PROVERUS / PR-00092 >


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